転生と魔法
日本語が変なところあったりしたら、ご指摘お願いします^_^
1話です。物語はここから始まっていきます
おぎゃあおぎゃあと赤ん坊の泣く声がする。目の前には見知らぬ天井。肌には暖かな温もり。
どういう状況なのか確認をとろうとしたが、身動きが取れない。手足は短くまともに動かず、自分の思考と体の動きがリンクしなかった。
「おめでとうございます。元気な男の子ですよ」
突然頭上から声がして、女から女へと引き渡された。受け取った女は嬉しそうに微笑み、お礼を告げた。
ーーああそうか。俺は生まれ変わったのか。
とっさに記憶が蘇ってきた。佐藤 来生として生きたこと。愛しい母と弟と暮らしていたこと。そして、どうやら自分は命を落とし、こうして生まれ変わったこと。
ただ、自分がどうして死んだのかは全く思い出せなかった。辛く悲しい思いだけが心に残っていた。
よくラノベであった『異世界転生』だろうか。だが、あのような物語の主人公達のように、不思議な力を感じるわけでもなく、急にある程度年をとった状態から始まったわけでもない。
わかることといえば、今はただの無力な赤ん坊であり、今自分を抱いているこの人が第2の人生の母親ということだけだ。
「生まれてきてくれてありがとう雷輝。あなたは今日から白銀雷輝。私の初めての愛しい息子よ。」
母は自分にそう告げると、優しく抱きしめた。(この人は自分の母親だ)と実感させる優しい温もりがどうしようもなく心地よかった。
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それから約一年の時が流れ、雷輝は一歳になった。ようやく少し言葉を話せるようになり、歩けるようにもなってきた。
ただ不思議なことに、白銀雷輝として成長する程に、佐藤来生としての記憶は薄れていった。もともと人間とはそういうものなのかもしれない。
偶に前世の記憶があると言う人がいたが、その人はたまたま記憶が消え切らなかったのだろう。
そんな時、雷輝に弟が産まれた。名前は光輝。
偶然にも前世の弟と同じ呼び方のその名前は、雷輝が来生としての記憶を失うのを少し遅らせたのだろうか。
光輝が産まれてから、前世の記憶が薄れることがなくなってきたのだ。
程よく記憶を残した雷輝は、前世の母と弟を懐かしく思うことはあれど、それは夢のようなもので、今の自分が自分なのだという確固たるものがあった。
こうして雷輝は、白銀家の長男として産まれた。家族は母の遥と父の光大と弟の光輝の4人家族。
ごく普通の家庭に産まれたのだと思った。
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3歳の夏。自由に言葉を発することができるようになり、読み書きもできるようになってきた頃、雷輝はとんでもないことを知ってしまった。
なんとこの世界には『魔法』が存在するようだった。
正直信じられなかった。だって今まで見てきたこの世界の文化は、前世で生きていた日本とほぼ同じで科学が発展していて、魔法を使っているところなど見たことがなかったからだ。
言語は日本語だし産まれ変わったので、ここは数十年後の日本だと思い込んでいたが、その割には文明が進歩していなかった。むしろ両親がスマートフォンなどを使っているところを見たことが無かった。
外もよく見れば、高いコンクリートの壁がそびえ立っていたり、道路もそこまで整備されていなかったり自分の知っていた日本とはかなり違うようだった。
あと一つ不思議な点として、母の髪は綺麗な黒色の髪だったが、父はガチガチの金髪だった。
染めているものだと思っていたが、ある日父に聞いてみたところ、
「これは地毛だよ。白銀家の人間は地毛が金色になるんだ。雷輝も、もう少し年をとったらきっと髪の色が変わるぞ」
などと言われてしまった。
どうやらここは、日本によく似た異世界らしい。
だけど、どうしても魔法があるとは信じられなかったので、父にやってみせてと頼んでみた。
「パパ。俺魔法って見たことないんだけど、本当にあるの?みせてみせて!」
「ああそうか。まだ見せたことなかったっけか。ちょっと待ってろ。」
