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ファーストコンタクト一歩手前

「この惑星のマグロは美味しい」


 ジュリアの釣り上げた敵性生命体はケティの検査で食用になると判明したので少し切り落として食べてみるが、凶暴な見た目に反して味は繊細ながら生臭さもなく美味しかった。


 ただ大きさが違い五メートルほどの巨大なマグロモドキなので捌くのも一苦労だ。


 こんな大きさの魚類を捌く包丁も船にはなく、ジュリアのバスタードソードで切断した後に、切り分けて船の冷凍室や冷蔵庫に入れていく。


「次は海老か白身の魔物でも釣れないかねぇ」


 尤もジュリアは美味しいことに味を占めたのか、再び釣糸を海に垂らしているし。


 ケティはマグロモドキの中骨についている、中落ちの身を無表情でひたすらパクバクと食べ続けているが。


 結局解体はオレとエルが、ロボット兵に手伝って貰いながら何とかやったよ。




「お昼はマグロモドキの刺身にしようか」


「司令。前方に船舶を発見しましたので着水します」


「了解。交易船かなんかか?」


「はい。ただし海賊と思わしき船に襲われてますが。いかがしますか?」


 なんというかファンタジーの冒険の旅というよりは魚釣りする旅になりそうな予感もしつつ、エルと相談しながらお昼の支度をしようとしていたけど、そこでまた新たな問題が発生する。


「海賊? どうしようか」


「行くに決まってるよ! 冒険の旅と言えば襲われてる人を助けるのが始まりだよ!」


「うーん。 見捨てるのも寝覚めが悪いか」


 前方に初めてのこの惑星の知的生命体を発見したみたいだけど、海賊らしき船に襲われてるなんて。


 やっぱり治安がわるいんだね。ファンタジーって。


「えーとセレス。見えるとこまで急いで。一応どっちが悪いのか見極めて、海賊なら船を沈めない程度に攻撃。後はジュリアにお任せかな」


「了解しました」


 ジュリアがやる気満々だし見捨てるのもと思い、オレは船長であるセレスに指示を出すと、彼女は船の速度を上げて戦闘中の二隻に船を近付けていく。


 セレスはジュリアの性格がちょっと個性的過ぎた反省から、軍人っぽいクールな女性を元に、スレンダーで銀髪の容姿にした戦闘型アンドロイドだ。


 おかげでジュリアよりは冷静になったけど、ちょっと軍人っぽ過ぎるのが玉に瑕かな。




「司令。やはり海賊ですね」


「じゃあ船はセレスに任せる。接近したらジュリアとロボット兵を何人か乗り込ませて、襲われてる方を助けよう」


「了解しました。本艦は只今より第一次戦闘態勢に移行する。ロボット兵各自持ち場につけ!」


 せっかくお昼の支度をしようとしてたのに。


 問題が起きたもんだから船の操舵室に入り、付近に飛ばしていた偵察機の映像で状況を確認する。


 そうしたら本当にドクロのマークを付けた船が、商船らしい船を襲ってるよ。


 いやドクロだよ。ドクロ。


 漫画や映画じゃあるまいし。何ゆえにあんな目立つものを。


「ロボット兵! カノン砲発射用意。目標海賊船」


「カノン砲って、あれ飾りじゃないんだ」


「はい。一応使えます。この惑星の船の主装備ですから。人目がありますし、それにあのサイズの木造船にレーザー砲やレールガンを射つと船が一撃で大破してしまいますから」


 船の中では人の姿をしたロボット兵が、慌ただしく配置に付き戦闘態勢に入る。


 オレはエルとケティと操舵室で状況を見守るが、オレは船のデッキにある飾りだと思った大砲を使おうとしてることに驚く。


 まさか使えるものだったとは。


 流石にギャラクシー・オブ・プラネットでは、カノン砲なんて使ったことはない。


「面舵20!」


 先手は海賊船だった。


 向こうの大砲が火を吹き玉が飛んでくるが、所詮は原始的な大砲であり当たる気配すらない。


 セレスはエンジンと帆を巧みな指示で操り、敵の砲撃をかわしながら戦闘中の二隻に船を近付けていった。



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