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第23回:木戸のプライド
長崎で手に入れた大量の銃。これを長州へ届けて恩を売り、薩摩と仲直りさせる。そんな大博打に出た龍馬は、タマを連れて長州へと向かった。
だが、潔癖でプライドの高い長州のリーダー木戸孝允は眉間に深い皺を寄せたまま動かない。
「坂本君、銃はありがたいが我ら長州が受けた屈辱を思えば安々と薩摩と手を組めるはずがない。これは、我らの意地なのだよ」
木戸が扇子をピシャリと閉じた、その時だった。
懐から顔を出したタマが退屈そうに欠伸を一つ。そして、木戸が大切そうに抱えていた薩摩への不満を綴った機密文書の上に音もなく飛び乗った。
「あ、これっ、タマ! いかんぜよ!」
龍馬が慌てて手を伸ばすと驚いたタマが反射的に書類の上で爪研ぎを開始した。
バリバリバリ!という音が響き木戸が固まる中、呪詛の用に悪口が並んでいた書類は無残な紙吹雪となって宙を舞った。
「……僕の、僕の意地が……」
呆然とする木戸の頭に紙片がひらひらと降り積もる。そのあまりにマ抜けな光景に木戸の緊張の糸がぷつりと切れた。
「……ふふ、あはは! 坂本君、君の猫に機密もクソもないな。なんだか、意地を張っているのが馬鹿馬鹿しくなってきたよ」




