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ファンタジー世界に宇宙要塞でやって来ました  作者: 横蛍・戦国要塞、10巻まで発売中です!
馬車の旅(仮)

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旅の再開

「伯爵様。皆様。本当に本当にありがとうございました」


 翌朝伯爵様とオレ達は少し遅く日が完全に昇りきった頃に村を出発することになった。


 負傷した兵士達の体調も回復薬と一日休んだ影響でかなり良くなっているし、討伐隊の人達や街道を行き来する人達に少しでも部屋を空けるべきだと伯爵様が気を利かせたようだ。


「お兄ちゃんもお姉ちゃん達も また来てね!」


「待ってるからな!」


「絶対だよ!!」


 村長さんを筆頭に村の人全てに見送られ惜しまれながらの出発はヴェネーゼに続いて二回目だが、オレはついこの村に住みたいとすら思えるほど愛着が湧いている。


 僅か二泊三日の滞在ながら村の人との連帯感はあったし一緒に夜明けを待ちわびたあの夜は忘れられない想い出となるだろう。


 この惑星の人の優しさも強さも弱さもこの村の人に本当に多くのことを教えられた。


 元気よく手を振る子供達を見ているとかつての自分を思い出し、恩人の人がオレにしてくれたように子供達に少しでも何かしてやれたかなと思うと誇らしい気持ちになる。


 いつかあの子供達が大きくなったら伯爵様やオレ達のことを思い出して、また誰かを助けてやったらこれほど幸せなことはないだろう。


「旅に出てよかったな」


「でしょ!」


 この旅は特に目的や必要性があった訳ではなくジュリアの思い付きだったんだけど、こうして人と出会い別れていくと本当に旅に出てよかったと感じる。


 ボルトンさん達とか村の人達とか伯爵様達とか。


 かけがえのない人達に出会えたんだから。





「ところでクリスティーナ様。どうしたんです?」


「昨日は少しはしゃぎ過ぎましたわ」


 村が見えなくなるまで村の人達に手を振りこの日もオレ達の馬車に乗ったクリスティーナ様に声をかけるが今日は昨日の宴が別人のように大人しい。


「貴族様も大変なんですね。でもまあいいじゃないですか。たまには」


 よく分からないが本人的には大人のレディのつもりなんだろうね。


 オレの顔をチラチラと見て昨日のことを気にしてるようだ。


「ロボとブランカの目が開いてきた」


「本当ですの!」


「可愛いですね」


「ちょっと! 私にも見せてよ!」


 ただクリスティーナ様のレディモードは長くは続かなかった。


  この日は少し遅いお目覚めのロボとブランカの目が少し開いてきたのをケティが教えるとクリスティーナ様は年相応の笑顔で二匹の寝床の籠を覗いてる。


 オレとエルと侍女さんも一斉に覗き込むと瞼の中からつぶらな瞳が見えるロボとブランカは、耳をピクッとさせ匂いを嗅ぐように鼻をクンクンとさせながらも確かにオレ達を見ていた。


 馬車の御者をしていたジュリアはタイミングが悪くて見られなく騒いでいるけど。


「わふ!」


「く~ん」


「はい。今ミルクをあげますからね」


 流石に可哀想なのでオレが御者を変わってやると女性陣は目が覚めて動き始めた二匹に夢中になり、交代しながらミルクをあげてる。


「目が開いたならそろそろ首輪用意してやらないとな。間違って攻撃されたら困るし」


「すでに用意してあります」


 もう少しすれば二匹は動き回るようになるだろうと楽しみにしつつ首輪を用意してやろうかと思ったら、ちょっと自信ありげなエルがすでに首輪とお散歩用のリードを用意してる。


 でもその首輪ただの首輪じゃないよね?


 その首輪に着いてる宝石のアクセサリーみたいなのって確か使い捨てのバリア発生装置だし。


 きっと発信器も着いてるんだろうな。


 エルのやつ意外に過保護か?


「フフフ。立派な狼になれるように狩りの仕方教えてあげるよ」


「まだダメ」


「分かってるよ。でもすぐだよ」


「それにジュリアの狩りは雑だから二人には向かない。私が教える」


「失礼だね。アタシだって出来るさ!」


「二人ともいけませんわ! ロボとブランカが怖がります!」


 ジュリアとケティがいつものごとく口喧嘩を始めたけど、まだ子供のクリスティーナ様に大人のように注意されてる姿は笑えてくる。


 最高ランクのアンドロイドなんだけどね?


 エルと侍女さんもそれを見ながら笑いを堪えてるし。


 賑やかな馬車の中の様子をBGMにオレはまだ見ぬ世界が楽しみで仕方なかった。





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