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男達のくだらない会話と女性の現実

 いい年して寝る場所で揉めたことに呆れられたけど、その後は特に何事もなく朝を迎えた。


 夜中には何度か魔物の襲撃もあったが、冒険者達により倒されて犠牲者も出ていない。


 ワイバーンは戦った場所と守るべき馬車のせいで苦戦したようだけど、平地なら普通に勝てるだろうとジュリアが言ってた通りだろう。


「なあ、アンタ。あの子達ってやっぱりアンタのコレか?」


「止めろって。見れば分かるだろうが」


 翌朝になりオレは出発前に馬に水をあげようと近くの小川で水を汲んでいると、伯爵様が雇った冒険者のうちの二人に声をかけられた。


 声をかけてきたのは昨日騒いでいた剣士と魔法を撃っていた男性だ。


 共に20代前半のギラギラしたような二人だけど、魔法使いの方は少し常識人っぽい。


「ええ。まあ」


「何処で知り合ったんだ?」


「故郷で一緒だったんですよ。そのまま一緒に旅に出てまして今は伯爵様にお世話になってるんです」


「やっぱり、そうか。あんな子達が普通に故郷に居たなんて羨ましい」


 どうやら彼はオレが一人になるのを待っていたみたいだな。


 小指を立てて女かと聞かれたので、つい肯定してしまった。


 厳密に言えば違うんだけど、否定して変に期待を持たれて言い寄られるのは面白くない。


「あー、悪いな。こいつどうしても気になるって言うから」


「いえ。でもミランダちゃんはいいんですか?」


「男はどれだけ女を養えるかだろ? もちろんミランダちゃんが一番だけどさ!」


「お前はその一番にも貢がされてるだけなんだって」


 ただ常識人って魔法使いの人に謝られると、なんとなくこの人の苦労が分かる気がして苦笑いを見せてしまう。


 しかも何故かオレは剣士の人に同士だと誤解されてる気がする。


 いや女は嫌いじゃないけど、流石に同士ではないと思うんだが。


 もしかしてオレって若いのに女でハーレム作って旅してる、ハーレム野郎だって周りから見られてたの?


「今日も危険なんですか?」


「いや。一番危険なのはあっちからの登りだから、これからは道も広くなるしそうでもないよ。それにワイバーンなんて本当滅多にこっちには来ないから」


 エル達とはそんなんじゃないのに。


 微妙に傷ついた心を誤魔化すように、オレは話を変えて二人と別れた。


 


「アレックス! 多くの妻を持つのは裕福な男の義務なのよ!」


「それ本当なんですか?」


「そうですね。貴族様はもちろん商人や村長なども、妻は複数居ますよ。アレックスさんは皆さんが居るので違いますけど。普通の方ですと女性が放っておきませんから。貧しい村などでは特に抜け出したい女性はいくらでも居ます。みんな必死です」


 馬車に戻りエル達に冒険者達と話したことを何気なく話すとジュリアは笑っていたけど、オレ達が異邦人であることを知るクリスティーナ様には当たり前のように冒険者の言うことが正しいと言われる。


 クリスティーナ様には悪いけどちょっと信じられなくてメアリーさんに話を振ると、ハーレムというにはあまりに厳しい現実を知らされた。


 愛や恋だと言ってられない女性はこの惑星には多いみたい。


 田舎の村だと日々の食べる物すら厳しい村もざらにあって、抜け出したい人は男女共に多いのだと。


 そんな男性は冒険者になる者が多いが、女性は危険な冒険者よりは村に訪れる行商人や高ランクの冒険者の妻を狙うらしい。


「田舎の村だと宿屋に泊まるとたいてい女性が来ますよ。若い子から未亡人まで様々な女性が。抜け出せなくても現金収入にはなりますから」


 ただ現実は無情で、ほとんどは一夜の相手をして僅かばかりの現金を得るのが精一杯なんだとか。


 エル達は少し微妙な表情をしてる。


 アンドロイドとはいえ同じ女性で、しかも愛や恋が当たり前に許される時代に生み出された仮想空間の彼女達には、正直ファンタジーの現実はあまりに厳しいと感じるのかもしれない。




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