新しい結果
「新しい結果」
コンテストが開かれる。その準備にみんながおおわらわだ。
散歩の途中、手伝おうと思い、友人に近づいていった。
友人はフリルのついた前掛けをして、銀のトレイをもっていた。そのうえに飾られた鮮やかなオウムの首が、私に気付いてけたたましく鳴きわめいた。
古びたバイオリンをやかましく弾くような声に私は眉をしかめた。
コンテストが始まり、私は観客にまじって友人の披露するショウを見た。
トレイのうえのオウムは四六時中しゃべり続ける。
退屈な理屈をえんえんと述べ続けるだけで、何の進展もなく、私はそんな友人に幻滅してしまった。
友人いわく、「これがコンテストのコンセプトだからしようがないのさ」
しごく真面目に忠告を受けて、私はつまらないという批評をぐっと押さえ込んだ。
友人がまたも言った。
「オウムは私の代わりにしゃべるんだ。うまいことつじつまがあえば、コンテストで優勝できる」
しかし、オウムは屁理屈だけをたんたんとしゃべり続けた。まるで意味のない言葉の羅列に、鮮やかな理屈を付け足していく。
私はコンテストの趣旨に嫌気がさして、立て札を立ててやった。
「実行できることを述べよう。実現できることを立証しよう。オウムの頭でなく、自分がそれについて述べよう」
審査員がざわめく。
大きなナタがもってこられ、スパンと友人の首が飛び、トレイに新たに乗せられる。
「君は余計なことをしてくれたね、オウムの首はどうなるんだ」
切られた首のうえにオウムの首が乗せられ、それでもオウムは相変わらず理屈をしゃべっていた。
腹を立てた友人が銀トレイのうえで叫んだ。
「結果はめちゃくちゃだ。コンテストはこれでおしまいだ。オウムの二枚舌を競い合うのに、私の口は真実を述べることしかできないんだから」
審査員が決をとった。
真実を述べるなら、なぜ、ブルームーンに青いバナナが空に浮かぶのか述べてみよと、友人に告げた。
友人は少し考え、オウムと変わらないいいかげんな理屈を述べ始めた。
銀トレイのうえで出場者の首がけたたましく述べる理屈は空気よりも軽くて、すぐに蒸発していく。
コンテストの趣旨が変わり、優勝は別の人間のものになった。
銀トレイのうえの友人が私をにらんで言った。
「今度は君も出場したまえ。しかし、その前にこの首をすげ替えてほしいものだね」
オウムは哀れな声でなきながら、ごみ箱に捨てられた。
しばらくのあいだ、町じゅうのごみ箱から不平の声が漏れて聞こえたものだった。