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Lost seasons  作者: 彩希
一章《学校生活!!》
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三話 【大失敗と大収穫!】

帰路の途中、ヴェニットは悩んでいた。


それは魔法の事ではなく、魔法以外の武器の習得の事である。


武器召喚の時に出た武器がボロボロだったらどうしよう…逆に伝説的なのが来ても困るけどさ!


武器召喚とは一度だけ超高等な魔方陣を使わせてもらってその人に見合った武器が世界の何処かから召喚出来るというものだ。


もっとも欲しい武器の種類が出るとも限らないし出てきた時には錆び付きが酷くて使えない何て事もある。


故に一度キリの運試しなのだ。

それは 一度召喚した事のあるものが魔方陣に魔力を注いでも反応がないからである。


しかし中には深海の海底に沈んだ筈の名剣などの激レアな武器が手に入ることだってある。


いや、今は魔法の習得だ。家についたら母さんに教えて貰うんだ。


そしてカリーロもエルフィンも越えてやる!


この時ヴェニットは重大な事を忘れているのに気付いていない。


==


家についた。

珍しく母が出迎えてくれた。


「おかえりなさいヴェニット、魔法は上手く出来た?」


「うーん、今日は全然ダメだった」


「そう、でもすぐに習得出来るものでもないから気長に頑張りなさい。」


「はーい、そうだ!母さん魔法のコツとかないの?」


「そうねぇ……最初は自分が魔法を使えると思い込んでやってみればいいんじゃないかしら?」


母はそう言い残し家事へと手を戻した。

『思い込む』か、つまり自分は出来るって頭で思っていれはついて来るって事なのかな?


よし、とりあえずやってみよう!


最初は持ってる魔力が少ない分回復も早いはずだ。


自室の机の前に立つ。


机の上にはやや厚めの立てた本。


その本をさらに重りで固定する。


そう、俺はいつも魔法を使っている。


いつものように練習しようじゃないか。


そのように自らに言い聞かせ『思い込む』。


両手に力を込め、風をイメージする。

そして、魔力を注ぐ。


すると


コト…コトコト…


本が揺れた。

さらに魔力を込める。


ガタガタ…

バタン!


やった!成功だ!

しっかり固定したはずだし風力もカリーロぐらいいってるだろうな!


この調子で水魔法も使ってやろう。


両手に力を込める。自身を『思い込ませる』


「出でよ水よ!!」


魔法っぽい事を言ってみる。実際には意味が無いのだがその方が実感しやすいだろう。


するとヴェニットの両手から水が流れ出る。


ザザザザザザザ……


ああああ…ヤバい部屋が…


ヴェニットは思い出した。


パリス先生が何故最初に風を習得させようとしたのかを。


何故水を後回しにしたのかを。


「ヴェニット!何してるの!?天井から水が降って来てるわ!」


まずい、母さんにバレた!


どうする?火魔法で乾かす、やってみるか?

ダメだ次は火事になりかねない。


でもこのままだと怒られる。


と、思考を巡らせたがついには部屋に母が来てしまった。


「何よコレ?ねぇ?」


今にも怒りが爆発寸前のように見えた。

彼女の引き連った笑みがそれを思わせる。


「すみません、調子に乗りました。」


素直に謝る。

彼女はその姿を見て言った。


「魔法の練習用の部屋なら地下にあったのに…

まあいいわ。ここは私が乾かすから一階をどうにかして!」


彼女はみるみるうちに火魔法と風魔法を混合させドライヤーのように部屋を乾かしていく。


ん?怒っているのだろうか?

その割には優しい、何か裏が…


とりあえずヴェニットは一階の天井からポタポタと水が垂れてる場所にバケツを置く。


ミスったな…先生言ってたのに…はぁー


母さん内心では怒ってるだろうなー


地下の魔法練習部屋って何よ、先に言ってよ…


母が降りて来る。

彼女は見た目あまり怒っていないようだ。


「ヴェニットー派手にやったわね。

今から練習部屋教えてあげるから次から魔法の練習はそっちでやってね。」


「あの…母さん?怒っていないの?」


「だってヴェニットはしっかり失敗だと気付き、謝罪して反省もしてるじゃない?だからわざわざ叱ることはないんじゃない?」


「そっか…部屋、ありがとう」


「いえいえ、容易いことよ」


母の優しさに感謝である。

おそらく気を使ってくれているのだろう。


これからは気をつけなくちゃ

これ以上迷惑を掛けてられない


キレてるかと思ってびびって損しちゃったよ。

ホントにもう。


母に練習部屋を教えてもらう。

こんな部屋があったとは、自宅なのにしらなかったっ!


しばらく風魔法の練習をしてその日は終了。

部屋に戻り布団に入ろうとすると、気付く。


この布団だけ、乾かしてない!


これは母の策略なのか?


優しい顔をして突き落とすのか?


完全に面食らったヴェニットは直ぐに練習部屋に行き火魔法の練習、ついでに万が一に供え水魔法も練習。


魔力が切れたら少し休み再開、死に物狂いで練習。


火魔法、水魔法を覚えるまで寝れません!!!


苦しい練習の末、習得。


しっかり火の強さ、大きさまで調節できるぜ。

これで寝れる!


気付けば午前4時。

しかしヴェニットに更なる悲劇が、


魔力がもう無ぇよ

なんて事だ、回復まで寝れないとは。


ヴェニットはふと思った。


もしかして母さんは死に物狂いで魔法の練習させる事で、基礎攻撃魔法を習得させようとしたのか?


だとしたらなんてスパルタなのだろうか。


しかし得た物も多い。


風、火、水魔法の習得、魔力の底上げ。

さらに魔力切れの症状、予兆も分かった。


魔力が切れると風邪でも引いたかのように集中できなくなる。予兆はそれが軽く起こる。


もしかして魔力=集中力?

しかしなら集中力を鍛えればいいのでは?


それが行われてないと言う事はその仮説は間違っているのだろう。


もうひとつ分かった事がある。


今回習得した三つの魔法は基礎魔法だがその中でも初級だ。


つまり初級の火魔法、初級の水魔法、初級の風魔法を習得したのだろう。


もしこれでマスターなら学校の選択で専門に習う必要がない。


魔法にはまだ上がある!


しかし今日は寝よう。

思考中に回復した僅かな魔力で布団を乾かす。

どうやら上手く行ったようだ。


明日も学校だ。

しかも武器召喚の日じゃないか!


まぁさっき習得した魔法で皆を驚かせてやろう。

そして誰よりも上手く魔法を操ってやるさ!


そう決断し意識が遠くなっていった。

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