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ラブコメ短編

君のちんち●を描きたい

作者: 忍者の佐藤

※この作品は99%下ネタで出来ています。苦手な方は脱出してください。

 

 学校へ続く坂を登っていくと、両脇に植えられた桜の木から、花びらが舞い散った。


 視界を薄紅色に染めていく。



 今日から高校生になる俺は、期待といっしょに春の空気を肺に吸い込んだ。


 どんな高校生活が待っているんだろう。もちろん、楽しいことばかりではないはずだ。落ち込むこと、悔しいこと、悲しいこと、いろんなことがあるだろう。


 でもそれで良い。いや、それが良い。


 高校生活は一回きり。どんな体験も俺を成長させてくれる。人生に後悔なんかしている暇などないのだ。



 ゆっくりと、踏みしめるように歩いていた僕の隣を、一人の少女が追い越した。うちの制服を着ている。リボンの色からして同学年、つまり一年生だ。


 胸が高鳴った。


 目はガラス玉のように透き通る。鼻も高く、色白の肌。彼女は黒髪をたなびかせながら登っていく。



 見惚れていると、彼女のポケットからハンカチが滑り落ちた。


 一瞬の迷い。


 さっき考えてただろう。


 いや、迷っている暇なんてない。人生に後悔している暇なんてないんだ。


「あ、あの! ハンカチ落としましたよ」



 女子の足がピタリと止まる。


 そしてゆっくりと、俺の方に振り返る。思った通り色白で端正な顔立ちの彼女が、こちらを向いた、瞬間、透明感のある瞳が、白く剥き出しになった。


 白目を剥いたのだ。



 ドッ! と爆発するかのような音。


 地面を蹴る音。


 逃げようと思った時にはもう遅かった。


 その女子は爆風でふっとばされたかのようなスピードで突進してきて、ガションがションと俺の肩を鷲掴みにした。


 俺の金玉は空気が抜けた風船のように縮み上がっていた。嘘じゃない。証人がいないことが残念でならない。



 顔を上げ、一応普通の瞳に戻った女子は、いきり立って叫んだ。


「君のちんち●を描かせて」



 俺は彼女に声を掛けたことを、心の底から後悔した。





 *****





 俺の心は恐怖と不審で満たされていた。いや、この人はさっき何と言った? 流石に聞き間違いだよな……? 


 改めて彼女の顔を見ると、やはりまごうことなき美少女である。


 そうだよな、こんな可愛い子があんなコロコ●コミックでも検閲に落ちそうな下品なこと言うわけないよな。一応、確認してみよう。



「え、えっと、すみません。えっと、今何ておっしゃいましたか?」


「ああ、ごめんなさい。私ったら舌っ足らずで」



 彼女は咳払いして「私は新村政子」そして俺の目を見て、言った。


「あなたのちんち●を描かせて欲しい」



 言った! ちんち●描かせてって言った! 本当に何言ってるんだこの人。


 俺の反応を見て、慌てたように新村さんとやらは両手を振る。



「あ、違うの! かきたいっていうのは痒いところをかく方の【掻く】じゃなくて、普通に絵をかく方の【描く】ね!」


 全然違わないよ! 俺の予想通りだよ!


 こいつは絶対ヤバい奴だ。今できることは一つだけ。さっさとこの場を立ち去るだけである。




「あ、あの、すみません。僕ではちょっと力になれないようなのd」


 僕が彼女の脇を通り過ぎようとすると、


「待って。大丈夫だから」


 新村さんは両手を広げて、僕の前で反復横跳びを始めた。全然大丈夫じゃなさそうである。大丈夫じゃ無さそうなポイントがあまりにも多すぎるが、一番大丈夫じゃなさそうなのは彼女の反復が早すぎて、無理やり通り過ぎようとしたら身体を切断されそうな点である。




「私に協力したがらないということは、あなたは誤解しているわ」


「誤解?」


「私はちんち●を描くのが好きなの。だからあなたのちんち●を描きたいだけ」


「言葉のままの意味じゃないですか! そんな本能の赴くまま山に登ろうとしてるクライマーみたいな言い方しないでくださいよ!」



「お願い! あなたのような全てのステータスが高いちんち●を見たのは初めてなの」


「ちんち●のステータスって何だよ!」


「ほら、よく異世界モノの小説にあるでしょ? 自分の強さがステータスとして表示されるやつ」


「それはよくあるけどちんち●のステータスが表示されるやつなんて聞いたことないわ!」



 新村さんは俺から離れ、「ステータス・オープン」と言いながら指を鳴らした。


 すると彼女に右横に、縦長の黒枠が現れた。中には箇条書きのように、白抜きの文字が並んでいる。いわゆるステータスバーというやつだ。


 一番上を見ると「沼田正樹のちんち●」と書いてあった。


 なるほど、ここに俺のちんち●の能力値が書いてあるわけなのか。って納得できるか!!!



