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第4回:さな子の勘違い

「小千葉だか大千葉だか知らんけど、わしゃあ美人に睨まれるのが一番苦手ながじゃ……」

奇跡の勝利のせいで、龍馬は看板娘さな子から執拗に稽古を挑まれていた。タマは道場の梁の上で、悠然と毛繕いをしながらそれを見下ろしている。

「彼女、君を新時代の剣豪だと信じ込んでるよ。光栄じゃないか」

「バカ言わんといて。ありゃあ、隙あらば斬るっちゅう目ぜよ!」

「ムリムリ、僕はただの猫。まあ、宮本武蔵の構えの癖なら三つほど指摘できるけどね」

龍馬が「……武蔵?」と呆気に取られた瞬間、さな子の鋭い視線が飛んできた。恐怖で冷や汗が止まらなくなった龍馬は、慌てて手拭いを取り出し顔を覆うようにして必死に汗を拭った。

その様子を見たさな子は、ハッとして竹刀を引いた。

「……あえて視界を遮って、心眼で私の動きを察知するというのですか。そして余裕に満ちたあの構え……!」

さな子は頬を染め、尊敬の眼差しで龍馬を見つめた。

「手拭いで目を閉ざし心眼を極める姿、感服いたしました!」

「いや、ただ汗が……」

言いかけた龍馬の口を梁から垂れ下がったタマの尻尾がピシャリと塞いだ。

「黙ってなよ。言ったら君、彼女に本気で叩きのめされるよ」

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