そうだ、魚を釣ろう
(゜∀゜)ゴブリンの釣りバカ日誌、はーじまーるよー
「ギギギギィッ!(オラオラオラオラッ!)」
火さえあれば獣臭いリトルボアの肉も美味しくなるんじゃないかと木の棒を両手で挟んで木の板の上で必死に回転させる。
絶対に火を付けてやる、絶対に負けない!
約3分後、アヘェ…やっぱり火は付かなかったよ。
いやいや諦めるのが早いとか思っただろ?実際やるとめちゃくちゃ疲れるし手も痛くなるし全然火もつけられる気配もないし心が折れるわ!
悔しいっ!でも腕が疲れた!
もういいもん!この肉は干し肉にするからいいもん!
確か塩とか無くても薄く切って早く乾燥すれば出来るみたいだし…。
…腐った肉って不味いのかな?多分俺は食べても大丈夫だよな?そう考えると毒性食物耐性って使えるんじゃね?
…前に使えるか使えないかわからないスキルとか言ってごめんなさい、めっちゃ使えるスキル君でした。
「…そろそろ美味い物が食べたい」
ゴブリンになってから美味いと感じたのがブドウ(仮)しか無い、勿論それはいいんだけど違うんだよ。
フレッシュなのじゃなくてもっとこう…旨味があって食べ甲斐のある奴が食べたい。
だがもうウリ坊と戦うのは嫌だ…だが俺は知っているのだよ、危険を犯さずに美味い飯にありつける画期的な方法をな!
「ギギィ!ギギィィ!(魚釣り!魚釣りをするぞ!)」
おっと興奮のあまりゴブリン語が出てしまった、早口になる癖をなんとかしなきゃな…まぁ今はそんなのどうでもいい。
魚はいいよな、生でも食えるし襲って来ないし、ただ糸に餌付の針を水中に落とせば簡単に釣れるんだからな。
竿は適当な丈夫そうな枝を代用にすればいいし糸は植物の繊維を紡いで作ったし針は骨を削って作ったから後は餌を付ければ完璧だ。
早速川に行って魚を釣ろう、もう腹が破裂するくらい食べよう。
親指くらいの大きさのザリガニみたいな生き物を餌に川に投げ入れると早速1匹釣れた、この辺りの魚は釣られる事が少ないのか意外とあっさり引っかかるもんだな。
「さて早速刺身にしてっと…先ずは下処理だな」
ナイフで腹を割いて内臓とエラを取り出して川に捨てる、多分他の生き物の餌になるだろう。
身を川で軽く洗って大きめの石の上で三枚に下ろす、骨は後で埋めよう…。
あとは薄く切って雑な作りだが刺身の完成だ、塩や醤油が無いのが残念だがようやく美味い飯にありつけそうだ。
「いただきま〜す」
口に入れると新鮮な魚の味が舌に広がる、生の肉とは違ってフレッシュで生臭さを感じない…マジで塩か醤油が欲しくなってきた。
やばい、手が止まらない…あっという間に全部食べてしまった、くそ…もっと味わって食べたかった。
「…ん?…んん…?」
なんかお腹が痛く…いや痛い!めっちゃ痛い!腹の中を太い針でぶっ刺してるみたいに痛い!
「ぐぐ…一体なんで…」
とりあえずステータスを開いて確認する。
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名前、無し
種族、ゴブリン
レベル、2
HP、13
MP、0
ちから、4(-2)
ぼうぎょ、3(-1)
かしこさ、4(-1)
すばやさ、5(-2)
状態異常、寄生虫
スキル
「森の賢者」レベル1
「愚者」レベル2
「毒性食物耐性」
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なんで!?なんで状態異常になってるの!?もしかして寄生虫は対象外なの!?
ウソダドンドコドーン!
『寄生虫の抵抗に成功しました、寄生生物耐性のスキルを獲得しました』
スキルの獲得と同時にお腹の痛みが引いていく、ステータスを確認するとちゃんと元の数値にもどっていて安心する。
くそ、木の上で人…いやゴブリンが腹を押さえて苦しんでるのを小鳥が見てやがった…ナズェミデルンディス!
「はぁはぁ…まさかこんな弱点があったとは…」
毒性食物耐性の株価大暴落だよ、信用ガタ落ちだよ、はぁ〜つっかえ!
テンションを上げてから叩き落とすとか性格悪過ぎやしますんかね神様…昼と夜ごはん用に数匹釣って今日は終わりにしよう。
(・ω・`)その日のお昼と夜ごはん(刺身)はゴックンし辛かったのは内緒