表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
15/33

後輩

 あの出来事の後に鈴木は学校を転校した。まぁ自分がやっていることがばれて実行犯と関係があるという決定的な証拠が見つかってしまった以上当然の結末だろう。

 そして僕が今どうしているかというと再び病院にいる、つまりは再入院である。あの時かっこよく飛び出していったまでは良かったのだが人がそうそう強くなれるわけがなく、またも袋叩きにあってしまったのだ。それでも根性で何とか奏をあいつらから助け出す事は出来たのだがそこからは思い出せないほど殴られた、その光景に激怒した奏に助けられるという僕は何をしにいったんだか分からない結末となった。


 悟達には「助けに行った王子様が囚われの姫に助けられてどうするんだよ」と呆れらてしまい、医者も似たような出来事で再び来たことで呆れていたようだ。なんにせよ今回の事件は悟達のおかげで無事僕以外けが人を出すことなく終わりを迎えることになった。


 「どんな気分だ?助けるべき人に助けられる気持ちは?」

 「もう勘弁してくれ悟、ものすごい恥ずかしいんだから…」


 今回は流石に一日では済まず病院で暇している所に悟がお見舞いに来てくれて助かったと思ったら思い出したくないことを強制的に思い出す地獄の時間になった。


 「とりあえず鈴木も転校したし一件落着ってとこか?」

 「そうだな」

 「そういえばあいつが何で執着しているか分かったぜ」

 「何だったんだ?」

 「あいつの家がそれなりの家だってるのは覚えているか?」

 「そりゃもちろん。けどそれと何の関係が?」

 「ようは単純な話だったんだよ、あいつ両親にそれなりにいいとこのお嬢様、もしくはそれと同等の評価が出来る彼女を連れてこいって言われてたみたいなんだ。さもないと両親が勝手に選んだ人と婚約させるって脅しかけられたみたいだぜ。金持ちも大変だねぇ」

 「なるほど、それで奏を狙ったわけか」

 「でも最初は純粋に好きだったみたいらしいが、あっさり振られたこととさっき言った脅しとが重なって手段を選ばなくなっていったらしいな」

 「俺らからしたら下らないって思う話でもあいつからしたら追い込まれていたのか」

 「そういうこった、さあ気分が暗くなる話は終わりにするか!そういえばお前あの後雪村さんとはどうなったんだ?少しは雰囲気良くなったか?」

 「あ、そこに触れるか…」

 「えっ?この話題でも暗くなっちゃうの!?確かにお前は少しかっこ悪かったかもしれないけど雪村さんを助けたじゃないか」

 「実は怒ってるのはそこじゃないんだ。奏を不安にされないよう今回奏には黙って行動してただろ?そこに腹を立ててるみたいでさー、『私の問題だったんならまず私に話をするべきでしょ!本当に信じられない!!』だってさ」

 「ずいぶん勇ましいお姫様だな、王子様いなくてもやっていけるんじゃないか」

 「確かに」


 奏がいないことをいいことに好き勝手言った後、面会時間も迫ってきたので悟は『お前が帰ってくるまでに学校で何とか雪村さんの機嫌が良くなるよう努力してみる』と言って帰って行った。


 「それにしても最近は色々やることが多かったから暇だなぁ」


 今までは学校に行くのが面倒だったのに、いざやることが無くなると学校が恋しくなる。不思議なもんだな。

 学校がこんなに気になるのは悟が最後に話していった機嫌取りの話も関係あるな、無茶しなきゃいいんだが。







 「そんなわけで光は雪村さんに心配かけたくなかったから話をしなかったんだよ!」

 次の日俺はさっそく学校で雪村さんの誤解を解こうと努力することにした。

 「分かってもらえたかな?」

 「そうですね、その話の内容を事件の前に話してもらえれば彼がけがをすることは無かったことは分かりました」

 「だったら」

 「でも許すとは言ってません」

 「そんなー…」


 やっぱり駄目だったと諦めて帰ろうとした時、援護は意外なところから飛んできた。


 「凪野くんに奏は怒ってるけど怒ってないって言ってあげて~」

 「?どういう事?清水さん」

 「ようは自分の問題なのに凪野くんが傷ついたのが悲しかったんだよ~私がもっと早く気が付いていれば彼はけがすることなかったって」

 「ちょっと七海!」

 「凪野くんがとってもとっても大切だから怒ってるんだよ~」

 「なるほどね、こりゃ光が聞いたら泣いて喜ぶな」

 「違うんだからね!遠野くんも余計なことは言わないように!」


 なんだかんだ怒っている原因が分かって安心して、いい加減この話題は雪村さんが可哀想なので話題を変えようと思ったら教室のドアが開いた。


 「すみません、凪野先輩はいらしゃいますか?」


 今は放課後だし入ってくるのは教師くらいかと思っていたら、入ってきたのは背の小さい可愛らしい女の子だった。


 「あいつは今入院してて来るのは来週になるのよ、何か急ぎのようだったら伝えておくわ」

 俺が答える前に雪村さんが答えた。


 「いえ急ぎではないので。では失礼しました」


 光がいないことが分かると足早に彼女は帰って行った。


 「何だったんだろうな、先輩ってつけてたし下級生か」

 「凪野くんに告白でもしにきたのかもよ~」

 「はぁ!?そんなわけないでしょ!!」

 「何で奏が断言するのよ~てか何でそんなに焦るの?」

 「うっ!何だっていいでしょ!」

 「何にせよ光が帰ってこないと話は進みそうにないな」

 「そうだね~早く学校に来ないかな」

 「来週になったら戻ってくるんだからもう少しよ」

 何だかんだ光の事を心配してることが分かって一安心した悟だった。











 「そっか、また入院しちゃったんだ、早く会いたいな光くんに」


新章スタートです

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