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リアーナとレオンハルト  作者: 藤崎七奈
〜 青い薔薇 〜

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④.禁書庫

レオンハルトのもとを去ると決意をしたリアーナは、エステルからレオンハルトを殺さなければ自分が死ぬ呪いをかけられたこと、だがそんなことは出来ないこと、そしてまもなく自分は死を迎えるためここにはいられないと手紙に書いた。


そして最後に『レオを心から愛してる』と付け加え、リアーナはある暗い夜の日に家を出て行った。


あてもなく歩き続け、たどり着いた廃墟のような家をしばらく拠点とし、いずれは別の街へ行こうと思った。


しかしその日から胸の痛みに侵される時間が増えていき、リアーナは誰もいない廃墟の中でレオンハルトに会いたいと思う気持ちが強くなっていった。


そして自分もレオンハルトを愛していたと同時に、彼に執着していたんだと気付く。


その夜、リアーナの夢枕に見知らぬ綺麗な女性が現れる。


彼女は『聖女の力に目覚めなさい。そうすれば闇を追い払えるわ』と話した。


リアーナはそれを聞き『貴方は誰なの?』と問いかけると女性は悲しげに微笑み『一緒にいられなくて、ごめんね⋯』と言われリアーナは目を覚ます。


リアーナは自分が泣いていたことに気付き、今見た夢の見知らぬ女性は本当の母なのではないかと思った。


翌日、夢のお告げに従いリアーナは自身の聖女覚醒へのヒントを得るため王立図書館に向かい、聖女についての本を探すことにした。


* ✦ * ✦ *


一方レオンハルトはいなくなったリアーナを必死に探していた。


リアーナの手紙を読み上級学校でエステルに会ったあと様子のおかしかった彼女を思い出し、もっと話を聞いていればと後悔していた。


そして以前2人で話した会話の内容からもしかしたら聖女について調べるために、リアーナが王立図書館に現れるかもしれないと思い立った。


そんな中、リアーナは王立図書館に着くとキョロキョロとあたりを見渡した。


すると自身を見つめる視線に気付き、それがレオンハルトだと気付くと早足にその場を去った。


レオンハルトは向かった王立図書館で入り口から入ってくるリアーナによく似た、フードを被った女性を見ていた。


彼女は自身と目が合うとすぐに外へと出たため「そいつを捕まえろ!」とレオンハルトは叫び、入口付近にいたキースが急いで外へと出た女性を追いかけた。


リアーナはキースに追いかけられると、あっという間に捕まってしまった。


先ほどのレオンハルトの剣幕から物取りだと思ったキースは、その者の腕を後ろ手にし地面に強く押さえつけた。


「やめろ!」


レオンハルトもすぐに後ろから追いかけ手荒に捕まっていた彼女をキースから離して抱き上げ、顔を確認するとリアーナは目を閉じ意識を失っていた。


どうやらリアーナは呪いの影響から体力がかなり落ちていたため、あっさり捕まってしまったようだ。


リアーナを家に運び、いまだ意識がなくベッドで横になったままの彼女を椅子に座り黙って見つめていたレオンハルトに、キースは自分の落ち度を認め自身の命で償うと言った。


だがレオンハルトは「お前の命などどうでもいい」と言って突き放し、リアーナが目覚めたら彼女にキースの生死の判断を委ねるとした。


『少し考えれば何のためにあそこへ行ったのか、追いかけた時の背格好でリアーナ様だと気付くべきだった』とキースは悔やんだ。


✦ * ✦ * ✦


数日後に目を覚ましたリアーナは、今にも涙が溢れそうな顔のレオンハルトと目が合った。


「どうして泣きそうなの?」


と言って、リアーナは手を伸ばし目の前のレオンハルトの頬に触れた。


「よく見たらクマがあるじゃない。あまり眠れてないの?」


と目覚めたリアーナはレオンハルトを気にかけるようなことばかり話した。


「リナ⋯」


するとレオンハルトは頬に触れるリアーナの手を両手で取って俯いた。


