プロローグ①
プロローグです。説明は設定等々の方である程度しています。ナニコレなことがあったらそちらを読んでください。設定等々の方にかかれてなければ教えてください。
後方から飛んでくる魔法の嵐。初級魔法の火球は、直撃しても腕が弾け飛ぶ程度の弱い威力。だが、それも一発二発ならば脅威ではない。しかし数千、数万と飛べばそれはもう艦隊の一斉砲火と何ら変わらない。
ペアは現在十五組。二十組の内の五組がいろいろな方法により死んだ。
例えばドワーフの戦車の流れ弾。緊急防御魔法を張った天使とそのペアの男が一瞬で挽き肉に変わった。
例えば瀕死の吸血鬼。対峙した天使がまず死に、その次にペアの少女が血を吸われ尽くして死んだ。
この世界において、人間は無力な存在だ。エルフが悠々と連発してくる魔法の一撃で消し飛び、都市は見つかれば究極魔法の一撃で火の海に変わる。巨神兵は七日で文明を燃やし尽くしたが、奴等は一日で文明を壊滅させかねない。と言うか見つかれば本当に壊滅させられる。奴等に世界の全てを整地する趣味が無くて本当によかった。
話を戻そう。
「ッチ!なんつー熱烈なラブコールだ!熱烈過ぎて燃えそうだ!」
目の前の隊長が叫ぶ。
「隊長!追っているのはオーガの女です!しかもとびきりの上玉です!」
一番後ろの新人が前に向けて叫ぶ。
「そうか!奴等のラブコールはベッドの下に敷きながら聞きたかったな!」
「ですね!」
違いない、と部隊の男共が笑う。天使や女の目線が痛いが、後ろの恐怖に比べたら可愛いもんだ。
「おい、三番!お前は娘と妻が居たな!」
三番、とは俺の識別番号だ。
「ええ、羨ましいでしょう!」
「全くだな。俺が命じる!ここで死ね!」
「了解!」
俺はすぐさま反転し、そこで止まる。
仲間を守るため、ここで自爆するのだ。
「付き合わせちまってすまねえな、シロ。お前はここで死ぬ必要はない。撃破数を記録して、都市に帰れ」
ペアの天使が驚いたような顔でこちらを見る。
「嫌だ、と断ったら?」
無視。俺の言いたいことをわからない分からず屋ではない。
シロは黙って一礼し、上空に飛び上がる。
丁度シロが見えないほど小さくなった頃に、追っ手が目の前に現れる。
「ほう?一人で残るとは。さすがは人間の侍、と言ったところか?」
現れたのは艶のある黒髪の少女。正確には鬼だが。
「確かにこれは上玉だな。ベッドに組敷いてやりたい」
まあ、不可能だけれど。
「俺の名前はシロアだ。鬼の隊長、貴様に一騎討ちを挑む」
刀を抜き、もう片手で信管のスイッチを握る。
「俺は、家族のためにも貴様を殺さねばならない!」
無駄だとわかっていても只切りつける。もしかしたらあるかもしれない、敵に勝てると言う奇跡を求めて。
ああ、悔しい。もう、家族には会えないのだ。娘は泣くだろうか?嫁は悲しむだろう。その後はどうするのだろう?再婚するのか?
「ふふ。面白い男だ。目の前の私を見ながら、しかし他のなにかと戦っているような男だ」
鋭い。まだ気づいては居ないが、それも時間の問題だろう。
さあ、覚悟を決めろ。俺は、家族の為に死ぬんだ!仲間のために死ぬんだ!無意味に死ぬのではない。意味を持って死ぬのだ。
信管のスイッチを押す。
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報告書 第三十三平野において、兵士シロアの出した撃破数の報告。
鬼 隊長格一体
鬼 兵士格三十七体
以上。
彼の冥福を心から祈る。
観測官 天使シロ
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