第4夜 アイアンメイデン
再び夜だった。
私は、物狂おしい、焦燥にかられていた。
私の愛する妹がその日なくなったのだ。
14歳の花も恥らう乙女だった。
それがふとはやり病に罹りあっという間に憔悴しきり骸骨のようになって痩せさらばえて、
事切れてしまったのだ。
なく涙も枯れ果てて私は、その骸にすがって夜どおし泣き明かすしかなかった。
私は一人、妹の顔に死に化粧を施し、納棺の準備をするしかなかった。
愛する妹よ、それは14歳のアフロディテだった。
神はなんとむごいことをするのか?
私は神をのろい、妹をどうか生き返らせてくれと、懇願した。
私はいつしか眠りこけていたようだった。
性も根も枯れ果てたためだろうか?
眠りは重ぐるしく、私は夢を見たようだった。
そこは、薄暗い地下室で、中世の異端審問所を思わせるような、
地下牢だった。
拷問器具が所せく並べられて、不気味だった。
私は何かに導かれるように、奥へ進んでいった。
突き当たりに、鋼鉄の少女像が安置してあった。
物悲しそうな鋼鉄の像、
そのとき、どこかから、
つぶやくような声が、
「鋼鉄の中には、真実がある」
といっているようだった。
私は近づき、よく見ると、
鋼鉄の少女像にはヒンジが付いていて、施錠されており、
開閉できるようになっていたのだった。
私は辺りにカギを探した。
そして何気なくポケットに手を入れると、じゃらんと、カギが手に触れた。
取り出して、鋼鉄像の鍵穴に差し込む。
するとぴたりとはまってかちっと、カギは開いた。
私はためらうことなくぎいっと、あけた。
開かれた鋼鉄の扉の向こうには、
何十本もの鋼鉄の串に刺し貫かれた妹の死骸が
血だらけでたたずんでいたのだった。
第4夜 終わり。