第7回:化猫?タマの活躍
「待て待て、落ち着きや! 喧嘩はやめい!」
土佐の路上。血気盛んな若侍たちが睨み合う中、龍馬は必死に割って入った。恐怖で喉はカラカラ、手にはタマと半分こするはずだった特大の塩むすびが握られていた。
「坂本さん、邪魔立てするなら容赦しません!」
「いや、面目より飯よ。ほら、おまんらもこれ食うて……」
説得しようとした瞬間、タマが龍馬の腕を駆け上がり、おにぎりにガブリと噛みついた。「コレは僕のだ! 勝手にあげるのは、ダメ!」と叫ぶタマ。その重みで、おにぎりは龍馬の口の中へ無理やり押し込まれた。
「……ッ、グ、ガッ!」
飯の塊が喉に完全に詰まった。龍馬は白目を剥き、苦しさのあまり無様に海老反りになる。だが、その不自然な軌道が、振り下ろされた若侍の刃を紙一重でかわした。
龍馬は窒息の悶絶で腕を激しく振り回した。それが偶然、若侍の鳩尾へ鉄槌のように突き刺さる。
「ぐはっ! ……なんという無心の拳!」
若侍たちが戦慄する中、タマは龍馬の背中を叩き喉からおにぎりを発射させた。タマは転がったおにぎりを悠然と追いかけ、平らげ始める。
「おい、見ろ……あの猫、坂本さんの背中を叩いてて介護してるぞ……」
「……なんて利口な猫なんだ?…… もしや化け猫?」
龍馬は涙目で座り込むしかなかった。




