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マルク君の家族

 結局この日は、外出することなく終わった。


 ジョニーさんは死神さんと会って積もる話もあるようだし、それどころじゃなかったしね。


「初めまして。イースター商会の会頭をしております。バルトです。息子を助けて頂き、本当にありがとうございます」


「オレはジョニー。旅をしてる流れ者だ。こちらこそヒルダを助けたばかりか、保護してくれてたみたいで。本当にありがとうよ」


「いえ、当然のことをしたまでです。しかし奇縁と言いますか何と言いますか。まさか息子を助けて頂いた方とヒルダさんがお知り合いだったとは」


 夕方になるとマルク君の両親が店から戻ってきて、ジョニーさんやオレ達は一通り挨拶した。


 お父さんのバルトさんは人の良さげな商人という感じで、お母さんも派手さはないが美人だろう。


 まだ三十代半ばで若い両親だね。


「それにしても、まさか今帝都で噂の、空の勇者様が家に来るなんて。末代までの誉れですわ」


「よしてくれ。適当に旅をしてたら、勝手に勇者なんて呼ばれてるだけなんだ。そのうち本物の勇者でも現れたら、忘れられる程度の存在だ」


 勇者の看板って凄いね。


 マルク君の両親はそれだけでも嬉しそうだよ。


 日本で言えば、世界的に有名なスポーツ選手でも家に来た感じか?


「ジョニーってさ。アタシ達の孤児院の憧れだったのよ。リアルだとプロの格闘家をやっててさ。試合に招待してくれたり。プレゼントくれたり」


「昔の漫画に居たわね。そんな人」


「本当にそんな感じだったのよね。収入もほとんど孤児院に寄付しちゃうしさ。流石に院長先生は、ジョニーが引退した時の為に手を付けないで貯金してたけど」


 そのまま和やかな雰囲気の中で、マルク君の両親とジョニーさんやオレ達は交流を深めていたけど、ふと死神さんはジョニーさんのリアルの話をオレ達に教えてくれた。


 死神さんと違いジョニーさんはロールプレイじゃなく、やっぱりあのままの人らしい。


 プロの格闘家って凄いね。そりゃ勇者様になる訳だよ。


「フフフ。やっぱりヒルダさん無理してたのね」


「今だから言えるが心配してたんだよ」


「ずっと生意気な口の聞き方してごめんなさい。なんかあのままで居ないと、生きていけない気がしてたんです」


「いいのよ。よく頑張ったわね」


「本当の娘が出来たようで楽しかったよ」


「マリーさん。バルトさん。本当に本当にありがとう」


 それと死神さんが口調や態度が変わったことも、マルク君の両親は笑いながら受け止めている。


 少し照れたようにも見える死神さんは、すっかりしおらしくなり二人に本音を打ち明けて謝罪してるけど、マルク君の両親は嬉しそうだ。


 見知らぬ世界に投げ出されて海を漂流していた死神さんを助けて支えていたのは、マルク君の一家なんだと改めて感じる。





 でも本当に偶然なんだろうか?


 そういえばジョニーさんは、本当に勇者の称号があると言ってたよね?


 もしかすればオレ達との出会いや、マルク君の一家と死神さんの出会いも、ジョニーさんの勇者パワーが原因とかないよね?


 皇女様がちらりと言ってた。


 覇王スキルを持つ者が王家に産まれた時に、魔王が過去に現れたと。


 まさかこのまま魔王との戦いに巻き込まれるとかは、流石にないよね?


 いくらジョニーさんでも魔王はねぇ。


 オレは離島の村長さんだからね。


 魔王は本当に知らないよ。



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