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母親

 「それで最近はどうなの?光くんカッコいいからモテてるでしょ??」


 「いやーそんなことないですよ咲さん」



 現在僕は奏の家におじゃましている。なぜそうなったかって?咲さんの誘いを断る方が疲れるからさ、え?つい最近似たようなこと言ってたって?この前は清水さんの誘いを断るのが面倒だった、今回は咲さん、ね?少しだけちがうでしょ??や、女の人に弱いだけです。ごめんなさい…



 「てか何で家にあがってるのよあんたは」


 僕の隣で奏がこそこそと話しかけてきた。咲さんが席を決めたのだが僕と奏が並んで座り、テーブルを挟んで向かい側に咲さんが座っている状況だ。


 「だって咲さんが誘ってきたんだよ?断れないよ」


 「そこを何とか断りなさいよ!お母さんに誤解されるでしょ!」


 「無茶言わないで下さいよ、一人では不可能だって!」


 

 なんて会話をこそこそ続けていたら咲さんが楽しそうにこちらを見て話しかけてきた。


 「あらやっぱり今でも仲良しなのね!お母さんうれしいわぁ」


 あ、ヤバいこの勘違いは隣の彼女を怒らせる禁断の言葉だ…


 「なんですって…」

 

 ほら、爆発してしまう…僕は無言でやり過ごそうと誓うことに決めた。


 「えー?だって仲良くこそこそ話してたじゃないー」


 「だから違うんだって!お母さんの勘違いなの!」


 「いやいやそんな強く否定するのが余計に怪しいわね」


 「だから!!」


 すげー!あの奏を軽くかわしてるよ…流石奏のお母さんだけのことはある。マジ半端ねぇっす!!


 「あんたも何か言いなさいよ!」


 あ、観客のつもりだったのに話題をふられてしまった。今回はせっかく味方もいることだしいつもは言えない事言ってみようかな。


 「僕は仲良いと思っていたんですけど奏はそう思っていないみたいですね…」


 と悲しそうな顔をしてみると


 「え?や?私も別に大っ嫌いってわけじゃないしそんな風に思ってたなんて…」


 思いっきり奏が動揺していた、ぶっちゃけめちゃくちゃ可愛い


 「ほらーやっぱりなかよしね!」


 忘れたころに咲さん爆弾投入。みるみるうちに奏の顔が真っ赤になっていって


 「もーーーーーバカーーー!!」


 と叫んで二階にある自分の部屋に飛び込んで行ってしまった。








 













 「あー楽しかった、かなちゃんはからかうと面白いわねー」


 満足そうに咲さんがうなずいている。この人悪魔か…


 「光くん、今『悪魔か』って思ったでしょ?」


 「…………すみません」


 この人悪魔な上にエスパーとかスペック高すぎでしょ。こりゃ誰も勝てませんって…


 「まぁまだ何か思っているみたいだけど早く本題入りたいし今回は許してあげる」


 「あ、ありがとうございます」


 「それで最近かなちゃんはどう?楽しく学園生活は送れてるのかしら?」


 「あ、はい。相変わらずの完璧ぶりで楽しく送ってると思いますよ」


 「もーちがうでしょ、君に聞いてるんだからかなちゃんの上っ面の話じゃなくてもっと深い話を聞きたいのよ」


 流石咲さん、全てお見通しだ。


 「今は清水さんとか悟たちとか自分の素を見せることの出来る友人がいるので嘘とかでなく本当に充実してると思うますよ」


 「そっか…良かったわ」


 その時の咲さんの顔はとても優しい顔をしていて母親の顔をしていた。いつもからかってはいるものの誰よりも奏を愛しているのは彼女なのである。


 「まぁ光くんもいることだしそんな心配してなかったけどね」


 「え?いやいや僕なんて何もしてないですよ!」


 「そんなことないわ、あの子のわがままを聞いてあげられるのはあなただけなのよ。だってあの子がはっきりとわがままを言うのは光くんだけなの。私でもその他の誰でもなく君だけだもの」


 

 とっさに言葉が出なかった

 正直僕に言っているくらいだから家族にも言っているものだと思っていたから。そこまで気を張っているとは思ってもみなかった。そんなことを考えて固まっている僕を見て咲さんが笑みを浮かべて


 「あとなんと言っても光くんがいればいつも以上に可愛いかなちゃんがみれるもの~!本当に可愛いんだからうちの娘は!いくら光くんといえど簡単には渡さないわよ!!」


 と場の空気を軽くする一言を付け加えてくれる、やっぱりこの人にはかなわないな。


 「負けませんよ!」


 「やー自分の意地とか彼女に釣り合うまでとか考えて大事な約束を覚えてるのにわざと伝えない人には負ける気がしないわよ」


 「うっ!どこまで知ってるんですか!?」


 この人やっぱり何かおかしいって…


 「そこは気にしないの、真面目な話伝えるべきことは伝えなさいってこと。本当は言うべきではないと思ったんだけど私はどっちにもこれ以上傷ついてほしくないのよ」


 咲さんの言葉が心に重く突き刺さり何も言い返せない、それは彼女の言葉がその通りだったからにほかならないからだ。

 もともとこの関係になってしまったのは僕のせいだってことを見抜かれていたのか、忘れたかったあの出来事が咲さんの言葉で鮮明によみがえってきた。




 この物語は現代から一度過去へ、あの時の出来事に巻き戻る。。



 

次回は再び過去編です。飽きずに読んでいただけると助かります。。

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