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変化する情勢

 伯爵様の馬車が王都に到着したのは夕方だった。


 こちらは流石に襲われることはなかったものの、早く着いたとてこの日に即登城できる訳ではない。


 国王には事前にアポイントを取って指定された時間でなくば会えないようで、それを管理しているのが侍従や側近になるみたい。


 宰相や大臣も居るようだけど侍従や側近も含めて、全て中央の貴族と一部の大貴族の持ち回りで役職についているらしい。


 事実上の国を動かしてる人達なんだろう。


「司令。ちょっと風向きが変わって来ました。ミューラー公爵が第二王子を切り捨てたようです」


「切り捨てた? 今ごろになって?」


「どうも思っていた以上に第二王子が愚かで、使えないと判断したようで」


 きっと建国当初は立派な人達だったんだろうなと考えていると、第二王子に張り付けていた虫型の超小型偵察機が、思いもよらない情報を拾ってきたようだ。


 今更それはどうなんだ?


「原因は?」


「私達がクリスティーナ様の追っ手を始末したことです。ミューラー公爵は国を潰す気までは、ないようですから」


 原因はオレ達か。


 皮肉な結果というか、こうなることを予期しなかったオレが馬鹿なのか。





「引き際としては悪くないね」


「ジュリア。褒めてる場合か?」


「そのミューラー公爵使えないかい?」


「使え……るか?」


 予期せぬ報告に困惑するオレと違い、ジュリアはミューラー公爵を褒めていた。


 しかしそんなジュリアの考えに、オレはハッとしたようエルを見た。


「使えるでしょう。作戦を少し変更しても使うべきだと思います」


「じゃあ、エルとジュリアは伯爵様と合流して。作戦を変更しようか。立ってる者は親でも使わないとね」


 オレからすれは王家や国がどうなろうと興味はないけど、伯爵様はきっと作戦を変更した方が喜ぶだろう。


 多くの兵を死なせたことを悔いて、今まで生きてきた伯爵様ならば。


 今回の件もクリスティーナ様の話が出ないならば、爵位と領地返上まではしなかったと思う。


 伯爵様の願いは自分が爵位と領地を返上することで、国王陛下に目を覚まして欲しいというのもあるんだ。


 実際庶民に英雄と言われる伯爵様が、爵位と領地を返上するなんて王家とすれば不名誉もいいところ。


 ミューラー公爵は協力するかな?


 彼自身には損はないし、長い目でみれば得にもなるだろう。


 王太子殿下がどんな人物かは知らないけど、伯爵様は次期国王となる王太子に仕えることを拒否するようなもの。


 現国王陛下ばかりか、王太子殿下の治世にケチを付けるようなものだからね。


「では行って参ります」


 王都の近くで迷彩バリアを張って待機する戦闘艦から、エルとジュリアを送り出して残ったケティと一緒に一息つく。


 ついさっきまでは敵として扱っていた相手が、一瞬で味方とまでは言わないが協力者に変わるかもしれない。


「現実は難しいな」


「同意する」


 ここまで混乱してながら誰も国を潰す気がない貴族に理解出来ない部分がオレにはあった。



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