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リアーナとレオンハルト  作者: 藤崎七奈
〜 Passion 〜

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8/14

①.あなただけ

強国である『ゼスメキア王国』と隣国の『ルルデネ王国』は東と西に位置し、この2つの国は仲の良い友好国だった。


ルルデネ王国で行われた夜会にゼスメキア王国の貴族が招かれ、そこで初めて隣国へと来た強国の王太子レオンハルトは王弟の娘リアーナに逢い一目惚れをする。(年齢は互いに7歳)


リアーナは4歳の時に母が病で亡くなっており「幼いのに母親がいなくて可哀想ね」とヒソヒソと貴婦人達から噂されていた。


レオンハルトはそばへ行き声をかけたかったが、可愛いリアーナに照れただ遠くから見つめることしか出来なかった。


後日、国へ帰るとすぐに陛下である父に自分の妃は隣国の王女リアーナがいいと言った。


それを聞いた陛下は「王太子であるお前の婚約者はいずれ国母となるため臣下らの意見を聞かないといけない」と言い、決まるまでしばらく待つようにと告げた。


しかしその間にルルデネ王国と隣接する『ロベリア帝国』が戦を仕掛け、リアーナの父である王弟が軍を引き前線へと向かうが敗北しそこで命を散らす。


その後、ゼスメキア王国の御前議会で親はいないが王女だということでレオンハルトの婚約者としてリアーナが認められる。


何よりロベリア帝国に対抗するためルルデネ王国との絆を、今以上に強固にする必要があるとされた。


リアーナは急に告げられた政略結婚に戸惑ったが、いずれは自国のためにしなければいけないと分かっていたため承諾。


後日2人は正式に婚約を結んだが、夜会で一度遠くから見かけただけの隣国の王太子がどんな人物だったかリアーナはよく覚えていなく不安に思った。


だがその後2人は何度か顔合わせを行いリアーナはレオンハルトの真っ直ぐな誠実さに惹かれ、レオンハルトもリアーナの明るく純粋な所にますます惹かれていった。


リアーナは10歳になると正妃教育を受けるため自国からゼスメキア王国へと向かった。


城へと着くなり来るのを待っていたレオンハルトに出迎えられ、リアーナはレオンハルトに庭園へと連れて行かれた。


そこでレオンハルトは一本の赤い薔薇の花をリアーナの前に差し出し「必ず幸せにする」と告げ、リアーナは嬉しそうに差し出された薔薇の花を受け取った。


これはレオンハルトからリアーナへのプロポーズだった。


その後2人は同じ城にいたもののリアーナは王妃教育、レオンハルトは帝王学や武術にとそれぞれで忙しく過ごし、部屋も別々な為たまに顔を合わせる程度だった。


それでも時々暇を見つけては2人で演劇や楽団を鑑賞したりして、逢瀬を楽しみ仲を深めていった。


* ✦ * ✦ *


「やっとあともう少しで、リナと結婚出来る」

「そうだね、婚約してから9年くらい?」

「あぁ、長かった。部屋も一緒に出来ねーし」

「そう?私はあっという間だった」


共に16歳の成人になった2人は結婚式を一ヶ月後に控えていた。


この日は城のレオンハルトの部屋で結婚指輪のデザインの相談を2人きりでしていた。


リアーナは頭に思い描いた物を楽しそうに紙に書き、レオンハルトはそんなリアーナの隣に座り嬉しそうに話しかけていた。


「そりゃ俺の方がリナと一緒になりたいからな」

「えぇ〜、私だってレオと早く一緒になりたいよ?」

「それは本当か?」

「本当だよ。この国に来た時から、ずっとレオと一緒にいたかった」

「嬉しいこと言いやがって」


指輪のデザインを描き終わったリアーナの腰をレオンハルトは抱き寄せ、もう片方の手で頬を撫で近くで目を見つめながら言った。


「俺もずっとリナと一緒になりたかったし、こうやってそばにいたかった」


そう言うとレオンハルトはリアーナの唇に優しくキスをし、もう一度リアーナの目を見ながら「好きだ」と伝え今度は抱き締めた。


「私も好き」とリアーナは答えレオンハルトを抱き締め返した。


2人は深く愛し合っていた。

それは結婚後も変わらなく、こんなに互いを同じように想い合える相手がいることに喜びを感じていた。


共にいられることがとても幸せで、2人のオーラは愛と光に満ち溢れていた。


(結婚指輪はリアーナがデザインし、シルバーの指輪に互いの誕生石をそれぞれ真ん中に入れた。レオンハルトのには青紫色のタンザナイトを、リアーナの方には真っ赤なルビー)



__________________



2人が結婚してから2年後(共に18歳)リアーナの故郷の国をロベリア帝国が攻め入り、ゼスメキア王国は急いで援軍を出したが間に合わず、王家は断罪されルルデネ王国は帝国領となった。


レオンハルトは故郷を失ってしまったリアーナに申し訳ないと謝ったが、リアーナは既に家族のいない故郷にあまり未練はなかった。


伯父家族ともそれほど仲がよかった訳ではないとレオンハルトに話した。

(伯父の子供達はリアーナより10歳以上年上なため遊んだ記憶もなく、たまに会っても話が噛み合わなかった)


そう何処か寂しげに話をしたリアーナをレオンハルトは抱き締めながら『お前のことは俺が絶対守る』と心に誓い、2人は今まで通り変わらず仲睦まじくその後も過ごした。


しかしリアーナに対する周囲の風当たりが強くなっていた。


「帝国に滅ぼされた国の女が、王太子妃でいいのか」という声が臣下から出たのだ。


それは当然リアーナの耳にも入り、レオンハルトは肩身の狭い思いを彼女にさせてしまっているのではないかと気に掛けていた。


2人は心が通じ合っていたため何も言わずとも顔を見ればレオンハルトが自分を心配しているとリアーナは分かっていた。


そんな状態がしばらく続いたある日、リアーナはレオンハルトの母である王妃の下を訪ねた。


王妃はリアーナと同じルルデネ王国の上位貴族出身だった。


そのためリアーナと王妃は時々2人で茶会をするほど仲が良かったのだ。


部屋を訪ねてきたリアーナを快く迎え入れた王妃は人払いをすると早速、目の前に座った神妙な面持ちのリアーナに「決意はもう決まってしまったの?考え直してはくれないの?」と尋ねた。


「はい。彼をこれ以上、私のせいで傷付けたくはありません」とリアーナは答えた。


「それを言ったら私だって、あなたと同じなのよ?」と王妃は言ったがリアーナは何も答えなかった。


リアーナは自分のせいでレオンハルトが臣下らとの間で板挟みになり苦しんでいると思い、王妃にレオンハルトと離縁しこの城から離れたいと相談していた。


だが王妃は何とか思い止まるよう説得していたが、リアーナの心は既に固く閉ざしていた。


そんなリアーナに王妃は同情し『少しここから離れて、考えさせた方がいいのかもしれない』と思い、城からほど近い山に家を作らせた。


その家が完成するまでの間リアーナはいつも通りレオンハルトの前で振る舞った。


だが何処か様子のおかしいリアーナにレオンハルトは気付いていたが掛ける言葉が見つからず、ただそばにいることしか出来なかった。


そんな何も言わず自分に寄り添うレオンハルトの優しさが、かえってリアーナには辛かった。


言いたいことも言えずに我慢させているんだと思い込み、やはり自分はレオンハルトのそばにいるべきではないと思ってしまっていた。


相手を想っているからこそ傷付けたくないというすれ違いが、2人の間には起きていた。

今回はタイトル通り情熱がテーマです!

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