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眷属少女のブーケット  作者: クダミ
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皆んなでやろう!!


「——という訳で今度の体育祭はCクラス全員の力を合わせ、死ぬ気で1位を獲りに行くことになりました。皆さまどうぞよろしくお願いします……」

 


 そう言って90度の角度まで腰を折り、深々と頭を下げた。自慢になるが、私のお辞儀はピシッとしていて綺麗だとミリアムさんに褒められたことがある。

 


「ちょっと、ちょっと待って……落ち着くのよミリガン……嫌だ、やっぱ全然わかんない。私ってこんなに頭悪かったっけ」

「安心しろよ。隣で聞いてた俺も理解できてない」

 

「テスタ……テスタテスタテスタテスタ!!この無礼者がああああ!!」

「ノイ様に喧嘩売るだなんて、アンタ何様のつもりよ!」

 


 過半数のクラスメイトが困惑する中、ドス黒い炎を纏ったセラスとヴィオレラがこちらに突っ込んで来た。ご丁寧にセラスはクシポスを、ヴィオレラは自身の背丈の倍以上もある斧を手に持っている。

 この2人は怒るだろうなとある程度は予想はしていたけれど、ものすごい迫力だ。命からがら教壇から転がり降りて回避しつつ、宥めてみる。

 


「ままままま、エヘヘヘヘ待ってよお二人さん話を聞いて」

 

「「表に出ろ!決闘だ!!」」

 

「確かに2人からからしたら、ノイたんに喧嘩売るなんて許せない事だって私でもわかるよ。でもこれはノイたんの為でもある」

 


 「ノイたんの為」その一言をさりげなく強調すれば、おっかない形相をしていた2人も武器を下ろした。一応、話を聞いてくれる気になってくれたらしい。

 


「考えてみてよ、生まれてからずっと圧倒的な力を持つせいで勝つか負けるかわからない『互角の闘い』の楽しみを味わった事がないなんて……すっごくノイたんが気の毒に思えない?どう?」

「むぅ……」

「た、確かにそうね」

「でしょ?だからこそ今度の体育祭ではノイたんを退屈にさせない、ヒリつく勝負を体験させてあげたいんだ」

「なら…仕方ない……のか?」

「そう、なるわね」


 

 お互い首を傾げつつ席に戻る姿に、良かったと少しホッとする。これでまだ無礼だなんだと言われたら、決闘で納得させないといけないところだった。

 


「いやいやいや!互角で闘う前提で話が進んでおりますが、相手はあの強者揃いのSクラスですぞ!?ただでさえ評価の低い我々Cクラスにはキツいでござるよ」

「Aクラスだってとんでもない連中が多いし、Bクラスにも俺達勝てた事無いのに……」

 

「ダラしねーこと言ってんじゃねぇよお前ら!そんなんだかずーっと舐めらっぱなしなんだよ!!」

 


 弱腰なラジャイとヴァンの態度に、机を叩いてビータスが立ち上がった。大砲のようなビータスの大声に、2人とも縮み上がっている。

 


「オレはよ、全然良いと思うぜ。入学してからずぅっとオレ達を見下して来るあのおエリート様連中に一泡吹かせてやりたかったところだ——なぁ、スチュワート?」

「グゥ」

「おい寝んなこの馬鹿!!」

 

「いや〜〜盛り上がってるところ悪いんですけどねぇ」

 


 退屈そうに机に足を乗っけて、首元の小さなハンドルを捻りつつトキヨシが声を上げた。ランタンの炎が大きくなっているところを見るに、あの部分で火加減を調整しているらしい。

 


「アタシはアンタらほどノイ様に心酔してやせんから、闘うのはごめんですよ」

「そう?残念だなぁ、折角トキヨシに全力で燃えてもらう作戦を考えてたのに」

「詳しく、話を、聞こうじゃあねぇか」

 


 あからさまに居ずまいを正すトキヨシに、少し吹き出してしまう。

 怪火種である彼は炎魔法が得意なのだが「派手に使いすぎるな」とまた両親に叱られた、とカズラにボヤいていたのを聞いていて良かった。

 ノイたんを楽しませるのはもちろんだけれど、Cクラス全員の力で一位を勝ち獲るのも私の中の目標の一つだ。なら思い切り、皆んなの個性を出し合える作戦を考えたい。

 


「まず考えてるのは『棒倒し』なんだけど、これってそれぞれ6人のチームで攻撃・防御をやって棒を倒したチームに得点が入るゲームで合ってるよね」

「まぁ、合ってますわな」

「良かった。それでこのゲームでトキヨシには攻撃と防御の両方をやってほしいんだ。棒の先に構えてくれてれば……」

「棒?……はっ!まさかっ良いんですかアンタァ!!」


 ガタっと音を立てて席から立ち上がってトキヨシの姿に、良いんだよと心を込めて頷く。

 トキヨシの使う炎魔法は結構特殊だ。杖ではなく自身の一部であるランタンの中の炎を媒体に、広範囲に強力な火の玉や波を発生させる……つまり、棒のてっぺんからどんどん炎魔法を撃って敵陣への攻撃と自陣の防御を同時にやってもらうのが私の考えて来た作戦だ。

 


「どう、無理そう?」

「ンハッハッハッ、是非ともやらせていただきやしょうかね」

「あー手前、棒持ちやりたいでーす!脚も沢山ありますから、手が足りないなんて事はないですよ!」

「なら俺も棒持ちやろうか?鼻が利くから、背後から敵チームが近づいて来た時に気付けるよ」

「じゃ、じゃあ拙者も……耳が良いでござるから」

「あとは攻撃ね。私が行こうかしら?」

「シャラールは背が高いから、トキヨシの攻撃に巻き込まれそうなんだよな。案外イピオスとかの方が向いてるんじゃないか?」

「はぁーーーーー!?このイピオスちゃんに、地面スレスレを飛べってかぁ!?嫌なこった!」

 


 ハイハイとカズラが手を上げたのを皮切りに、皆んなも作戦に意見を出し始める。良い調子だ。私の作戦はあくまで参考の一つみたいなものだから、更に良い案が出ればそれに越した事はない。

 


「んーでもやっぱ、もっと情報があったらな。他のクラスは誰がどの競技をやるんだろう」

「じゃあさ、占い、するぅ?」

 


 独り言のつもりだったけれど、しっかり聞かれていたようだ。声の方に視線を向ければ、フェレスが気怠げに何かのカードを弄りながらこちらを見上げている。

 


「初回割引で5千円になりまーす」


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