戻ってみれば
「酷いですわ! 私も行きたかったのに!」
楽しかった露天風呂から戻ると伯爵様より一足先に戻っていたクリスティーナ様に四人揃って怒られました。
「申し訳ありません。クリスティーナ様」
伯爵家のお嬢様を露天風呂の混浴には誘えないと思うんだけど。
仲間外れみたいで嫌なんだろうか?
弁明をしようかと思ったけどエルが先に謝っちゃった。
露天風呂でどうしたかって?
ラッキースケベなイベントなんてないよ。
ただ特大・大・小とそれぞれの乳神様と裸体を拝んで終わり。
十年は戦えそうなほどだけど、あそこで見る以上はオレには無理だね。
正直ぶっちゃけ本能を剥き出しに出来る人が羨ましいと思わなくもない。
言い訳をするなら長い付き合いだからね。
でも露天風呂に行こうと言い出したジュリアには後でお酒を差し入れてやろう。
「夕方にでも四人で行ってくればいかがです?」
「貴方もいくんですのよ! アレックス!」
「オレ男なんですけど? クリスティーナ様はダメでしょう。 嫁入り前なんですから」
問題のクリスティーナ様はやっぱりまだ子供なんだろうね。
機嫌がなかなか直らないからエル達と行ってくるように勧めたら、オレまで一緒に連れてこうとするし。
オレ別にロリコンじゃないから気にしないけどクリスティーナ様の立場じゃダメだろうに。
「アレックス。昔の偉い人がおっしゃってますわ。貴族は建前と本音を使い分けなさいと!」
いやクリスティーナ様。
それは多分別の意味で使った言葉です。
「それにこうもおっしゃってますわ。一度逃したチャンスは二度と来ないと!」
それも多分別の意味で使う言葉です。
こう言うときはお付きのメアリーさんにと期待して視線を送るが、サッと視線を逸らされた。
「クリスティーナ様。伯爵様の許可が下りたら私たちは構いませんよ」
「分かりました。メアリー。お爺様の元に行って許可を取ってきなさい!」
最終的にエルが妥協案として伯爵様の許可をと告げるとクリスティーナ様はメアリーさんを伯爵様の元に向かわせる。
どんだけ露天風呂に行きたいんだ。この子は。
「旦那様はクリスティーナ様に任せるとのことです。皆様にはよろしく頼むと」
伯爵様……。いいのか?
「さあ! お昼を食べに行きますわよ!」
まるで我が世の春が来たと言わんばかりのクリスティーナ様に連れられるようにして、オレ達はお昼を食べに町にくり出すことになる。
実際伯爵様と一緒に旅をするようになってからオレ達は宿屋の代金も払ってないんだよね。
まあ伯爵様がいいなら構わないんだけどさ。
乳神様がまた拝めると思えば。