「これがあなたのちんち●ステータス」


「ちんち●ステータス!?」



「へえ、あなた沼田正樹くんって言うの。いい名前ね」


「最悪だ! ちんち●のステータス画面で名前バレした!! 何なんですかこれ!」



「それね。異世界転移した時に魔王を倒したのだけれど、その報酬で大量のスキルポイントを貰ったのよ」


「ちょっと待って、話についていけない」


 頭がくらくらしてきた。いやちんち●を描きたいとか言ってるだけでめちゃくちゃおかしいのに、その上異世界転移して魔王を倒した……? この人が行くべきは高校じゃなくて病院じゃないのか。


「で、瞬間移動能力とか、時間遡行能力とかいろいろなチート能力が手に入りそうだったのだけれど、私は全てのスキルポイントをちんち●鑑定に割り振ったってわけ」


「時間遡行よりスキルポイントを食うちんち●ステータスって何だよ!! それもうちんち●の領分じゃねえだろ!」



「さ、じゃあ一緒にあなたのちんち●ステータスを見ていきましょう」


「授業か!」

「ちゃんと復習してきたかしら」

「だから授業か!」



 恥ずかしながら、俺のちんち●ステータスにはこう記されていた。


 色 S


 形 S


 ツヤ S


 清潔さ S


 硬度 S


 射程 S


 エイム S


 儚さ S




 備考:未使用品





「ほらね?」


「いやほらねじゃないが!? 誰だこのイカれたステータスを作ったのは!」




 WiFi 

 ID    :NumataChinPo 

 パスワード:ChinChin12345




「あと俺のちんち●Wi−Fiスポットになってるんだが!!!」



「ほら、まだステータスが続くわよ」





HP35

こうげき100

ぼうぎょ50

とくこう 50

とくぼう70

すばやさ120






「これダグト●オの種族値じゃねえか!」





 3LDK 

 ペット可 

 家賃 7万円






「賃貸になってる!! 俺のちんち●が賃貸になってに家賃が発生しとる!!」


「ちんち●だけに、やちんち●なんてね」


「やかましいわ!」








「さあ、そろそろおちんち●をぽろんぽろんして貰うわよ」


 新村さんは手をワキワキさせながら近づいてきた。


「ぽろんぽろん要求すな! だいたい、何でそんなにちんち●描きたいんですか!」



 すると新村さんは顎にてをて、何かを考えるように遠い目をした。その実、ちんち●のことしか考えていないのであろう。


「そうね、協力してもらうには私の過去について話しておく必要があるようね」



 一陣の風が起こり、桜ノ雨が俺達を撫でつけていく。




 *****





「私は物心ついた頃から昔からちんち●を描くことが好きだった」


 おい色々とやべえだろこの文章!


「ちんち●に興味津し、いや、興味ちんち●だった」


「わざわざ言い直すな!」



「私には3つ上の兄が居て、よくその兄のちんち●を描いては家中の壁に貼り付けていたものよ」


「もうそれ変な家だろ」



「その光景を見た母さんはあることに気付いたわ。『この子、絵がうまい』」


「親としてもっと他に気づくことがあったと思いますよお母さん」



「親に褒められたのもあって、私はもっと色んな絵を描くようになった。動物も描いたし風景も描いた。犬のちんち●も描いたし猫のちんち●も描いた」


「ちんち●でかさ増しすな」




「その時は私より絵が上手い子が一人も居なくて、本気で世界一の画家になれるって思ってた……でも、画塾に入って、それは無理だと悟ったの」



 新村さんは目を伏せた。彼女の顔を覆う影が濃くなる。



「そこには私より遥かに絵の上手い人がたくさんいて、私がどんなに努力をしても、彼らのレベルには追いつけなかった」


「どの分野にも上には上がいるっていうことなんだな」


「このままじゃ世界一の画家になれない。そう思ったら悔しくて、寝不足の日が続いたわ。でもある時気付いたの」


 新村さんは顔を上げた。


「そうだ、ちんち●を描こう」


 いやおかしいおかしい。




「世の中にちんち●を描く画家は星の数ほどいるけれど」


「そうかな?」


「ちんち●のみを描き続ける画家はそんなにいない。それならば、ちんち●だけを描き続けて、その分野で一番になれば、それは世界一の画家と言ってもおかしくないのでは?」


「おかしいよ?」


 頭とか。



「私はその時から狂ったようにちんち●を描き始めた」


「狂ってるのは最初からだよ」


「中学生の時も、高校生になってもちんち●を描き続けた。食事と睡眠のとき以外、授業中も、体育の時間も、全てをちんち●のために費やした」



 絶対才能と情熱を向ける所間違ってると言いたかったのだが、ぐっと堪えた。



「もちろん沼田くんの言いたいことも分かる。授業中、ちんち●を見ずにちんち●を描いてたらデッサンが狂ってしまうってことよね?」


「いやちんち●のデッサンについては人生で一度も気にしたことないかな」


「心配しないで、ちゃんとスマホの中に大量のブツが入ってるから」


「きたねえスマホだなあ!」



「でも授業中にちんち●を描いていたことがバレて、私は高校一年生を二留することになった」



「そりゃ停学にもな……ええ!? もしかして新村さんって年上!?」


「今年18歳になるわ」


 何やってんだこの人!


