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眷属少女のブーケット  作者: クダミ
14/35

Morning


 

 目を覚まして、すぐに飛び込んでくるピーコックグリーン。

 自分には縁遠い色だと思っていたけれど、療養中の頃に何度も見たおかげか、今やすっかり見ていて落ち着く色になっていた。

 

 ノソノソと上体を起こしながら、また改めて部屋を見渡す。

 


(そうだ…好きな部屋を選ぶように言われたから、ここにしたんだった)


 

 初めて見た時からずっと気に入ってはいたが、まさか自分の部屋になるだなんて。

 

 まだボンヤリとする頭を振り、続き部屋にある洗面所へと向かう。

 

 化粧鏡に映る、寝癖のついた頭と少し腫れた目元を直すために勢いよく頭から水をかぶせた。

 こうして洗面所を独占できるだけでもかなり贅沢だ。使用人寮では朝早くからずっと混んでいて、長くても5分しか使える時間が無かったのに。

 

 まぁ自分は短髪だし歯磨き以外でそれほどこだわっている所も無いから、40秒で済ませられるけれども。


 

「おおしバッチリ、最高」

 


 仕上げに両頬を挟むように叩いてニカッと笑う。

 

 いつもやっていた通りに身支度を済ませれば、気持ちが落ち着いてきたのかグゥとお腹が鳴った。

 


(そういや療養中は気にして無かったけど、朝ごはんって何時からなんだろう…ちょっと早いけど降りてみるか)

 


 クローゼットを開け、好きに着て良いと言われた服達から一番シンプルな白のブラウスと裾に刺繍が入っためちゃ可愛い深緑色のフレアスカートを選んで着てみる。

 

 …これからこの屋敷で暮らすことが決まったのは昨夜のはずなのに、まるで自分のために作られたかのようにサイズがピッタリだ。


 

(多いな、あんまり考えないようにしとくことが)

 


 ◇



 音を立てないよう歩いて、キッチンへと向かう。

 なんか静かだと思ったとおり中には誰もいない。

 ガルボン邸だったらもうこの時間には使用人は全員起床して朝の仕事を初めていないといけないのだけど、誰かが来る気配は全く無かった。

 


(まぁデメルング邸はノイたんしか主人がいないし、知ってるだけでも5人くらいのメイドさんしか見たことないから、朝は結構ゆっくりしているのかも)

 


 大きな冷蔵庫を開けて、中にある物をザッと確認してすぐに閉じた。

 ノイたんの自室と、地下室にある物以外ならなんでも使って良いと言われている。

 こうしている間にどんどんお腹は空腹を訴えてくるし、多分後片付けさえちゃんとすれば良いだろうと、覚悟を決めて冷蔵庫を再び開いた。



 ◇

 


 ここのキッチン、タイルの装飾が可愛いよな〜と呑気にフライパンをジュウジュウ振っているとなにやら入り口の方からドタバタと足音がしてきた。

 既視感を感じてゆっくり振り返ると、また慌てた様子のノイたんが入って来る。

 


「おはよ」

「お、オハヨウゴザイマス、良かったテスさん、ここにいたんデスネ」

「ごめん、どうしてもお腹すいちゃって。そっちはなんで慌ててたの?」

「いえ…お部屋に伺ってもいなかったので、心配しただけデス。騒いでスミマセン」

「ん、大丈夫」

 


 焼き上がった目玉焼きとソーセージを皿に移す。

 


「ノイたんも食べる?すぐ用意できるけど」

「えっボ、クは…」

「もちろん朝食べない派だったらやめとくよ」

「っ!大丈夫です食べマス!!朝も昼もおやつも夜も!!」

「そっそお…じゃ、自分の分のお皿出して」

「ハイ!」


 

 ただ単に朝ごはんを用意すると言っただけなのに、頬を赤らめ瞳を輝かせて喜ぶ姿は、ツリーの下のクリスマスプレゼントを発見した時の坊ちゃんのようだった。

 よっぽど朝ごはんが好きなんだろうな。

 


「あ、そういえばメイドさん達は朝ごはんどうしてるの?私がキッチン使っちゃってるから、入れなくなってるとかない?」

「いえ、彼女達はあの姿の時は水と日光以外必要としていないので、気にしなくても大丈夫デスヨ。また後ほど、改めて紹介しマス」



 ◇


 

 追加のサラダを用意している間にノイたんが用意してくれたトーストは、一口齧っただけでマスカットジャムとバターの味が濃厚に感じられて大変おいしい。

 


「う〜美味いっ。トースター自体は向こうにもあったけど、朝はバタバタしてることが多いから使ったこと無くてさ。こんなにおいしいのなら毎日焼かないとだね」

「テスさんが焼いてくれた卵とお肉も美味しいデスヨ!あとサラダも凄い瑞々しいデスネ〜」

「やぁそんな、焼いて洗っただけだから。明日はもうちょっと凝ったやつにするね」

「本当ですか!?楽しみデス!」

 


 同じような目玉焼きにするのもどうかと思い、ノイたんの分の卵はオムレツにしておいたのだが気に入ってくれたようで何よりだ。


 メイドの研修期間中。さんざん厨房で指導されたおかげで、ぶきっちょな私でもオムレツは綺麗に焼けるのだ。


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