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宣戦布告

 目を覚ますと目の前に真っ白な天井が見えた、どうやらここは病院らしい。自分が目を覚ましたことで周りが慌ただしくなってきた。


「凪野さん、目眩とか吐き気はありませんか?」

「あー、大丈夫です」

「分かりました。今先生呼んできますので少し待ってて下さい」


 そう言ってナースが部屋から出ていく。思ったよりは酷くは無いようだ、そんな事を考えているうちに先生らしき人が部屋に入ってきた。


「どうだい凪野くん?体調の方は?」

「思ったより酷くありません、正直もっと酷いものだと思ってました」


 思った事を正直に言うと先生は少し笑った後に続けた。


「確かにもっとやられていたら流石に一日入院だけではすまなかっただろうね」

「一日だけで大丈夫なんですか?」

「あぁ、君が感じた通りにケガは思ったほどではない。救急車を呼んでくれた幼なじみに感謝するんだね」

「そういえば彼女は!?どこにいるんですか!?」

「ケガに響くから落ち着きなさい。彼女は親が迎えに来てくれて帰ったよ、彼女自身は君が目を覚ますまで一緒にいたかったようだが」

「そうですか、とりあえず無事で良かった」

「あ、あと今目が覚めたら会いたいって人達が二人来てるんだが大丈夫かな?今はダメだと言ったんだが緊急だからってきかなくてねぇ」

「分かりました、僕は大丈夫なんで呼んできてもらえますか?」

「分かった、あまり無理はするなよ」


 僕は先生にお礼を言ってその二人を待った、ただ何となく誰なのかは予想が付いていた。そして病室に入ってきたのは悟と大地だった。


「よう光、ずいぶんハデにやられたもんだな」

「大丈夫かい、光くん?」

「二人ともありがとう。見た目ほど酷くは無いんだ」

「なら良かった、そんで本題なんだが俺らが来た意味分かるよな?」

「あぁ、僕を襲ったやつはまだターゲットはいるみたいな事を言っていたからな。多分お前らも入ってるんだと思って焦ったよ、大丈夫だったのか」

「「返り討ちにした」」

「流石に二人は僕とは違うな…って待てよ。お前らが狙われたってことは清水さんもヤバくないか!?」

「安心しろ、そこにはとっくに気づいて保護したよ」

「なら良かった」

「まぁこれではっきりしただろう、俺と悟、光に清水さんを狙ったってことは」

「共通点はあいつだもんな」

「ただ決定打には少し足りないかもな、あいつが直接やったわけじゃないし証拠が無い」


 僕の言葉に二人が黙ってしまう。


「ん?ちょっと待てよ?二人は返り討ちにしたんだよな?だったら残ったやつから情報聞き出せなかったのか?」

「ダメだ、すぐにどこからか車が来て逃げられちまった。流石に複数相手だとこっちもキツかった」

「じゃあダメか」

「そうだな、すまん」

「いや、謝ることじゃないさ。無事だっただけ良かった」

「とりあえず俺と悟は帰ろう、一日入院とはいえ安静は必要だ」

「それもそうか、また明日な光」


 そう言って二人は帰っていった。それにしても参ったな、何かしら証拠があればそこを突いて鈴木を崩すことが出来ると思ったのに。まだ色々と考えていたかったが疲れがたまっていたらしく、もう寝ることにして詳しくはまた明日学校で考えよう。



 そして朝になって退院の許可が出てそのまま学校に向かっている。両親は今日くらい休めばいいのにと言っていたが、そんな事は言っていられないので適当な理由をつけて誤魔化した。



「おはよう悟」

「光か、もうケガは大丈夫なのか?」

「昨日も言った通り大丈夫だよ、それよりも…」


 僕が途中で言葉をきったことに疑問を持った悟に視線で合図する、僕の視線の先には鈴木の姿が見えた。向こうもこちらに気づいたようでこちらに近付いてきた。


「やぁ久しぶり凪野くん、元気だったかい?」

「いや、それが昨日ガラの悪い連中に狙われてね、運よく大事には至らなかったが散々だったよ」

「それはそれは、物騒だなぁ」


 鈴木の飄々とした態度に悟が怒り、殴りかかろうとするのを慌てて止める。


「何で止めるんだよ、昨日のは明らかにこいつだろう」

「証拠が無いって言ってるだろ、今は騒がない方がいい」


 そんな僕達のやり取りを聞いていたのか、鈴木が笑いだした。


「君たちはないしょ話というのが出来ない人達なのかな?どうも昨日君たちが絡まれた原因が僕にあると思っているのか」

「テメー以外に誰がいるんだよ!」

「でも証拠が無いんだろ?そもそも僕はやってないから証拠なんて無いけどね」

「本当に腐ってやがんな!やっぱ一発殴らないと気がすまねぇ!」

「止めろ悟、さっきも言っただろ。今こっちが殴っても不利にしかならない」

「凪野くんは冷静だね、その通りだ」

「けれど、それは『今』の話です」

「なんだって?」

「いずれ証拠を見つけてあなたのしていることを終わらせる」

「なかなか面白いジョークが言えるんだね凪野くんは」


 これだけ言っても未だに表情を変えない鈴木に対して僕は最後に言い放った。



「笑っていられるのも今のうちですよ、これは宣戦布告だ。必ずあなたから奏を守る」














読んでいただきありがとうございます。

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