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第15回:人斬り以蔵の改心

勝海舟の護衛として、龍馬は数年ぶりに京都の土を踏んだ。しかし今の京都は人斬りが横行する物騒な街だ。勝を狙って現れたのは、かつての仲間であり今は暗殺家業に手を染める岡田以蔵だった。

「……坂本、そこをどけ。俺ァ、仕事をしなきゃならねえんだ」

殺気を放つ以蔵に対し、龍馬はといえば顔の周りを飛び回るヤブ蚊に夢中だった。

「……鬱陶しいのう、コラあっち行け! 邪魔なんじゃ!」

龍馬がヤブ蚊を追って、予測不能な角度で踏み込む。懐のタマが「……今、右だよ!」と助言を送り、龍馬がそれに応えて鋭く手を振り回した。

それを見た以蔵は、戦慄して一歩下がった。

「……なんという手刀だ、無防備に見えて俺の急所すべてを同時に狙ってやがる……!」

実際にはただのヤブ蚊との格闘なのだが以蔵には、それが必殺の手刀に見えてしまったのだ。

「……坂本、お前には勝てねえ。俺は、もう刀を捨てるぜ」

涙を流して去る以蔵を見送り、龍馬はポカンとしていた。

「……タマ、以蔵はどうしたんじゃ? 一緒に蚊を叩いてくれればよかったに」

タマは呆れたようにあくびをした。

「……アンタが無敵の剣客に見えたんだってさ。ま、あんなに腰の入ってない虫叩きじゃヤブ蚊は、君をバカにしてると思うよ」

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