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ティッシュで恋しました。  作者: ウィング
4/4

最終話 終了式

最後です。

 

「同じクラスで一年、特に何も起きなかったな」

「当たり前だろ、世の中そんなに甘くねーんだよ」


 終了式ということもあり、今は校長先生の長ったらしい話の真っ最中。

 多少前後と話す分には問題もないだろう。


「来未のことを俺は本気で好きだったんだぜ? なのにさ、付き合えないなんてよ」

「諦めろ、顔が悪かったんだ。かっこよければモテる、かっこよくなければモテないんだよ」

「お前はモテるのか?」

「フッ……言ってなかったんだけどな、俺、来未と付き合ってんだぜ」

「はああああ!?」


 驚きのあまり大声を出して立ち上がった。

 すると、


「おい! そこのやつ、うるっさいぞ! 廊下に出て反省してろ!」

「す、すみません」


 校長が自らの話を遮って俺に声を掛けてくる。

 その声でみんなが俺の方を向いた。

 ……公開処刑もいいとこだな。


 ――時間も過ぎ、今はホームルーム。

 これが終われば一年生は終了。

 終わる際には光を殴って締めようか。


「じゃあこれで終了です! 良い春休みを!」


 担任のその言葉で立ち上がり、光の元へ行った。

 理由はもちろん。


「光、殴らせて」

「えっ、嫌だけど」

「お前に拒否権なんてねーんだよっ!」


 俺がそう言って殴ろうと手を振りかぶると、


「待って!」


 一人の女子の声が。

 その声の主はそう――来未である。


「来未ちゃんには分からない、男の事情なんだ! どいててくれ!」

「なんでよっ! その人は私の彼氏なの! 殴られそうになっているのを、見て見ぬ振りするなんて無理だよ!」

「なんで……なんで俺じゃなかったんだ! 光と違って俺はティッシュをあげたり、君に優しくしたのに……! なんで……!」

「顔がタイプじゃない」


 俺の一番言われたくないセリフを言いやがって……!

 しかも好きな女子に。

 かくなる上は、


「ここで死んでもらおうか」

「拓海さ、とうとう頭がいかれたのか? 何でこんな訳の分からない事で死人を出さなければならないんだ」


 俺が本気で光に訴えるも、光は真に受けない。

 椅子を拾い上げ、


「死ねぇぇえええええ!」

「ちっ」

「ぐはっ!」


 舌打ちしながら俺の腹をえぐりこむように殴った光。

 俺は吐血しながら倒れ込む。


「光……。こんなことして済むと思うなよ。人間として、学生として許されるもんじゃねーぞ!!」

「先に仕掛けたのはお前だろ、拓海。まあ死んだら骨だけは拾ってやるよ。フハハハハハハ!」

「てめぇだけは……ガハッ……許さないからな……!」


 最後にそういうと、俺は気を失った。

 お花畑にいる中、何故か人間界から声が聞こえた。


「キモ豚野郎拓海、ティッシュだけは貰ってあげるよ、あっははははは」


 俺はどうやら変なやつを好きになってしまったんだな。

ありがとうございました。

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