父は雷輝にそう告げると、なにやら魔法陣の書かれた黒い手袋をはめて、なにやら呪文を唱えた。
「雷魔法。球体!」
その瞬間父の右手に雷でできた球体が現れた。大きさこそ小さいが、確かにそれは雷だった。
「すごい!!ねぇもっと大きのやってよ!」
「駄目だ。これ以上大きくしたら、家を吹き飛ばしちまう。これでもパパは昔、帝国軍の一番隊隊長だったんだぞ?」
また知らない単語がでできた。そもそもこの国は帝国だったのか。というかこの国の名前をまだ知らない。
この国のことも知っておきたいが、それより今はこの世界の魔法についてもっと知りたい。
「ねぇねぇ。他にはどんな魔法があるの?魔法ってなんなの?」
「そうか。そろそろ教えてもいいかもなぁ。でも本当に結構複雑だから、パパ詳しく教える自信ないなぁ。」
複雑でも教えて欲しいと頼もうとしたその時。急に父が大きな声を出して立ち上がった。
「そうだ!アレを読ませよう。雷輝はもう文字が読めるんだよな?」
「うん。漢字はまだちょっとよくわからないけど。」
父はそれを聞くと、すぐさま自分の部屋に行き、なにやら分厚い辞書のようなものを持ってきた。
「この本はな、魔法の歴史についての伝承とかが書いてあるんだ。雷輝が少し大きくなったら見せようと思ってたんだけど、もう三歳だもんなぁ。」
父は感慨深そうにそう話すと、本を雷輝に渡して読むように勧めてきた。
読もうとして開いたが、普通に漢字だらけで読むわけにはいかなかった。そう思い父の方を見ると
「ああそうか。忘れてた。今読めるようにしてやるから。」
そう言って、今度は手袋をはめずに短い呪文を一つ唱えた。
「解析。」
その瞬間。本に書いている文字が手に取るようにわかるようになった。元々漢字は読めるが、そういうことではなく、文章が直接頭に入ってくるのだ。
なんとも不思議な感覚だった。目を通したところの内容が、スーッと頭に入ってくる。
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〝それはそれは太古の昔。人々は貧しい暮らしをしていました。作物は育たず、動物も死に絶え、生きる糧を失っていました。″
〝そんな時ある青年が人々に向けてこう言いました。
「俺はとあるものを見つけた。人々の中に棲まうその力を、全ての人々が使えるようにしてやろう」″
〝その瞬間。身体を光が包み込み人々は不思議な力を使えるようになりました。ある者は雷を操り、ある者は炎を操り、ある者は植物を操り、ある者は水を操り、ある者は風を操りました。″
〝その力は魔法といい。その青年は敬意をこめてこう呼ばれました『原初の魔法使い』と″
〝『原初の魔法使い』は四つの水晶に力を込め、各地に散りばめました。その水晶に選ばれた人々にはEの文字が刻まれ、彼の名前から文字を取り『–Electron–エレクトロン』と呼ばれました。″
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その後には、魔法についての知識がが書かれていた。
魔法には大きく分けて、雷。炎。水。草。風。の属性があって、これを原初魔法と呼び、そこから派生して属性の定かではないものを無属性と呼ぶらしい。
魔力は元々人間の内側に存在し、魔力の量には個人差がある。
水晶に触れた時の反応によっておおまかに魔力量を測ることができ、自分の適正属性もわかるようだ。
他にもたくさんの事が魔法について書いてあったが、内容がかなり意味不明だったので、自分で理解ができるところで止めておいた。
「読んだ感想は?」
色々と感じたことはあったが、今はとりあえず
「僕も魔法を使ってみたい!」
それを聞くと、光大は待ってましたという顔で、目の前に一つの小さな水晶を取り出した。
非常に透き通っているそれは、なにやら神秘的な雰囲気を漂わせていた。
「本にも書いてあったろ。これが水晶だ。試しに触ってごらん。」
光大が言い終わるのを待たずに、雷輝はすぐさま水晶に触れた。いったいどんな反応が起きるのかとワクワクして暫く待っていたが、なにも起きなかった。
自分には魔力がないのだろうか。少し不安になってきたところで、後ろから父に両手を添えられた。
