結婚式・その一
立派な教会が完成した。
建物自体は一部二階建ての吹き抜けだけど、高い鐘楼の塔も作ったよ。
ステンドグラスからは明るい光が射し込み、心休まる教会だ。
「きれいですね」
「あんなドレス王都でも見たことないわ」
教会も無事完成したことで、当初から予定していた村人の結婚式を行うことになった。
当人達は村のみんなであれこれと準備をしてるのを見て、少し申し訳なさげにしてるけど島で初めて結婚する二人なんだ。
盛大に祝ってあげないと。
ドレスに関しては中世ヨーロッパのようなものから、割と近世のものまで様々らしく、結果的に日本のウェディングドレスを少しこちらの人向けにアレンジした物にした。
メアリーさんやクリスティーナ様をはじめとした、女性陣の評判は上々だ。
「ねえ。あれ着られるなら、結婚してあげてもいいわよ?」
「マジか!?」
「あんたがちゃんと私を養ってくれるならね」
ドレス姿の花嫁に感化された人も多いらしく、早くも次の結婚式を上げることになりそうなカップルもいる。
他にも独身の男女は恋人が欲しいと思うのだろう。
新しいカップルが出来そうな雰囲気もあちこちにあるね。
オレ? オレの周りには誰も女性は来ないよ。
エル達が居るしね。
周りの村のみんながオレをどう見てるのか、知りたいような知りたくないような。
「ところでアレックスよ。このお嬢さん達はみんなそなたの嫁か?」
「いや、嫁って訳じゃないんですけど。パートナーって言うか仲間って言うか」
結婚式を行うこの日。
島にはいつもは中々全員が集まらない、アンドロイド達が勢揃いしていた。
結婚式をみんなで祝おうと、参加したい人は自由に来ていいということにしたら全員が集まった。
流石の伯爵様にも呆れた表情をされるし、村のみんなの視線も少し冷たいと言うか嫉妬のようなモノが混じってる気がする。
無実なんだけど。
誰も信じてくれないだろうなぁ。
ゲームの中くらいは美女や美少女に囲まれて居たいと、増やしに増やした百二十体のアンドロイド達。
本当に見てるだけで目の保養になって良かったんだけど、リアルになるとは思わなかったしさ。
「ええわ。ウチも着たいわ」
「うちの司令はへたれですからね」
「ムッツリスケベなんだから」
最近顔を会わせてなかったアンドロイド達が、少し冷たい気がするのは気のせいだよね?
それとそこ。噂話は本人に聞こえないようにしてくれよ。
へたれでもムッツリスケベでもなく紳士と呼んで欲しい。
間違っても変態紳士じゃないからね!?
「うむ。多くの女性を養うのはいいことじゃよ」
伯爵様のちょっと呆れたような優しい言葉が、余計に痛いのは気のせいだろう。
「英雄色を好むって昔の勇者が言ってたわ! でもアレックスはそれ以上ね!」
「あの、クリスティーナ様。だから違いますって」
「まだまだ増やすの?」
「いろいろ誤解と偶然が重なったのですよ」
「大丈夫よ! 私もみんなもアレックスの味方よ!」
えーと、アンドロイドってどう説明したらいいんだ?
人造生命体か?
どっちにしろ女を集めるのが好きな野郎としか、思われないんじゃあ。
助けて、誰か。