「とにかく私には後が無いの」



 再び寄ってくる新村さん。鼻先が触れそうな距離である。



「さあ沼田くん! 早く御本尊に会わせて!」


「俺のちんち●のこと御本尊って言うな!


「御本尊弘法大師降誕奉祝会を挙げさせてよ!」


「何いってんだこの変態!」




 後が無いと言いながらちんち●を要求してくる彼女の様子は、まるで崖っぷちで駆け抜けるようにムーンウォークしているようだ。





「お願い! 描かせて!」


「嫌です!」


「そこを何とか! 何とか取り外せない!?」


「無茶言うな!」



 目の色を変えて迫ってくる彼女を見て、俺にはある疑問が過った。


「でも新村さんって性格はともかく美人だし、そんなにちんち●ばっかり描いてたら『自分のちんち●も描いて欲しい』って男がたくさん寄ってくるんじゃないの?」



 すると新村さんは鼻を鳴らした。何か無償に腹がたった。


「自分から申し出てくるちんち●には高貴さが足りないわ」


「ちんち●の高貴さとは?」


「ノーブルちんち●(Noble.ChinChin)」


「のーぶるちんち●って下ネタの塊みたいな言葉になった!」



「ねえ沼田くん、もしちんち●見せてくれたら、私も、その……見せてあげるよ?」


 新村さんが急に上目遣いになって、俺を見つめ始めた。どんなに変態でも彼女は美少女。ドキドキしないわけがない。


「え、えと、見せるって、何を……?」


「お兄ちゃんのおちんち●」


「みせていらんわ!」


「えっ、あなた正気!?」


「何でちんち●描くことに人生オールベットしてる奴に正気かどうか疑われないといけないんだよ!」


「兄ち●ぽよ?!」


「旅さんぽみたいにいうな! そもそもちんち●描きたいんなら俺じゃなくてお兄ちゃんに頼めば良いじゃないか!」


「だめよ!」


「何でだよ!」


「お兄ちゃんは先月お姉ちゃんになっちゃったから」


「いやそんなこt、そうなの!?」


「見られる快感に目覚めたらしいわ」


「100%お前が原因!」



 新村さんは複雑な顔をして腕を組んだ。


「困ったわ。こんなに譲歩しているのに、何が不満なのかしら」


「譲歩ってなんだよ。ゴリ押ししかされてないわ」



「そうだわ!」


 指を鳴らした新村さんはスマホを取り出した。そしてニヤニヤと笑いながら、ダイヤル画面をこちらに見せつけた。


「ふふっ、多少手荒な真似は避けられないようね」


「な、何をする気ですか?」


「ちんち●を描かせて。これが最後通告よ」



 俺は生唾を飲み下した。まさか、この頭のぽんぽんの女には反社会的なスポンサーがついていて、俺が断れば飛んできて、俺のズボンをすポンスポンとスッポンポンさーしていくつもりなのか!?



「ど、どこに電話をかけるつもりですか?」


「警察よ」


「いや捕まるのお前だよ!!」




「ふふっ! 警察がこの状況を見たらどう思うかしら!」


「お前がパクられるに決まってんだろ頭ちんち●野郎!」


「今更褒めたって遅いわよ!」


「褒めてねえよ!!」



 彼女の指が「1」を押した。



「ほら、全部押しちゃうわよ。あなたの人生終わっちゃうわよ?」




 だから何であいつは警察がちんち●要求バカ女に協力すると思ってるんだよ!



「ちょっ、早まるな!」


「そうよね! 怖いわよねえ!」


「怖えよ! お前が何考えてるのか読めなすぎて!」


「こんなこと初めてだものねえ!」


「当たり前だろぶっ飛ばすぞ!」


「もう止めても無駄無っーー」



 ダイヤルキーを押しかけた新村さんの頭が、スパぁん! と快い音とともに、スリッパで叩かれた。


「へぱぁ!」という断末魔とほぼ同時に、彼女の頭が、がくんと下に下がった。


「よっ、新入生。新村に捕まるとは、お前も運が悪かったな。大丈夫か?」


 新村さんの後ろにいた人物がこちらに手を挙げる。白衣を着た女性。白衣の下はラフな格好だが、場所と状況的に、恐らく彼女は養護教諭なのだろう。


「あ、はい。お陰様で……」


「このアホはこっちで預かるから、早く行きな。入学式だろう?」


「あ、ありがとうございます」



 俺は頭を下げた。そして恐る恐る、先生に襟首を掴まれた新村さんのそばを通り過ぎた、その時。


「私は、諦めないから……!」


 新村さんは寝言のように呟いた。




 俺の高校生活、本当に大丈夫なんだろうか……。


 相変わらず、春の陽気を乗せた風が頬に温かい。





 おわり



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― 新着の感想 ―
>「世の中にちんち●を描く画家は星の数ほどいるけれど」 >「ちんち●のみを描き続ける画家はそんなにいない。 確かに……!!(´⊙ω⊙`) 目からウロコでござった……。 そんな彼女が認める傑物、それ…
タイトルからして正気を疑いました。 なに膵臓を食べたいみたいなイントネーションで言ってんの?
ありがとぉーーーっ!!!  (*⌒▽⌒*)ノ
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