「掌の中心に意識を集中させるんだ。身体に流れる魔力を感じながらね。わかりにくかったら目を瞑ってみてごらん。」
雷輝は言われたように、目を閉じて感覚を研ぎ澄ませた。
感じる。自分の体の内を熱く流れる何かを。まるでそれは、生き物のように渦巻いていた。
その流れを掌の中心に集めようとするが、これがなかなか難しい。
深呼吸をし、ゆっくりゆっくりと寄せていく。やっと集まったと思ったその瞬間。水晶が激しい音を立てて金色に光りだした。
今にも弾けそうなその光に目を奪われていると、横で光大が感嘆の声を漏らしていた。
「すごいぞこれは。ここまで綺麗な金色となると、かなり強力な雷の適正だぞ。やっぱり白銀の血を引いているのか。」
前にも言われた白銀の血というのはよくわからないが、どうやら自分は雷魔法に大きな適正があるようだった。
光大も雷魔法を使うようなので、当然といえば当然だが、ここまで強い金色は初めて見たらしい。
「僕強いの?」
「強い弱いは、これからのお前の努力次第だが、持って生まれた才能は相当のものだぞ。」
「じゃあ今すぐ魔法の練習がしたい!」
光大はすぐには答えずに、少し考えてからこう言った。
「雷輝。お前は魔法を何のために身につけたいんだ?」
どういうことだろう。予想外の質問に身が固まった。何のためもなにも、魔法が使える世界に生まれたのだから、身につけるのは当然なのではないのか。
「魔法はみんな使えるんじゃないの?」
「それはそうだ。でもな、普段生きてて魔法を使っている人を見たことなかっただろう。なんでだとおもう?」
確かにそうだ。だから魔法が存在すること自体全然知らなかった。光大も遥も普段魔法を使っていないし、街中を歩いてみても使っている人は見かけなかった。
もしかすると、法律かなんかで日常的に使うことを禁止されてるのかもしれない。
「普段は使っちゃダメってなってるとか?」
「それも一つではある。国の法律で、一定の資格を持っているもの以外は公共の場で使うことは禁止されている。」
「でもな、法律云々以前に、魔法はとても強力で危険な力だ。無闇に使うものではない。他人を傷つけることだってできる。子供のコントロールの効かない魔法などもってのほかだ。」
確かにそのとうりかもしれない。
例えば街中で子供がふざけて魔法で遊んだりする。それがロクに制御もできず、周りの人に危害が及ぶなんてことは容易に想像することができる。
雷輝のような大きな魔力を持っている子供などなおさらだ。
「わかっただろ。お前が13ぐらいになって魔力を安定させやすい歳になってから教えてやるから。」
そう言われれば引き下がるしかない。そう思った直後、ある考えが浮かんだ。
日常的に魔法を使うことが禁止されてるのなら、その中で法を破って魔法を使い、犯罪に手を染める輩も少なからずいるだろう。
もし、自分や自分の大切な人がそのような危険に晒された時に、魔法が使えないとどうなるだろうか。
結果は目に見えている。一方的に蹂躙され、反抗する術などなく窮地に立たされる。
大切な人を守るために、今度こそ家族を守るために、なんとしても魔法を覚えないといけない。
家族を襲われたことなどないはずなのに、何故かそんな思いが雷輝の中で強く膨れ上がった。
「家族を守るため…。もし何かあった時に光輝を守るために魔法を覚えたい。」
光大は驚いた顔をして雷輝を見た。これで魔法を今覚えるのはあきらめると思っていたのに、予想もしない言葉が返ってきたからだ。
4歳の子供から、家族を弟を守るという考えが浮かんでくるなど思いもよらなかった。
「…そのためだけに、魔法を使うと誓えるか?」
光大は見たことないような真剣な顔で雷輝を見てきそう聞いた。
「うん。僕誓えるよ」
普通だったら、何を言われようとまだ4歳の子供に魔法の使い方を教える父親はいないだろう。
しかし、光大は雷輝のその瞳にこの子は本気で家族を守るために魔法を覚えたいという思いを感じた。約束を破らないという確信があった。
(俺も大概親バカだな)
「よし。じゃあ明日から魔法の訓練を始めるぞ」
こうして、魔導師の父による容赦のない訓練が始まった。
書くの結構難しい!疲れる!
小説家さんってすごい!!