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フローズ  作者: クダミ
20/35

Cクラスは話しやすい

新キャラ続々登場


「お、おはよう。テスタさっ…テスちゃん!」

「ミリガン!おはよー!!」

 

 昇降口に入ると、物陰からミリガンが駆け寄ってきてくれた。

 

『ミリガン・アーク』…丸メガネに三つ編みと、常に困り顔な彼女の容姿を初めて見た時は、ミリアムさんに雰囲気がよく似ていて驚いたものだ。


 キレイな赤髪と黄色い目と、時々覗く八重歯。


 小皺が無いところとかは、流石に違うが…同じ175センチほどの身長は、隣に並ぶだけでミリアムさんを思い出して安心する。

 

「ノイ様は…いない、よね。ハァァ良かったぁ〜」

「なんか、休学してた分の生徒会長の用事で忙しいんだって。会いたかった?」

「嫌!ぜんっぜん、気にしないで。それよりも体調は大丈夫?」

「おん、大丈夫。ミリガンこそ…その、怒られたりとか、しなかった?」

「怒られたり?お母さんとお婆ちゃんからは『よくやった!次のホリデーには蛇を吐かせる呪文を伝授する!!』って言われたけど」

「あ、そういう感じなんか…なるほど」

 

 魔女の家庭は、私の知っている家庭とはまた色々違うらしい。


「おっ、なんだ〜お二人さん。2日目からもう一緒に登校か」

「ルチャル、おはよ!」

「ルチャルくん、おはよう」

 

 背後からの声に、振り返って挨拶をする。


『ルチャル・ルプトゥラ』…私よりも濃い褐色の肌に、青色の髪と明るい緑色の瞳をした【魚人種 ネコザメ】の男子だ。

背の高さはノイたんと並ぶぐらいだが、彼以上に筋肉がしっかりついてそうな体型をしている。

顔に鼻筋を真横に切ったような、傷が付いているのも特徴だ。


 昨日の授業中。わからない箇所で詰まっていたところをこっそり教えてもらって以来、私は彼を勝手に友達認定している。

 

「おはようさん。2人共、もうそんなに仲良くなったんだな」

「そうなんだよ〜もうむっちゃ、仲良し!」

「俺とは?」

「ルチャルとも、仲良し!」

「あんがとな」

「イヒヒ…昨日の放課後ちょっと、色々あって…歩きながら話すね」

 

          ◇

 

「ハァ!?Bクラスの奴等に虫を吐かせただぁ!?」

「うん。因みにまだゲロってると思う」

「マジかよ…うわぁ〜見たかった〜」

「あの時のミリガン、超カッコよかったんだよ」

 

 武勇伝に花を咲かせていると、早くもCクラスに到着した。

 


 ガラリと戸を開ければ、昨日よりも絡み付いてくる視線視線視線視線。

 


 好奇・嫉妬・恐怖・値踏み・友愛……そして殺意

 


 意外と、昨日ほどナメられている感じはしなかった。喜ぶべきだろう。

 

「おいでなすったわね、新入生。いや、テスタ・オール!」

「ヴィオレラ」

 

 席につくなり早速、嫉妬の視線を向けてきた相手が目の前にきた。


 名前は『ヴィオレラ・マルマロ』で【ミノタウルス種】の女子。

 このCクラス限定のファンクラブ…ノイ様ファンクラブCの会員らしい。存在を聞いた時は私も入ってみたくて入会を申し出たのだが、結局逃げるように断られてしまった。


 茶髪のツインテールに下睫毛の濃い菫色のつり目が、私をキッと睨んでいる。

 

「ちゃんとデメルングまで呼んでよ。気に入ってんだから」

「アンタが気に入ってよーとねぇ、私はまだノイ様とアンタの婚約を


「ダーリーン!オッハヨーー⭐︎」

「テスタ、おっはよー」


 ギャッ」

「ハニーにフェレスも、おはよ」


 私に詰め寄るヴィオレラが弾き飛ばされ、かわりにハニーブロンドと深い藍色の髪をした2人の女生徒が飛んできた。


 髪色と同じくらい、蜂蜜色に輝く瞳の方がハニーこと『アミュレット・ラーヴァ』【サンダーバード種 イーグル】。


 褐色肌に、こちらも髪色と同じ藍色の瞳をしている方が『フェレス・アンバー』【ウィザード種】だ。


この2人もヴィオレラと同じ、ノイ様ファンクラブCの会員である。

 

「いでで…こらっアンタ達!なんでソイツと仲良くしてんのよ!?」

「なんでって、ダーリンとは昨日話した時から友達だし」

「友達だし」

「そそ、友達だし」

「ハァ〜!じゃあ何、アンタから見たら私も友達だってこと!?少し話したぐらいで!?」

「いや、流石にまだヴィオレラのことは友達だと思ってないよ。安心しな、まだまだ知り合いくらい」

「えっ…あ、そう……そう…」

 

 私の言葉に、若干しょんぼりとした様子のヴィオレラ。

 

(気を使ったつもりだったんだけども…ちょい気の毒だな。今からは友達認定しとくか)

 

 見た目は違うけど、この3人の騒がしさはガルボン邸のメイド仲間を思い出して、少し懐かしくなる。

 ヴィオレラも態度は刺々しいが、昨日の時点でもう悪い奴じゃないんだろうなと、感じてはいるのだ。

 

 そこから暫く談笑したのち、予鈴が鳴って各々の席に戻る3人へ手を振り見送る。

 

