キスの日
「今日ってキスの日なんだってさ」
得意気に君は言った
「ねえ、キスしない?」
はあ?!
「ふふっ、キスするね〜」
〝ちゅっ〝
「かわいいなあ」
かわいくなんてないのにな
「あなたとずっと過ごせたらいいのにな」
…それは無理だ
「あーあ、大人だったらなあ」
そうだな
「こんな子供じゃ何もできない」
何もってことはないとは思うんだが
「苦しい、つらいよ」
涙をこぼすな、ばか
「力が欲しかったよ」
泣くなよ
「ひくっ、ひくっ」
やめろ、俺はお前の顔を触れないんだ
「どうして、どうして…僕に力があったらあなたと共に生きられたのに」
いや、俺に力がなかったからだ
「ごめんごめん」
—そして君は謝りながら消えていった
俺も一緒にいきたかった、君と
-俺は口を塞がれ、手足は拘束され、何もできない状態
-最期まで俺の命乞いをしながら死んでいった愛する人…君との初めてのキスは触れることがなかった
早く君のもとへいきたい…