第二王子の最後
今回は第二王子視点になります
忌々しいミューラーめ!
母を陛下の側室に出したからと言って好き勝手してる癖に!
オレが知らないとでも思ってるのか?
自分は好き勝手してる癖に、オレにはあれをするなこれをするなと、いちいち口出ししやがって!
「殿下。捕らえて来やしたぜ」
「縛ってその辺においておけ! 早くロイスブルッグにクリスティーナを連れてくるように手紙を渡して来い!」
チッ男なんか捕まえて来やがって。
この役立たずどもが。
ああ、クリスティーナ。
早く来い。
お前もこの国もオレのモノだ。
お前の可愛い顔が苦痛と絶望で歪むのが早くみたい。
ロイスブルッグのジジイにも見せてやる。
自分の立場も弁えないあのジジイにもな。
目の前で孫娘が汚され壊れていくのを見せてやる。
「おい! まだか!」
「すいやせん。あいつ何処で油売ってんだか」
クッソ。
何をグズグズしてやがる。
使いっ走りも出来ないのか、こいつらは!
「誰だ!?」
「テメエ!!」
なっ、なんだ!?
何なんだよ! この全身黒ずくめの奴等は!
ロイスブルッグか! あのジジイ!
「こっちには人質が居るんだぞ!」
「お前ら! オレが誰だか知らんのか! 親父は国王なんだぞ! オレは第二王子の……」
こいつら狂ってやがる!
人質が居るのに! オレは第二王子なのに!
問答無用でみんな倒されていくじゃねえか!
おのれ、ロイスブルッグ!!
許さんぞ! 貴様だけは必ず地獄に……
「本当に大丈夫なのだな」
「知らん。別にこの国がどうなろうがオレには関係ない。貴様も巻き込まれたくないならば、さっさと消えろ」
ここは、城の何処かか?
何故オレは城に?
確か黒ずくめの連中に……。
クッソ。縛られて動けないし声も出せない。
それにあいつはハリフスだ。
あのいけ好かない野郎の取り巻きが何故オレの前に?
「おやハイド殿下がお目覚めのようだ。殿下。御自分の状況はお分かりですか?」
「うーうー……」
「殿下はこの国始まって以来の最低の王子でしたが、最後の最後に役に立ちますよ。貴方はこの国を終わらせる、魔物となるのです。あとは我がオルボア公国にお任せを。最低最悪の王子だったと歴史に記してあげますよ」
ハリフス! 貴様!
クッ、オルボアの犬め!
「早く消えろ。魔族化したら私にもどうすることも出来ん」
「では殿下。御別れを」
魔族化だと!
ふざけるな!!
オレは王になるんだ!
王になって貴様ら全てを……。
おうに……なるん……だ……。
クリス……ティーナ……。




