初心者パーティの戦い
ダンジョンは意外にジメジメとしてなく快適な感じだ。
ロボとブランカは周囲を警戒しつつ、クンクンと匂いを嗅いでる。
「出た! ビッグラットだ!」
「よし、お前ら援護しろ!」
二匹の動きがピクっとして止まったのは、十メートルほど先に居た少年少女のパーティが戦闘に入ったからだろう。
真新しい皮の鎧を着たリーダー格の少年がロングソードを両手で握りしめ、50~60センチのネズミに突撃する。
「チュー!!」
少年少女のパーティは四人だ。リーダーの剣士にシーフ系の少年と魔法使い系の女の子に僧侶系の女の子。
バランス的に前衛少なくないか? ファンタジー物はあまり詳しくないが、タンクが居ないとキツそうなパーティだ。
「ちっ、こいつ早い!」
あーあ。剣士君ったら大振りしたせいで、ネズミに攻撃をかわされて反撃されてる。
シーフ君と女の子達はその様子に驚いたのか、慌てて攻撃しようとしてミスってるよ。
「うわっ!」
「ちょっと、ちゃんと押さえてよ!? 私達、接近されたら戦えないのよ!」
「ウルサイ! ちゃんと援護しないからだろうが!」
うーん。内輪揉めは戦闘が終わってからにしなよ。
どうしよっか。ロボとブランカは仲良くお座りして見てる。
ダンジョンに入る前に他人の戦闘に介入したらダメだって教えた事を理解してるのかな?
「ぼうやたち。手助けは要るかい?」
「要らない! このくらい僕の剣で……」
「たっ、助けて下さい!」
ダンジョンに入って分岐点が来る前の一本道で苦戦されたら、後ろの人は先に行けないじゃん。
ジュリアは仕方なく助けが要るか声を掛けるも、またもや意見がバラバラ。
もしかしてダンジョン初挑戦なのかな?
「ロングソードのぼうや。大振りしすぎだよ。剣を両手で胸の前に構えて軽く横に凪ぎ払うように。シーフのぼうやは動いて背後に回る。後ろの子達はいつでも魔法が撃てるように呪文を詠唱しな」
見てられないよね。ジュリアのやつ、手は出してないが口を出し始めた。
剣士君は文句を言いたそうな顔でこちらを見たけど、それどころじゃないんだろう。渋々ジュリアの指示に従い、他の三人はすぐに指示に従った。
「ほら、攻撃したら相手に攻撃されるよ。すぐに構える。魔法の準備が整ってるんだ。前衛二人は射程から離れな」
もう完全にジュリアの戦闘教室になっちゃった。
「やった! 倒したわ!」
結局大きなネズミ君は魔法使いの子の魔法で倒した。
まだ十ニ才か十三才だろう。将来が楽しみになるような可愛らしい子が嬉しさのあまり喜びの声をあげた。
しかし他の子。特に剣士君は不満げだ。
「勝手な口出しは迷惑です!」
「ちょっと、何言ってんの!? 助けてもらったのに!」
「そうよ! だいたいあんたがビッグラットくらい余裕だって言うから来たのに!」
不満げな剣士君は口出ししたジュリアを睨むと文句を付けるも、二人の少女に一斉に反撃されてる。
シーフ君は人知れず空気になってる。あれはシーフ君のスキルだろうか?
「あんた、それ誰の剣だい? 随分立派だけどあんたの物じゃないだろ。剣に振られてるよ。身の丈に合った剣も持たないガキがいきがるんじゃないよ!」
女の子二人プラス、ジュリアVS小生意気な剣士君。
バトル……になってないね。剣士君は睨むしか出来ないらしい。
っていうか、先に行こうよ。




