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風車の町にて

 出発は夜が明けてすぐだった。


 みんな危険な山を一刻も早く下りたいようで先を急ぐが、冒険者達の言うように道は広いし、昨日とは違って下りなので進むのは早かった。


「ここまで来れば王都までもうすぐですよ」


 お昼過ぎには無事に山を下る事が出来た。


 少し遅い昼食にしながら今後の日程を聞くと、山を越えてから王都までは約二日で着くらしい。


 景色としてはまだ山の向こうとそう変わらないが、この辺りは王都の騎士団や軍が定期的に巡回しているので比較的安全みたいだ。


 ただ旅の終わりが近いからか、クリスティーナ様は時々少し寂しげな時があるけれど。


「伯爵様。ありがとうございました」


「うむ。また頼むかもしれん。それまで達者での」


 そして山を下ると魔物に襲われることもほとんど無くなり、オレ達は今夜の泊まる町に辿り着いていた。


 冒険者達とは町の商会でワイバーンの魔石や素材を換金した後に分配して別れている。




「風車があるんですね」


「この辺りは山から吹き下ろす風が一年を通してあるんですよ。それで麦を粉にして王都に運ぶそうです」


 さて今度の町は昔のヨーロッパを舞台にしたアニメにあったような、風車が十基もある結構大きな町だった。


 家も石造りの頑丈そうな家がほとんどで、どこか風の町とでも呼びたくなるような町だ。


 ここらは王領で王都までは草原と穀倉地帯が続くらしい。


 町と町の間の輸送が貧弱なこの世界では、大都市は食糧を生産出来る穀倉地帯にあるのかもしれない。


「ねえ、ダンジョンってどんなとこだい?」


「ダンジョンですか? 王都近郊にあるのはとこしえのダンジョンですね。現在判明してるので地下78階まであることが判明してるダンジョンです」


 そんなこの町の名物は風車で挽きたての小麦を使って焼いた白いパンらしい。


 宿屋に向かう途中には美味しそうな白いパンに肉を挟んだバーガーのようなパンを売る屋台があり、伯爵様が兵士を含めた全員分買ってご馳走してくれた。


 みんなで町を眺めながら食べていたらジュリアが何処で聞いてきたのか、ダンジョンの話を物知りメイドのメアリーさんに尋ねていた。


「78階って、凄いね」


「はい。何でも5階毎に転移魔法陣が中にあるらしく、一気に降りるようではないのですが。王都に出回る魔石や魔物の素材はほとんどがダンジョン産です」


「誰でも入れるのかい?」


「いえダンジョンの管理は国営のダンジョンギルドが運営してまして、そこに登録と入るのに税がかかります」


 ジュリアのやついろいろ聞いてるけど、まさか行きたいとか言わないよね?


 もぐらじゃあるまいし、オレ狭い穴の中なんて嫌だよ。


 それにしてもダンジョンの扱いが、完全に資源のように考えてるのが何気に凄い。


 ポジティブと言うか何と言うか。


「今夜の宿屋もまた立派ですね」


「この辺りは安全で王都が近いので、王都の人達が少し遠出してくる人も多いんですよ」


 そして今夜の泊まる宿屋は石造りで三階建ての、ちょっとしたお城みたいに綺麗な宿屋だった。


 王都近郊の観光地らしいのでそのせいだろう。


 実際今までの町よりあか抜けていて、ちょっとした観光地みたいな景色で町並みも大通りはあまり生活感が見えなかった。


 町の人の服装も今までの町や村より派手というか綺麗な服を着てる人が多いしね。


「凄いですね。部屋に水道はありますしトイレも水洗でした」


 部屋はオレ達は四人部屋で、クリスティーナ様とメアリーさんは伯爵様と同じ部屋になるようだ。


 かなりお高い宿屋らしく日本の高級ホテルを思い出すインテリアに、水道と水洗トイレは元より部屋にバスルームまである。


 まあ日本に居た頃は高級ホテルなんか行ったことないけど。


 ちなみにこのホテルに一番喜んでるのは、意外というかエルだった。


 三人の中で一番綺麗好きなんだよねエルって。


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