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王都の情勢

 そのままオレ達も手伝い貴重品から荷物を纏めて、一部は飛行機に積んで拠点に輸送を始めた。


 しかし引っ越しというのは時間のかかる物で、まして貴族様の屋敷の規模となると夜間だけでは数日は掛かるだろう。


「三百名程ですか。分かりました。準備致します」


 それと伯爵様に付いてくる人員は、使用人や兵士の家族と一部の町の住人を合わせて三百名ほどになるようだ。


 三千人の町の三百人は多いだろう。


 ましてここは町の外は危険な世界なのだ。


 大半は次の領主を見極めるだろうと、伯爵様や家令の人は話してる。




「残念ですが状況は良くありませんね。王位継承問題は解決どころか悪化してます。情勢は王太子殿下有利ですが、第二王子は母の実家であるミューラー公爵が、何としても挽回しようと躍起になってます」


 結局オレ達はあまり遅くならないうちに、屋敷の荷物を纏めるのを使用人に任せて王都近郊の町に戻った。


 翌日は予定通り伯爵様が風邪を引いたことにして、出発を見合わせている。


 午後にははやくも王都の第一報が入ってきたが、エルの報告に伯爵様の表情は険しい。


「この宿も見張られてるね。どっちの奴か知らないけど」


 どうもバカ王子と評判の第二王子を、側室である母の祖父の公爵が王位に就けて国を牛耳りたいらしい。


 王太子の母は王妃であるが、外国の王室出身なのも地味に問題になってるようで、現在その国とは関係悪化してるのも第二王子を王に推す勢力の言い分なんだと。


 王太子の方はバカとは言われてないが、あまり人前に出ないので人柄まではまだ調査では分からないみたい。


「王太子殿下はワシもよく分からん。将軍職を辞めてから中央との関わりはあまりないからの。第二王子とは違い何かをしたと聞かぬし、周りの言いなりだとは噂で聞いたがな」


「第二王子の方はどうなんです?」


「女癖が悪いのは有名じゃよ。最終的に非公式にでも養うなら文句も出ぬのじゃろうが、子が出来たら捨てるらしいからの」


「なんで捨てるの?」


「金が勿体ないと言っているとの噂じゃ。それと捨てられて絶望する女を見るのが好きだとも聞いたがの」


 王太子殿下と第二王子に関しては、伯爵様もあまり面識がないのでよく知らないのか。


 中央の貴族にうんざりして領地に引きこもっていたみたい。


 ただまあ第二王子がクズなのは、現状でもほぼ確定しているけど。


 女性陣は第二王子の話によほど不快なのか、怒りの表情すら見せてる。


「このまま行方知れずになるのは、ダメなのですか?」


「出来ればけじめはつけたいの。先祖代々仕えた王家なのは変わらん」


「王都の屋敷の荷物を運び出すのに、一晩は欲しいですね。最大の問題はおとなしく帰してくれるかという事ですが」


「陛下は恐らく引き留めはしても、それ以上は追わんとは思う。じゃが第二王子が黙って見過ごすとは思えん」


「派手なパーティになりそうだね」


 夜逃げ屋さんの方はまあ問題ないだろうが、問題は伯爵様が無事に国と縁を切れるかだ。


 オレとしてはこのまま行方知れずになることが最善だと思うけど、伯爵様はけじめをつけたいらしい。


 実質的な王都からの脱出ミッションだな。これは。



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