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第3回:ラッキー男、龍馬

「………わしゃあ、1000才言うたがを確かに聞いたんじゃ」

「大声でうるさいなぁ……それより、あそこの門を叩きなよ。江戸で一番の剣術道場、北辰一刀流の千葉道場だよ………行くよ、若造」

龍馬の追及を鮮やかにスルーし、タマは江戸の名門千葉道場の門を指した。中から漏れる剣客たちの凄まじい殺気に龍馬は、顔色を青くする。

「……やっぱり帰らんかえ? 怖うて足が動かんがじゃ」

「往生際が悪いね、いいから行きなよ。君の運の強さなら、まあ死にはしないだろうから」

「……おまん、ホントはまっこと口が悪いねぇ」

混乱したまま道場に入った龍馬の対戦相手は、丸坊主の大男だった。龍馬は恐怖で膝が震え、手汗で竹刀が滑りそうになる。

「いざ!」

相手が鋭く踏み込んだ瞬間、龍馬はあまりの怖さに後ずさりし、床の手ぬぐいで足を滑らせた。

「ひぇぇ!」

派手にひっくり返った拍子に竹刀が偶然、大男の顎を真下からカチ上げた。

「……ぐはっ!」

最強の男が白目を剥いて倒れ、道場が静まり返った。

「あえて転んで死角に入るとは……何て男だ!」

門下生たちが勝手に戦慄する中、龍馬は床で腰を打って涙目になっていた。

「……ネ。転んだだけで勝てちゃうんだから、修行なんて不要でしょ」

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