プロローグ
まずは読んでいただきありがとうございます!
小さい頃から妄想してた話を小説にしてみたいなと思い投稿しました。
至らぬ点などございますが、楽しんでいただけると嬉しいです。
一応転生ですが、俺Tueeeee系では一切ないです。よろしくお願いします!
―――夢を見た。腕の中には綺麗な栗色の髪をした少女の骸。目の前には黒い男。俺は彼女を殺したであろうそいつを、怒りのままに殺そうとする。
何度も、何度も、何度も…。しかし、漫画やラノベのようには上手くいかず、為すすべがないまま俺は命を落とした。
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ラノベの読みすぎだろうか。我ながら、23歳にもなってこんな夢を見ていることを恥ずかしく思う。
今朝見た夢を思い出しながら、今日も立派な社畜として仕事をこなす。安定の残業を終え、23時に帰宅する。
いくら日本がブラック会社ばかりだからとはいえ、ここまで徹底してブラックなのも珍しい。
「同期は全員辞めて、俺一人なんだからもう少し優しく扱ってくれたっていいのになぁ」
そんな文句を垂れながら、来生は今日も家族の待つ家に帰る。彼には父親がいなく、可愛い弟と優しい母の三人暮らし。どんなに仕事が嫌でも、家族のためを思えば頑張ることができる。
「ただいまー」
「おかえり。今日もお疲れ様」
母はいつものように玄関で迎えてくれる。カバンを渡して、部屋にコートをかけに行こうとすると弟の幸来に呼び止められた。
「にいちゃんおかえり!ゲームしようよゲーム!部活終わってから帰ってくるのずっと待ってたんだぞ!」
来生が疲れているのを分かっている上で、ゲームに誘ってくる幸来。彼は兄が自分にせがまれると断れないのをしているのだ。
「疲れてるんだけど…まぁ一戦だけならやってやるから、ちょっと飯食うの待ってろよ」
「あいあーい」
幸来はてきとうに返事をすると、ゲームの用意をしにリビングへと駆けて行った。
「今年から大学生だってのに、あいつも変わんないなぁ」
幼少期から来生にベッタリだった幸来は、いつまでたってもお兄ちゃん子だった。
父が他界し、母が仕事で家を空けるため、ずっと二人一緒だったのだから仕方ないと言えば仕方ない。
どんなに仕事が辛くても、この三人で過ごす日常という幸せがある。この幸せがいつまでも続くと、そう思っていた。
ーーこの時までは。
突然雷に打たれたような大きな音が鳴り響き、家の電気が一斉に落ちた。
「なんだ…?停電?」
雨の予報なんて無かったが、雷にでも打たれたのだろう。来生がブレーカを上げに行こうとしたその時、母の聞いたこともないような悲鳴が聞こえた。
「母さん!?どうした!?」
嫌な予感がする。叫ぶと同時に部屋を駆け出し、母の悲鳴が聞こえたリビングへと飛び出した。
吐き気を促す血の匂い。飛び散った肉片。目の前には黒い男と母の骸。心臓の音がうるさい。目の前の光景が認められない認めたくない。ふと、今朝の夢を思い出した。
「これは夢だ、きっと夢だ、そうなんだろ!」
頬を引きちぎるぐらいの勢いで引っ張るが、しっかりとした痛みと供にこれが現実にだと突きつけられる。どうしようもない絶望と、意味のわからない状況に、頭が一切回らなかった。
「あぁ…。やっと見つけましたよぉ…。おまえ。おまえおまえおまえおまえぇえええええ!!!おまえを殺せば全て元どうりなんだよなぁああ!!!」
母を殺したであろう黒い男は、発狂すると同時にその腕で来生の胸を貫いた。
体が焼けるように熱い。これが怒りでなのか、胸を貫かれたからなのかわからないが、来生の頭には目の前の男を殺すことしか頭になかった。
「ころす、ころしてやる、どうして、どうしてかあさんを…」
怒りとは裏腹に体は動かず、五感もままらなくなってきた。視界がぼやける、自分の命が消えていくのがわかる。せめて弟だけはと思い、弟に逃げろと伝えようとした。
「弟…は…」
「おとうとぉおおお??これのことですかぁあああ??」
黒い男は楽しそうに目の前に生首を差し出した。目の前に出されたのは、間違いなく幸来だった。
それを見た瞬間。カチンと音が鳴り体が動き出した。
唐突に現れた男に母も弟も目の前で殺されて、どうしようもない怒りを拳に込める。
「殺してやる!!」
瞬間右手が雷を纏い、黒い男に突き刺さった。光が走り雷鳴が轟く。右手は男を貫き、閃光と供にあたり一面を吹き飛ばした。
何が起こったのかさっぱりわからなかったが、目の前の男の命を奪ったことは確信できた。
こんな最期は嫌だった。母にも弟にももう会えない。自分の命ももうあと少しで尽きる。
「でも、あいつは確かに殺したよ。母さん、幸来。」
最後の言葉を言い、来生は死を迎えた。
その瞬間。まばゆい光が溢れ出し、世界一面を包み込んだ。
まずはプロローグです。
少しでも続きが気になっていただいたら、一話二話とよろしくおねがいします!!