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第二話 公開作戦会議

 場所は移って天翼議会。

 ここには人間の代表、ランスロットと大天使達が集まっていた。

 一段高くなった宮殿前の玄関。そこに机を椅子を用意して、彼らは話し合っている。周りには人間と天使がごった返し、議論の結末を見ていた。


「ほう。大体のことは理解した。だが、どうやって奴等と渡り合う気だ?」


 これは大天使ルシフェルの発言。高圧的であるが、言葉の端からは彼らを心配する雰囲気が出ている。


「ああ。それに対しては対策は既に練ってある。ガブリエル、あれを持ってきてくれ」


 それに対して返答するのはランスロット。


「りょーかいにゃ」


 大天使をまるで友人の如く気安く扱う人間のリーダーに、周りの天使は絶句する。

 それを何のそのと気にせずにガブリエルは宝石のような小石をたくさん持ってくる。色とりどりの宝石のようなそれは魔石と呼ばれる物だ。


「それは洞窟国家で使っていた自爆用の信管だったな。まさか全員自爆何て言う馬鹿なことは抜かさないよな?」


 これも見下しているように聞こえるが、実際には『人間の武器がこれしかないとはいえ、まさか自爆何てしないよな?もしそうであればさすがに止めるぞ?』と言う意味である。


「いや、そうじゃない。これは確かに自爆用信管も入っているが、それだけではない。ドワーフの戦車を解体したり、道具を分解して取り出した『人工ゲート』だ」


「申し訳ありませんが、私たちには貴方のような閃きはなく、説明をしていただかないと理解できませんわ」


 これは大天使ウリエルの返答。

 それに対し、全くだとランスロットは説明を始めるとき。


「さて、ドワーフの信管。あれを彼らは何と呼んでいるか知っているか?」


 知るわけが無いだろう。誰がドワーフの戦争資源のことを知るだろうか?


「にゃはは。これはモグラの間では人工ゲートと呼ばれているにゃ」


「それはわかりますわ。先ほどランスロット様が仰っていたもの」


「そうだ。いかにもこれは人工ゲートだ。別名を魔導触媒と言う」


 そもそも、とランスロットは説明を続ける。


「ドワーフの使用している兵器。あれの燃料は人間だ。ならば動力はどうしているのか、考えたことはあったか?」


 大天使は全員首を振る。確かに、どうやって動かしていたのだろうか?


「これらは使用者の魔力を取りだし、決められた現象を起こせるようにプログラムされている。要するに、無機物からの刺激などにより接続した燃料タンクから魔力を取りだし異能力を発動させるゲートなんだ」


 要するに、これはエンジンの役割を果たしている。燃料タンク(人間)から魔力をすいとり、熱エネルギーなどに変えることが出来る。


「つまり、人工ゲートを使用すれば人間でも魔法を使うことが出来る」


「そうか。なら良い」


 周りの天使と人間が熱狂する。ただ戦うのではなく、勝算があって戦うのだ。今までにない充実感。それらを感じていた。


「次に進軍ルートについてだ。まずは人工ゲートの安定供給の為にドワーフのところを襲撃する。そこから隣国のエルフを強襲する。ここまではなるべく会合による和平が望ましい」


「何故だ?」


 これは大天使ミカエルの問い。天使の戦争については彼女が殆どを握っている。


「理由は二つある。ここまでの亜人とはある程度の和解の余地がある。まずはエルフ。こちらは船倉が始まったことによる資源不足を森で賄おうとしたのが原因だ。エルフは人間と戦争をする余裕はない。そこに漬け込み、さっさと安い賠償で済ませる。


「クズだな」


 ルシフェルからはいる突っ込み。周りの観衆も頷いている。


「次にドワーフ。こいつらはハッキリ言って鳥頭だ」


「地を這っているモグラが鳥頭とはにゃ。にゃははは。座布団一枚にゃ」


 ガン無視されるガブリエル。それでもめげない挫けないが彼女のポリシーである。


「奴等は燃料の魔石の発掘量も考えずに馬鹿みたいに使用しすぎた。それで足りなくなったら人間を利用しようとしたなんて、誰が聞いても鳥頭だろう?」


 まあ、その鳥頭のせいで洞窟国家は滅んだのだが。


「だから奴等にまずは無条件降伏を要求する。こちらも戦争で疲弊しているために人間と戦いたくはない。だがさすがに拒否するだろう。そこで間髪入れずにこんな条件を提示する」


 ランスロットがもう既に用意してあった契約用紙を取り出す。

 曰く、現在捕らえられている人間の捕虜の解放。

 曰く、それによる資源不足を解消するための方法として、人間の希望者が金銭の対価の代わりにそれを行う。

 曰く、議会の中に相談役である人間を推薦する。

 曰く、恒久的な友好関係を結び、関税をかけない。

 曰く、現在までに死亡した捕虜の賠償として、遺族に金品を支払う。

 曰く……。


「これは酷いな」


 ミカエルがそれを見て呟く。

 最初の方はまだ良い。しかし、その項目は数十に上り、だんだん人間を有利にしている。


「奴等は書類の最後の方を読まない。だから、そこに付け入る!」


「ゴミだな」


 またもやルシフェルの突っ込み。周りの観衆も頷いている。


「否定はしない。だが、国家間の契約用紙をしっかり読まなかった方が悪いんだ」


「奴等が後で反乱を起こしたら?」


「そこなんだ。そこで天使の力を借りたい。君たちには彼らの実質の統治権を与える。その代わりに反乱が起きそうになったら止めてほしいんだ」


「方法は?」


「問わないよ。死者が出ようとかまわない。統治権を与えたから、彼らの税金を踏んだくって奴隷にしても良い」


「ゴミだな」


 相変わらずのルシフェルの突っ込み。


「ああ。だが、俺も同族を奴隷にされてたんだ。まさか自分がされたくないことを他人にするわけないよな」


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