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海賊のアジト

 海賊のアジトは意外なことに、オレ達が向かっていた大陸の南端にある漁村だった。


 正確には漁村跡と言うべきか。


「この辺りの領主は居ないんですか?」


「この辺りは王領だ。代官は居るが海賊を捕らえるには船が要る。海軍は代官ごときには動かせないし、海軍自体も小物の海賊ごときじゃ動かん。それに下手すると代官は小銭で見逃してる場合すらある」


 地形的にギリギリ海賊のアジトから見えない位置に船を止めたオレ達はボルドンさんの船で作戦会議をするが、中世ファンタジーらしく統治者が役に立たないらしい。


 まあ身軽な海賊達の方が、統治者の隙を突きやすいのかもしれないが。


「海軍に目を付けられたら場所を変えると」


「ああ。あいつらも馬鹿じゃないんでな。食料調達が可能な村なんかは襲わん。小さな村だと現金欲しさに黙ってる場合もあるし、下手すると匿う時もあるんだよ。領地や村にマイナスにならないなら代官どころか村人も動かん。商人や商船が損しても連中の懐には関係ないからな」


「商いが上手くいかないと、皺寄せは最終的に弱者に行くんですけどね」


「目先の利益を捨てて損してまで、その先を考えられるようなら辺境の代官や村人なんかやってねえよ」


 ギャラクシー・オブ・プラネットでも宇宙海賊なんてのは居た。それにリアルでも世界を見れば、海賊なんてのが無くなることはなかった。


 原因は様々だが、結局人が人である限り犯罪は無くならないのだろうし、それはファンタジー云々でなくても同じだろう。





「海賊どもの話じゃ留守番の人数は十人ほどだ。最近捕らえた船と船乗りが捕まってるらしいから、やるとすれば夜だろう。海賊船で突入することになるがいいか?」


「少しよろしいでしょうか。先に何人か上陸させて、陸地からも手を回した方がいいかと思います。その人数では人質を取られて逃げられる可能性があります」


「確かにそうだが……この辺りは結構魔物が強いぞ?」


「アタシ達が陸地からいくよ。捕まってるやつらは任せとくれ」


 肝心の作戦だが、実はここに来る前にエル達が無人偵察機を飛ばして海賊達のアジトを調べている。


 海賊達のアジトには十人どころか、五十人ほどの海賊と海賊の味方らしい怪しげな連中がいるんだ。


 ボルドンさんはそれほど居ないだろうと予測してるようだけど、海賊達の自白した人数と実際の人数の違いから、エルは何かしらの罠だと予測してるみたいだ。


 そこで自分達が陸地から回り込み、海賊達のアジトを急襲する作戦を立てていた。


「その方がいいか。海賊どもの話を信じるのもどうかと思うしな。しかし本当に任せてもいいのか?」


「ああ夜だしね。連携を考えると無理に人を混ぜるよりは二手に分けた方がいいよ」


「よし。すまねえがそれじゃ任せた」


 ボルドンさんは危険な陸地からの急襲に少し反対のようだったが、ジュリアが自ら志願して任せろと頼もしい笑みを見せたことで引いたようだ。


 一度助けてるしボルドンさんとしても、捕まって奴隷にされてる連中はなるべく助けたいのだろう。





「司令。やはり罠のようです。超小型の偵察機により海賊達の本拠地の会話を聞くことが出来ました。四十名はボルドンさんを亡きものにする為の傭兵のようです」


「ボルドンのやつ、なかなか人気者じゃないか」


「性格がジュリアと一緒で単純」


「煩いね。こういう場合はシンプルな王道が一番なんだよ!」


 念には念をとエルは小さな虫型の超小型の偵察機を海賊達のアジトに放ったらしいが、やはりただの間違いや人数の水増しじゃないか。


 ジュリアは本当性格が単純だから笑ってるけど、ケティじゃないがボルドンさんは少しばかり単純過ぎる気がする。


 力押しのボルドンさんを、策謀を好む誰かが亡きものにする計画を立てたのだろう。


 海賊達が捕まった場合にアジトを急襲することまで読んでいたとすれば、ボルドンさんの船の乗組員は二十人ほどで、最低限を自船に残したとすれば多くても十四人から十五人。


 自分の腕に自信があり自ら斬り込むタイプのようだし、騙されたふりをした海賊のアジトの連中が逃げて追えば、隠れてる傭兵に囲まれて終わりだろうね。


「司令。船をエルに任せて私も参ります」


「うん。そうだね。ジュリアは敵の殲滅でセレスは人質の救助を」


 ボルドンさんには悪いがこのままじゃ殺られる。


 手を貸す以上は半端なことはしたくないし、セレスが自ら陸地から回り込む側に志願したので、ジュリアとセレスにロボット兵を二十体回すことになる。




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