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リアーナとレオンハルト  作者: 藤崎七奈
〜 青い薔薇 〜

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⑤.聖女の力

どうやら白紙の本は、聖女の血筋であるリアーナが触れた時にだけ本には文字が浮かぶようになっていたようだ。


そして本が新品だったのは粗末に扱われたり、捨てられるのを防ぐためあえて綺麗な状態を保つ魔法が施されていた。


「って、書いてあるわ」

「ふ~ん」


禁書庫に保管してある本は持ち出し禁止のため、リアーナはその場で時間が許す限り読んでいた。


レオンハルトはそばに寄り添いながら楽しそうに本を読むリアーナを見ていた。


「ここにまた来てもいい?」

「あぁ、好きなだけ付き合ってやる」

「ありがとう」


一通り本を読んだリアーナは馬車に乗り込み隣に座るレオンハルトと会話していた。


「で、肝心の聖女の力は得られたのか?」

「うん、たぶんね。実感はないけれど。胸もずっと痛くないし」


本を持った時に光ったあの一瞬でリアーナは聖女の力を得たのではないかと思っていた。


何故ならあのあとに白紙の本をいくら持っても、本が光らなかったからだ。


『まるでリナが来るのを待ってたみたいだな』


リアーナの話を聞きながらレオンハルトはそう思った。


一方で自身のリアーナにかけた呪いが解かれたことに気付いたエステルは逃亡を図った。


だが既にレオンハルトはエステルを疑い私兵に見張らせていたため、事情を聴く命で捕まえさせ連行しようとした際にエステルは自ら舌を噛み自害した。


ちなみにキースはレオンハルトの従者兼護衛を継続していた。


* ✦ * ✦ *


後日リアーナは城へ向かい、そこで王妃と対面していた。


聖女へと覚醒したリアーナは魔力が膨大に増え特級ポーションを多く作れるようになった。


そこでリアーナは王妃を通して下級、中級、上級、特級、全てのポーションを売買することにしその一部を王妃に与えるとした。


出どころがはっきりしてるため、これで購入側も安心するだろうと考えたからだ。(※上級は物珍しく、特級は幻なため下手に商会を通すと詐欺だと疑われる)


それによってリアーナが聖女ということを隠すという約束を交わした。


そしてリアーナはこれ以上、聖女として王家側に協力はしないとした。


「もしもこれが破られるようなことがあれば―――———」


レオンハルトの母である側妃の謎の死、それからレオンハルトの命が狙われたこと、これらを王妃が裏で手を回していたと公表すると脅しをかけた。


「証拠はあるのかしら?」

「いいえ、ありません」


リアーナが証拠はないと答えると王妃は微笑みながら「証拠がないなら誰が信じるの?」と言って相手にしていない様子だ。


するとリアーナも微笑み「証拠はなくて良いのです。ただこの噂が広まれば世間は王妃様を悪者にするでしょう。貴方が醜聞に晒されれば王太子殿下への風当たりも当然強くなるはず。そうなれば愚息だと風評されている王太子殿下は、果たして王太子のままでいられるのかしら」と話し、彼女の目が怪しく光った。


「まさかレオンハルトを⋯」


リアーナの言葉に王妃は焦り『あの女の子供を王太子になんて絶対にいや!』と考えた。


「分かったわ」


と言い、王妃はリアーナの意向に従うとした。


その後、少し遠くで2人を見守っていたレオンハルトと合流しリアーナは城をあとにした。


その際、仲睦まじく肩を並べ寄り添って歩く2人の後ろ姿を王妃は密かに見ていた。


王太子(あの子)の相手がこういう頭の回る子だったらよかったのに⋯』


✦ * ✦ * ✦


レオンハルトは馬車に乗るとすぐにリアーナを抱き寄せ「何もされなかったか?」と聞いた。


「されてないわよ。もう心配しすぎ」

「心配するだろ。王妃(あいつ)と2人で話すって言った時は、驚いたんだからな」

「敵は味方につけた方がいいでしょ」

「たくっ」


そう平然と話すリアーナにレオンハルトは少し呆れていた。


* ✦ * ✦ *


数日後、聖女についての本に書かれていたことをリアーナは実践しようとしていた。


それは聖女が認めた相手にだけ、互いの存在と居場所が何となく分かるというものだった。(感度の悪いGPSみたいなもの)


これをレオンハルトと共有すれば、彼の自身に対する執着や不安が薄れるのではと思った。


一度そばを離れたことでレオンハルトのリアーナへの思いが強まったように感じていたからだ。


互いの存在が何となく分かる術を施すと、レオンハルトはとても喜んだ。


だがリアーナの思惑は外れることになる。


「何してたんだ?」


そう言いながらレオンハルトは後ろからリアーナを抱き寄せた。


「今度お茶会に誘われて、その時にお菓子作って持っていこうかなって思って、何がいいか考えたの」


と答えながら、レオンハルトに剣の訓練は終わったのかとリアーナは聞いた。


レオンハルトは今日、私兵と共に訓練をすると言っていたからだ。


「終わった、あとはリナといる」


互いの居場所が何となくだが分かるようになり、レオンハルトは以前よりもリアーナのそばへ来る頻度が上がってしまったのだ。


だがリアーナ自身もレオンハルトへ執着していると気付いたため、そばへ来られることが嫌だとは思わずむしろ嬉しかった。


リアーナはキッチンでお茶会に持参するための、お菓子を作っていた。


その試作のクッキーを1つ取ると「食べる?」とすぐ後ろにいるレオンハルトに聞き、彼はすぐに差し出されたクッキーをパクっと一口で食べた。


「美味しい?」

「うまい」

「よかった。って、ついてるよ」


そう言いながらリアーナはレオンハルトの口の端に付いていたクッキーの欠片を取るとそれを食べた。


それを見たレオンハルトはそばにいる愛しいリアーナをさらに抱き寄せて口付けた。


✦ * ✦ * ✦


この数年後、聖女の力に目覚めたリアーナの作るポーションの効果が以前よりも格段に上がっていたことで、シャーヴァル王国は世界中から注目されることになるが、リアーナが聖女だということは伏せられたままだった。

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