第五話 獣の王国
「さて、ガブリエル。獣人のすみかにどうやって侵入しようか?」
「桃に入って川から下ればいいにゃ!」
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昔々、川で洗濯をしていたお婆さんは大きな桃を拾いました。
中に入っていたのは男の子。彼は成長し、鬼退治をしましたとさ。
めでたしめでたし。
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昔々、川で洗濯をしていた獣人のお婆さんは大きな桃を拾いました。
お婆さんは、家にそれを持ち帰ると中の男の子ごと食べてしまいましたとさ。鬼もお婆さんが食べてしまいましたとさ。
めでたくなしめでたくなし。
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ここまでの流れを一瞬で予想してしまったルシフェル。
「いや、もっとちゃんとした方法を考えよう」
「何いってるにゃ?冗談に決まってるにゃ」
「マヂレス乙w」
その日は夜までルシフェルの怒鳴り声が響いていたと言う。
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獣人の村の前。そこには大きな馬車が一台、人が一人、天使が三人いた。
「さて、インターホンはどこだ?」
「取り合えず大砲ぶっぱなすにゃ。ミカエル、発し……、にゃ!」
ガブリエルが発射、と言おうとした途端にルシフェルが頭を叩く。
「お前らは毎度発言が過激なんだ。全く、戦争をしに来たわけでは無いだろう?」
「いや、でも戦時中だし……」
ルシフェルの言うことも一理あるが、ランスロットの反論も以外と的を射ている。
「ルシフェル、大変」
ボソッとミカエルが呟く。しかし、後ろの大砲は発射準備は整っている。
「お前はいい加減準備解除しろよ!」
ミカエルもルシフェルに叩かれる。
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「ほう。貴様らとの停戦を飲む代わりに、安定した食物の提供をされることが出来ると。乗った!」
村の中心の集会場。その応接室で四人は獣人の長老と会話をしていた。
「相変わらず交渉はスムーズだな。何故だ……」
不満そうなルシフェルにミカエルが耳打ちする。
「二人は以外と考えている。まず条件を提示して、次に相手側の利益になる理由をしっかりと説明している。自分達の利益を少な目に話ながら」
「それがどういう効果を出しているんだ?」
「相手側が説明をしたせいで、交渉相手は自分で確りと利益を考えようとしなくなっている。つまり、相手側の利益も自分で考えずに話を鵜呑みにしている」
「つまり?」
「交渉相手は思考を止めた瞬間に負けが決まる。そして、二人は細かく相手の挙動を確認して弱点をついている。私でさえ、気を抜いたら二人に騙される」
唖然とするルシフェル。その間にも交渉は大詰めを迎え、獣人陣営は人間に協力することが決定した。
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「さて、ここまでは楽勝だ。だが、問題はこれからだ」
「だにゃ」
「(コクコク)」
ランスロット、ガブリエル、ミカエルが理解しているなか、ルシフェルだけは首を捻っている。
「何故、ここからが大変なんだ?」
後は大きく分けて鬼、吸血鬼、竜、死者の四陣営。
「ここからは戦闘は避けられない」
「だから何でだ!?」
「だから、奴等は純粋に人間の命を狙って戦争に参加してるんだよ」
中途半端に感じられるかも知れませんが、ここまでが第一章です。
次からは第二章に入ります。




