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騒乱の後に・そのニ

 帝都内の公園を駆け回るロボとブランカの二匹を、オレはエル・ケティ・ジュリアに、クリスお嬢様と侍女のメアリーさんと一緒に眺めていた。


「一件落着したし、落ち着いたら島に帰ろうか」


 本来は島で結婚した人の新婚旅行のはずだったのに、何故か帝国を揺るがす事件を解決するはめに。


 別に文句がある訳じゃないけどね。あまり長居すると帝国の政治に巻き込まれるような予感も。


「そうね。それがいいかも」


 一番島に帰るのを嫌がるかなと思ったクリスお嬢様だけど、意外にあっさりと帰るのを了承してくれた。里心でも出てきたかな?




 それから数日は帝都は大騒ぎだった。


 世間的に期待されていたバルバドス皇子が、数年前から魔族に騙されていてクーデターを企むも失敗。皇位継承権剥奪の上に幽閉されるというのが、帝国の正式発表だった。


 バルバドス皇子と共に居た子飼いの艦隊の者達は、全員魔族に殺されたというのが公式発表で、事実とは若干異なった発表になってる。


 同時に今回の活躍したジョニーさんの、大将軍就任と退任の発表もされた。


 空の勇者がサミラス皇子と共にバルバドス皇子や魔族と戦ったと言うのが発表された内容だが、詳細は伏せられている。


 尤もジョニーさんが帝都内の親バルバドス派の貴族の捕縛をしたのは帝都市民が見ているし、オレ達がバルバドス艦隊と戦ったのもサミラス艦隊の人達が見てる。


 結果的に勇者が帝国を救ったんだと、人々は噂してるみたいだね。


「へえ。年金が出るんですか。良かったじゃないですか」


「要らねえって言ったんだがな」


「勇者殿を縛る気はない。されど元々大将軍は退任後には永世将軍として死ぬまで年金が出るのだ。それと儀礼的に名誉伯爵に任じられる。断られるとつまらぬ勘繰りをされて困るのだ。名前を貸してくれるだけでよい」


 数日の慌ただしさは皇宮内でもあったようだが、親バルバドス派だった宰相を皇帝が許したことで、他のバルバドス派貴族も一部の過激な者以外はすぐに許されていた。


 皇帝の軟禁に積極的に協力した貴族の中には隠居や幽閉される者は居るらしいが、事件を考えれば寛大な処分だろう。


 救国の英雄となり最早帝都内を歩けなくなったジョニーさんは、死神さんと一緒に数日は皇宮に泊まっていたが、堅苦しい雰囲気に早くも音を上げたらしい。


 オレ達は引き続きマルク君の家に泊まっていたけど、マルク君の家も親交があった勇者が帝国を救ったということで、多くのお客さんが店に訪れ商売繁盛してる。


 この日オレ達は皇帝に呼ばれていろいろ後始末の話を聞いたりしていたが、驚いたのはジョニーさんが永世将軍の名を持つ名誉伯爵となって帝国貴族に名を連ねたことだろう。


 ジョニーさんは断ったみたいだけど、無理だよね。帝国のメンツもあるし。


「君達も望むなら爵位をあげるよ。実はジョニー殿の仲間の件は噂になっていてね。勇者殿の力を使ったとはいえ、実際に戦ったのが君達である以上は相応の褒美をね」


「慎んで辞退させて頂きたく思います」


「さも悩むふりをしながらも、何の迷いもないね」


 オレ達が謁見したのは、皇帝にミレーユ様のお母さんとサミラス皇子とミレーユ様の四人だけだ。


 私的な謁見らしくジョニーさんと死神さんは居るが、護衛も居ないのは少し不用心だと思う。


 サミラス皇子からはオレ達にも爵位との有りがたいお話があったけど、当然断るよ。


 権利には義務が付いて回る。それを知らないほど子供じゃないんだよね。



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