ダンジョンでお散歩
庭の芝生ではロボとブランカが何処からか入り込んだ蝶々を追いかけてる。
遊びたいのだろうか? 狩りのつもりなのだろうか?
帝都はこの日もお祭り騒ぎで、オレ達が泊まってるマルク君の家も例外なく忙しいらしい。
ミリーは今日も朝から晩まで公式行事で忙しいそうだが、オレ達は特に予定はない。
「さあ、いざダンジョンへ!」
昨日は一日帝都観光したし、この日はゆっくり昼寝でもしようとしたけど。ゆっくりしてられない人がダンジョンに行こうと騒いだ結果、みんなでダンジョンに行くことに。
誰って? ジュリアだよ。
他の戦闘タイプのアンドロイド達が、ジョニーさんと未発見のダンジョン探索とかしたから羨ましいらしい。
まあロボとブランカの訓練も必要だしね。野生に帰す気はないけど、狩りの仕方も知らないのは困るだろうし。
「なんかこう、アウトローな雰囲気のとこだね」
「ダンジョンは一攫千金を狙う人が多いようですから」
さっそく帝都郊外にある初心者用と言われるダンジョンに来ると、周りには大きな村に匹敵する集落が出来てる。
中心はダンジョンを管理する帝国の砦だけど、周囲にはダンジョン探索者向けの宿や酒場から各種必要な店があるみたい。
まるでゴールドラッシュを狙う人の集まる昔の街のようなギラギラとした欲と金の匂いがしそうなところに見える。
帝国ではダンジョンは全て国の管理下にあるらしい。
入る為には入場税がかかるし、中の物を持ち出すには入場税とは別の取得税みたいな税がかかる。
帝国民は安いが外国人は少し高く、冒険者ギルドによる優遇はない。
「許可が取れました。行きましょうか」
外国人は身元の審査などがあるらしいが、オレ達はマルク君の家の紹介状があるから比較的早く許可が取れたらしい。
ダンジョンを管理する砦にて手続きをしてる最中も、お前ら何者だと言いたげな好奇の視線があちこちから向けられる。
ただ幸いなことに絡まれるまではいかないようだ。
オレの前ではロボとブランカの二匹は行儀良くお座りして、尻尾をパタパタと揺らしている。好奇の視線も気にする様子すらないのは、大物なのか警戒心が薄いからなのか悩むけどね。
今日はミリーが居ないから、二匹が何をかんがえてるか分からないからなぁ。
ミリーのムツ〇ロウさんスキルが欲しいな。
ダンジョンの入り口は管理砦に囲まれた中庭のような場所にある。平地にポツンと存在する地下に降りる階段がそうらしい。
何かあれば外に被害が出ないようにしてるんだろうか?
「ロボ、ブランカ、行くよ!」
階段を石で出来ていてジュリアは先頭に立ち、同じく待ちきれない様子のロボとブランカが続く。
でもさ。オレ達の前には、まだ十代前半の少年少女達のパーティが居るんだが。
あんまりプレッシャーかけたらダメだよ?
初々しい少年少女達だ。
少し緊張した様子で肩に力が入ってるなぁ。
帝国だとあんな小さな子達からダンジョンに潜るのか。凄いね。
「結構明るいね。魔法の力かな?」
「ダンジョンは一般的に何種類かに分類されますが、ここは自然発生型のダンジョンになります。上層はダンジョン自体が発光する箇所があり明るいのですが、下層は場所により光源がないと見えなくなるところもあるようです」
ダンジョンの内部も石造りの地下道といった感じだ。本当にゲームの中みたい。
光源は一部に発光する石がある。あれはなんだろう?
というかウチのメンバー緊張感ないね。クリスなんか普段着にレーザーガンという装備だし。
クリスも戦いたいっていうから、レーザーガン貸したんだよね。
ダンジョンの地図はマルク君から貰ってるから、今日は一階か二階を少し散歩するくらいで帰る予定だけど。




