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村での防衛戦その一

 その日の宿泊予定の村にたどり着いたのはちょうど陽が西の空に傾いていた頃だったが、村の入り口には松明のかがり火が用意されていて少し物々しい雰囲気だ。


「何かピリピリしてるよ。戦争でも始める気かね」


 村の中でも男たちが武装して少し殺気だっていて、オレは事情を知るためにエルとジュリアと共に伯爵様が村長さんのところに案内されるのに付いて行った。


「これは伯爵様。お久しゅうございます」


「今夜一晩泊めて欲しいのだが村がやけに物々しいのう。何かあったのか?」


「実はオーガが近くの森で目撃されました。隣町のお代官様に知らせて討伐隊を送ってくれることになりましたが、到着するのは早くても明日の午後だということなのです」


「オーガか。それは厄介じゃな。何匹だ?」


「最低二匹。あとは調査もまだ出来てなく。お泊めするのはもちろん構いませんが、万が一村が襲われたら伯爵様を守りきれるかは……」


 村長はまだ若い40代くらいの気の弱そうな男性だった。


 立場上貴族を家に泊めることもあるようで慣れた対応をしていたが、彼の口からオーガと聞くと伯爵様と連れの騎士の表情が険しくなる。


「うむ。ワシらは宿屋か無ければ酒場でも馬小屋でも構わん。女子供を村長の家に集めろ。討伐隊が来るまでワシも微力ながら力になろう」


「それは心強いのですが、もし御身に何かあれば……」


「どのみちオーガの居る近くをこれから移動する訳にもいくまい」


 オーガは無人島には生息してなくオレ達はまだ出会ったことがない敵性生命体だ。


 伯爵様は村で一番堅固な建物である村長さんの家を中心に防衛するよう助言する。


 狩りにいくと言わないところをみると盗賊とは訳が違うと言うことか。


「伯爵様。アタシが少し見てくるよ」


「ジュリア殿。貴殿はオーガと戦った経験は?」


「ないね。オークなら楽勝なんだけど」


「オーガをオークと一緒にしない方がよいぞ。力も早さも全く違うし何よりオーガはオークに比べると賢い。これから陽が暮れる時に行くのは危険すぎる」


 日暮れまで時間がないことで村長さんは伯爵様の指示通りに村の女子供を家に集めるように指示を出し、伯爵様一行とオレ達は宿屋をほぼまるごと借りることで休息を取りつつ今夜の対策を話すことにしたが偵察を買って出たジュリアに伯爵様のお付きの騎士が少したしなめるようなことを言った。


 ただジュリアを馬鹿にしてるとか甘く見てるというよりは若いジュリアを案じてるように見える。


 騎士自体は三十才くらいなため二十歳そこそこに見えるジュリアがいかに腕が立つとはいえ、まだ青いとでも見ているのかもしれないが。


「そうじゃな。ジュリア殿の実力を疑う訳ではないがこの時間に偵察は危険すぎるのう。オーガが居るとなると森の生き物も殺気だっていよう」


 そして伯爵様もまた騎士と同意見にジュリアの偵察に反対した。


 まあ当然と言えば当然なんだけど。


 普通に考えて見知らぬ夜の森に偵察に行ってこいと言うはずもない。


 ジュリアは多分やばそうならこっそり倒そうとでも考えたんだろうけどさ。


 とはいえ相手の数と状況くらい確認はしたいよね。


 こっちには偵察機もあるし状況を調べて対策を考えないと。


 そう言えばこの世界の防衛戦ってどうするんだろうか。




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