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第21回:カンパニー設立

長崎の商人からせしめた大量の銃を前に龍馬は、途方に暮れていた。ただ持っているだけでは、煮干し代にもならないのだ。

「……こうなったら日本初の商社、亀山社中を旗揚げするぜよ!」

意気込んだ龍馬は自ら看板の文字を書こうとしたが緊張で筆を床に落とし、板の真ん中に大きな墨のシミを作ってしまった。

「……あああ! 大事な看板に真っ黒いシミが!」

絶望した龍馬は「もう、おしまいじゃ」とふて寝してしまった。深夜、這い出したタマは汚れた看板を見て溜息をついた。

「……昔、江戸で沢庵和尚が書いてるのを横で見てたけど、確かこんな感じだったかな?」

タマは肉球に墨を浸すとシミから伸びた汚れをハライやハネに見えるよう、しなやかな動きで整えていった。肉球の弾力が偶然にも高僧の力強い筆致を再現したのである。

翌朝、仲間たちは看板を見て驚愕した。

「坂本さん、これは凄い! まるで高僧が書いたような威厳だ!」

龍馬は驚いたがタマの視線を感じて即座に胸を張った。

「……実は夢に沢庵和尚が現れ、秘伝の筆法を授けてくれたんじゃ」

一同が感動する中、タマは窓の外を眺め遠い目をしていた。

「……むかし沢庵の坊さんがくれた漬物、美味しかったなぁ」

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