 ああ、そうそう忘れちゃいけない。

 

「ラヴちゃんも、おはよ」

 

 隣の席にいるラヴちゃんにも、グータッチで挨拶をする。

 入学してからまだ2日目ではあるが、こうやって話してくれる相手が増えてゆくのは、嬉しかった。


          ◇


「それでは23ページの問7『鳳凰の主食を答えなさい』を…はいっデメルングさん!」

「はい!蛇です!!」

「あっ…正解は松の実よ…デメルングさんが言ってるのは恐らくガルーダ種のことね…」



「ジャ、明日の実習で作る『惚れ薬』の主な材料を〜デメルングさん、1個あげてみて」

「はい!イモリの黒焼きです!!」

「残念、それはまた別のやつ。正解はシントック・マデュの葉かトプス・マイスの花でした〜。ジャ、次は〜」

 


「どぅお?ここの『雷避け呪文』、誰かわかる?」

「はい!アブラカタブラです!!」

「違うよぉ。正解はくわばらくわばら、だよ〜」



「ゴラァッ!デメルング!!なんでゴールに頭から突っ込んでんだ!?いじめか!?」

「すんません!ダンクしようとしたらこうなりました!!」

「わかったー!!今すぐ下ろしてやるからな!!待ってろーー!!」



 入試前にノイたんや義母さん義父さんに色々と基礎は教わっていたけれど、それでも授業は覚える範囲が多く難しいものばかりだ。

 歴史に生物に薬学に呪文に、知ってるスポーツが出ると思っていた体育ですら、やるのは全て魔法を交えた知らないスポーツ……

 

 本当に、何もかもが新鮮で楽しい。

 

 だからこそ、鬱陶しがられるのも間違えているのも承知で、わからない箇所はそのままにしないよう授業には挑むようにしている。



「なぁなぁ〜さっきの授業でわからなかったココとココとココ、教えて〜な〜」 


 そして授業が終わり次第、まだ話したことのないクラスメイトにこうやって突撃する。

 迷惑だとは思うが、この方が顔と名前と性格を一致させるのと、授業の復習になって便利なのだ。

 

「えっオレェ!?まぁ〜別に良いけどさ」 


「うん、大丈夫だよ」


「手前ですか!いやどうぞお手柔らかに!!」


「わかった。でも、間違ってても怒んないでよ」


「アタシャァね、ちょっと疲れてんですよ。また後にしてください。わかったよ!やりゃあ良いんでしょ!!やりゃあ!!」


「思いっきり。引き絞る」


「………」

 

 上手く話すことができたクラスメイトは、どんどんプロフ帳にメモってゆく。

 

「ええと…さっき話せたのは…」

 

『ヴァン・ギャリッグ』【ライカンスロープ種 ヨーロッパオオカミ】──男子、灰色の髪に柿色の瞳。非常に話しやすい。夫婦生活に興味があるのか、昨日もそれについて少し話した。


『ジンジャー・トラヴェス』【ウィザード種】──女子、茶髪に青い瞳。話しやすい。足音がよく消えている、恐らく只者ではない。


『カズラ・バトルシップ』【クラーケン種 衣タコ】──男子、赤毛に灰色の瞳。話しやすい!名前がカッコいい!!タコが船に絡み付いた絵を描くのが好きらしい。


『ソワン・カシナム』【スケルトン種 画皮】──男子、恐らく淡藤色の髪と瞳。話しやすい。フードで顔を隠しているが、間違いなくノイたんの次の次の次の次くらいには美形と思われる。


『トキヨシ・ゴンダ』【怪火種】──男子、顔の部分がランタン!(スンゴイ!)中では真っ赤な炎が燃えている。話しやすい。テンションの上がり下がりが独特。


『マイオ・フラメント』【ココリョナ種】──女子、緑髪にマゼンタの瞳。話しやすい。一言一句が不穏。


 ミリガン達を合わせると12人、Cクラスは現在私を含めて21人の教室だから、今日でやっと半分を越せたところだ。

 

『でもさっき、一人だけガン無視してきたヤツがいたな…紫色の髪に赤い瞳の…』

 

「オァ〜〜先が長く感じる」

「あ、勉強?関心関心」

「クレープス先生!」

 

 顔を上げると、クレープス先生が席の真横に立っていた。

 

「押忍!」

「はい押忍押忍。ところで授業受けてみた感じとか、どう?しんどいとか無い?」

「ちょっと、わからないこと多くて足引っ張ってばっかですけど…めちゃくちゃ楽しいです」

「なら良かった。まぁいきなり現世から常世に来て一般常識から勉強してるんだ。ゆっくり焦らず、学んでったら良いよ」

「ありがとうございます」

 

 理事長から私がCクラスに入ることを伝えられた時は、今以上にやつれた様子だったけれども、先生はこうしてちょくちょく声をかけてくれる。

 側から見たら私の存在は、真祖の妻だし人間だしで非常に面倒くさいはずなのに。

 

「じゃ、その調子で…ムッいかんいかん、忘れてた。テスタさん」

「はい?」

「理事長から伝言


『君がもし、力が欲しいと感じたら、植物園に行くと良い』


 だそうだ」

「え、なんすかそれ?」

「いや私もちゃんと聞き返したんだけど、それしか言わなかった」

「はぇえ」

 

 植物園。理事長の言い方はちょい胡散臭いが、力というのは気になる。

 後でミリガンに場所を聞いてみよう。



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