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ロボとブランカ。魚と戦う

「みなさん、それではいきますよ」


「おう!」


「行くぜ!」


 島で初めての結婚式に向けて密かに準備を始めたオレ達だけど、この日は南側の砂浜で地引き網をみんなですることにした。


 元々伯爵様の領地は内陸部なため漁師は居なく、元兵士の男性数人が漁師になりたいと名乗りをあげてる。


 ただ彼らは漁は素人だからね。


 せっかくだから最初はみんなで、地引き網をしてみることにしたんだよ。


 ちょうど良さげな地形が南側にあるからね。


 この島には周囲にも他に四つほど更に小さな島があり、水深が程よいので島の周囲は珊瑚礁がある場所もあったりと魚が豊富なんだって。


 島の住人とロボット兵も動員してみんなで網を引っ張る。


 島に移住するまでは、海すら見たことがなかった人達ばっかりだから、大きな網で魚を取ると教えるとお祭り気分で準備をして引っ張ってる。


 伯爵様やクリスティーナ様もみんなに混じってやってるし、ロボとブランカも引っ張るのは流石に無理でも、みんなを応援するように見守ってるよ。


 本当は重機か乗り物で引っ張った方が早いんだけど。


 それやるとみんなが働いてないこと、気にしちゃうんだよね。


 最近は伯爵様まで教会の建設現場で肉体労働してるしさ。


 前にも説明したけどこの世界では、魔物を倒し更なる修行をすることで人間の限界を超える事が出来るので、歴戦の勇士である伯爵様は一番力持ちでバリバリ働いてる。


 それと伯爵様についてはもう伯爵ではないんだけど、敬称としてオレ達は伯爵様と呼んでるし、村の人達も以前と変わらず伯爵様とか旦那様と呼んでる。


 もう伯爵ではないと伯爵様自身は何度か言ってるし、隠居した老人なんだから気を使わなくていいって言うけど、みんなの態度は変わらない。


 まあ教会の建設現場では力持ちの伯爵様に若い衆がビックリして、オレ達の方が先に隠居した方がいいんじゃないかなんて冗談を言ってたみたいだけど。





「凄い! いっぱい魚が居るわ!」


「本当ですね。干物と瓶詰めにしましょうか」


 地引き網は結構大変で重かったけど魚は思った以上に大量に獲れて、村人のみんなやクリスティーナ様はびっくりしてる。


 とてもじゃないが今日明日では食べきれないので、食べきれない分は女性陣で干物と瓶詰めにするみたい。


「グルゥ!」


「ワン!ワン!」


「それは大丈夫だから、警戒しないで」


 ちなみにロボとブランカの二匹は、大量の魚に興奮と警戒しながら魚を威嚇したり吠えたりしてるよ。


 生きた魚なんて初めてだからなぁ。


 ケティが二匹を抱えあげて言い聞かせると、一応大人しくなったけどまだ完全に警戒は解いてない。


 一匹だけ少し離れた場所に落ちた魚に慎重に近寄って、魚がバタバタと暴れると慌てて逃げていくことを繰り返してる。


 ただ何度かやってるうちに魚が陸に上がったせいで大人しくなると、二匹は何故か勝ち誇った顔にも見える表情で吠えていた。


 しかも尻尾を嬉しそうにブンブンと振っちゃってまあ。


 多分勝ったと思ってるんだろう。


 褒めて褒めてと村人やオレ達の方に来るもんだから、みんな笑って褒めちゃうし。


 結局二匹は地引き網の魚の処理が終わるまで、新たな敵を見付けては同じようなこと繰り返してたよ。


 みんな褒めちゃうから、いいことしたと誤解しちゃったみたいだね。


 あとでちゃんと魚のこと教えなきゃなぁ。


 魚は吠えて倒すとか誤解した狼はさすがにね?


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