それを見たリアーナはゆっくりと身体を起こしレオンハルトを抱き寄せ「ごめんね、レオ」と言った。


そうレオンハルトはリアーナがいなくなってからの約1週間、そしてリアーナが目を覚ますまでの数日ほとんどまともに寝ていなかった。


「謝るなら出ていくな」

「そうだね」


するとレオンハルトはリアーナの顔を覗きながら聞いた。


「何で出て行った?心配したんだぞ」

「私が苦しむ所をレオに見せたくなかったの」

「それを見た俺が悲しむと思ったのか?1人残された方が悲しむと思わなかったのか?リナは1人になって苦しくなかったのか?」

「⋯1人になって苦しくて寂しかった。レオに会いたかった」


そう言いながらリアーナは涙を零した。


「何で俺に言わなかったんだよ。1人で悩みやがって」


レオンハルトはリアーナがそばにいない方が苦しいんだと言い彼女を抱き寄せた。


その後、ベッドの中で2人は見つめ合いながら横になり、互いの頬に手を置いて話していた。


「そんな疲れた顔して、格好いい顔が台無しよ」

「リナこそ疲れた顔してるぞ、もっと寝ろ」

「可愛いって言ってくれないの?」

「リナはどんな姿でも可愛いだろ」


微笑み合いながら話していた2人はそのまま目を閉じ、互いのぬくもりを感じながら眠りについた。


* ✦ * ✦ *


翌朝リアーナが目を覚ますと隣ではまだレオンハルトが眠ったままだった。


改めて戻ってきたんだとレオンハルトの寝顔を見ながらリアーナが思った時だった、急に胸が痛み出したのだ。


「⋯うぅっ」声にならない声を出し苦しみ耐えているとレオンハルトが異変に気付いて起き、隣で苦しむリアーナに焦った様子で声を掛けた。


「ど、どうした?苦しいのか?医者を呼ぶか?」

「⋯大丈夫、自分で何とかするから」


そう言ってリアーナはゆっくり仰向けになり自身の胸に手を当てた。


するとリアーナの手が黄色く光りだした。


それは神聖力と言われる治癒魔法だった。


どうやらリアーナは今までもこうして自身で痛みを和らげていたようだ。


だがそれは気休め程度にしかならず呪いを消すほどではなかった。


少ししてからリアーナは落ち着きを取り戻し、するとレオンハルトは「今日、王立図書館に行こう」と言った。


王立図書館の奥には王族だけが立ち入れる場所があるとレオンハルトは聞いていたため、そこにいけば聖女に関する本があるかもしれないと思ったからだ。


支度を済ませた2人は馬車に乗り込み、その間レオンハルトは隣に座ったリアーナを抱き寄せ、もう片方の手を繋ぎながら語りかけた。


「いいかリナ、もう絶対にいなくなるなよ?また俺から離れたら承知しないからな」

「分かった、離れないようにする」

「絶対だぞ?何があってもだからな」

「うん、レオから離れない。もう離れたくない」

「ならいい、例えリナが苦しんでても俺はそばにいたい。だから離れようなんて思うな」


そうレオンハルトはそばにいるリアーナに言い聞かせた。


王立図書館へと着いた2人はさっそく王族しか入れないという『禁書庫』へと向かった。


そこには歴代の王族に関する本や歴史書などが少し乱雑に所狭しに並んでいた。


「埃かぶってるな」

「そうね、あんまり人は来てなさそうね」


2人は話しながら奥へと進み、すると一部だけ綺麗に整頓された箇所があった。


「ここだけ綺麗ね」

「本も全て新品か?」


そう言ってレオンハルトは一冊の真新しい本を手に取り、中を開いた。


だが中に文字はなく、白紙だった。


「何にも書いてないな」


と言ってレオンハルト持っていた本を戻し、そして別の本を取り出したがその本も白紙だった。


「なんで新しいのに白紙なんだ?」

「見せて?」


隣でそれを見ていたリアーナはレオンハルトの持っていた白紙の本を受け取った。


すると本が光り輝き出し、文字が浮かび上がったのだ。


「えっ?」

「はっ?」


2人は何が起こったのか分からず互いの目を見つめ合い、そしてリアーナの持っている本に目線を移し、それを何度か繰り返した。

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