マルク君の家なんだけど……
「イースター商会って、あのイースター商会なの?」
「帝国で最大手の商会の一つですね」
マルク君の実家は有名な商会らしい。
「マルク。お前ただの行商人じゃなかったのか」
「あの時は家の仕来たりで、修行の旅に出ていたんですよ」
オレは知らないけどみんなの反応を見てると、王国の庶民でも知ってるほど有名な商会みたいだ。
ジョニーさんは知らなかったようだけど。
「裏が家になってるんです。どうぞ」
そのまま店に入るのかと思いきや、マルク君は店の入口ではなく大通りから更に横道を入っていく。
横道と言っても、馬車が二台は余裕ですれ違えるほど広い道だけど。
店の裏が家だからどんな家かと思えば、やっぱり広い豪邸じゃないか。
伯爵様の屋敷よりも広くて豪邸だよ。
帝国の貴族様の屋敷はもっと凄いのだろうか。
ロボとブランカが粗相をしたらどうしよう。
正直言えば普通の宿屋に泊まった方が、気楽で良かった気もする。
マルク君に悪気はないんだろうけど、人様の豪邸って落ち着かないんだよね。
「どうしますか? ひと休みして帝都を観光するなら、案内しますよ」
案内された応接間も豪華絢爛なところだった。
マルク君のお父さんは仕事で夜までは戻らないらしく、観光するなら荷物を置いて案内してくれるみたい。
「そうだな。頼むぜ」
正直オレ達も特に予定を決めてないので、そのまま今日は帝都を観光することにしようか。
お嬢様達も楽しみにしてるみたいだし。
「マルク。帰ったのかい?」
「あっ、ヒルダさん! ちょうど良かった。前に話したジョニーさんに偶然会ったんですよ!」
「……やっぱりあんたか。流星のジョニー。いつから勇者に転職したんだい? しかも乳神様にバーサーク・ジュリアまでいるじゃないか」
「ゲッ! 死神ヒルダ! なんでてめえがここに居るんだよ!」
「そいつはアタシが知りたいよ」
和やかな空気が一変したのは、眼帯をして長い黒髪の海賊みたいな女性が応接間に入ってきた時だった。
まさかここにプレイヤーが居たなんて。
ところで死神ヒルダって誰?
「アンドロメダ海賊団のクランマスターです。通称死神ヒルダ。悪質なプレイヤーを狩る専門の中堅クランです」
悪いけどプレイヤーと交流ないから知らないんだよね。
エルが説明してくれたけど、いわゆるPKKをしてる人か。
ギャラクシー・オブ・プラネットでは設定でプレイヤー同士の戦闘拒否が選択出来たから、オレは設定で拒否していて問題なかったけどPKプレイヤーって居たんだよね。
ジョニーさんみたいに戦闘を楽しむ人はいいけど、知らないでやってた初心者なんかを狙うPKも居たからな。
「てめえのせいで散々だったんだぞ!」
「それはこっちの台詞だよ。アタシの船に特攻なんてかましてくれちゃって。おかげでアタシの船は海の中だ。マルクの家の船に助けられなかったらお陀仏だった。何でアンタのシューティングスターは無事なのさ!」
またジョニーさんの知り合いかぁ。
しかも濃い人だね。
話の内容的にジョニーさんがギャラクシー・オブ・プラネットで最後に特攻したのが、彼女の宇宙船だったんだろうね。
ポカーンとするマルク君やオレ達の前で口喧嘩してるけど、夫婦喧嘩に見えるのは気のせいなんだろうか?
うん? ロボ。トイレか?
オレにはあんまり関係ないしロボをトイレに連れていくか。




