ドッペルゲンガー
「俺!俺俺!俺だよ!」
「あの、どちら様でしょうか?」
「俺だよ俺!あのさ“じこ”にあったんだ!助けてくれよ!なぁ」
昔流行った「オレオレ詐欺」というものだろうか?タチが悪い!
「こちらは病院でございます。電話番号をお間違いではないでしょうか」
「俺は俺だよな。自己にあったんだ!俺は俺を作ってきた!曲がりなりにも自分と言えるものを作ってきたはずだ!なのにどうして空っぽなんだ!どうしてそんなこと言われなければならない!俺は俺だよな?なぁ!自分に変わるものなんてないはずだよな!俺だよ!俺は俺なんだよ!」
そう言う彼の声はどこか重なったように聞こえた