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夜の12色の虹①

ある晴れた雨上がりの春に大きな大きな虹が架かったそうな。

その虹はとても珍しい12色の色をしていて

見た者、皆を幸せにしてしまう、とても不思議な虹...



「...なにこれ。」


「幸せの虹っていう本だけど?」


「いや、絵本読んでても面白くないんですけど。」


「そーお?私は面白いと思うけど...」


一つの部屋で絵本の最初の部分を楽しそうに読んでいた加藤かとう えみり絵美理は不満そうにしている親友、志村(しむら りん )鈴を見ながら絵本を閉じた。


「エミー、まさかコレがあんたの言ってたやっと手に入れた本じゃないよね?」


「何言ってるの鈴ちゃん。」


「だよね~?こんな絵本じゃない...「特別に入荷が早まって1ヶ月で手に入れた極上物だよっ!」あ、そう。」


「ほら、絵本ってさ、読んでて心暖まらない?」


「いんや?」


「相変わらず冷たいな」


「余計なお世話。で?この後はどうすんの?」


「読もうよ。この絵本。」


「ヤダ。それ読むくらいなら帰る。あたしら、もうそれ読む年じゃないしさー。」


「高校生でも楽しめるいい絵本なんだよ!てか絵本は永久だよっ!」


「あんた、いつまでたってもガキだな。大人になれよ。そろそろ。」


「大人の頭はそこそこ出来てますぅ。子供の心は大人になっても持ちつずけるよ。私は。」


はぁ~。と鈴はため息を零した。自分の理屈が敵わないのがこの絵美理なのだ。子供っぽく、いつまでも愛読している絵本はもう300冊を超えるほど。そんな無邪気な絵美理はクラスでも人気者とくる。ついでに言えば犬、鳥、猫ほか色々な動物が彼女の前では人懐っこくなってしまう。たとえそれが野生であったとしてもだ。


「あんたって、やっぱ不思議生物だ。あたし、もう帰る。宿題あるしさ。」

 

「不思議生物って...酷くナ~い?あ...雨降ってる」


「嘘?!まじで?!うわ~!本格的にふり出しやがった!洗濯物たのまれてたのに!母さんにコテンパンにボコラレル!!」


じゃあね!と言いながら鈴は慌てて絵美理の家を走りながら去っていった。


「こんな土砂降りの中いかなくても...そだっ!」


何かを思いついたのか絵美理はソソクサと部屋を後にする。大事な絵本を棚にそっと仕舞いこんだ後で。


「あ~もう!!なんでこう今日は嫌な事が次々おこるかな!!」


そうなのである。今日学校では鈴は散々な目にあった。いつも通る道が工事中になってて、それをすっかり忘れて少し寝坊してしまって、遠回りするしかなかった。遅刻ぎりぎりで間に合うかと思ったら道端の定番、古いおちのガムをフンずけてしまった。


それまでなら、なんとか耐えていたのだが


「アレはナイでしょ...普通...」


そう、じつは非日常的なアレが起こったのだ。今までごく普通に暮らしてたってのに。アレはないだろうよ。


「ロッカーの中から人の手が飛び出てて、しかもそれが動いてたって...一体誰が信じるよ?」


誰もしんじねーよ。笑われるわ。と、鈴は一人ツッコミ。


「...そこから段々酷くグレードアップしてったっけか...」


そう、それだけじゃすまされなかった。キレーに無視した“ロッカーから手”のお次は“廊下を走る小さなオッサン”。しかも鈴をみながら「ごきげんよう」なんて言うもんだから。その次は“理科室のうごめく巨大ダコ”、“喋る通りすがりの剣をもった猫”、“半透明なうさぎ”等々、一体どこのメルヘンからやって来たんだよと聞きたいぐらいに摩訶不思議な出会いばっかり。


「おかげで遅刻するわ、廊下に立たされてまた変な幻覚見るわで...なに?あたしの頭がおかしくなってんの?原因はもしかして勉強のしすぎ?ははは そんなには、やってな...病院行こうかな...」


「りーんちゃーん!」


そう呼ばれて振り向けば、絵美理が傘をさしながらはしってくる


「エミ?なんであんたが?てか、もしかして...」


「はい。傘貸したげるぅ!鈴ちゃん貸す前に家飛び出しちゃったから渡しそびれた。」


「いや、さ。その、嬉しいんだけど、もうあたしの家の前で渡されても...」


「...あれ~?」


「いいよ、あんたのその暖かい良心だけ頂くよ。あんがとね。」


うん。とだけ絵美理。どうせだから上がっていきなよと鈴の誘いを素直に受け取る。


だが、二人が家に入った数分後に起きる出来事を、一体誰が予測出来たのであろうか?


摩訶不思議な物語はもう少しだけ続く...


夜の12色の虹②へ続く


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