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リアーナとレオンハルト  作者: 藤崎七奈
〜 秘めた想い 〜

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①.侯爵家

リアーナ(コルビニア侯爵家)とレオンハルト(アスタリオス侯爵家)の母親は学生の頃からの親友だった。


やがて互いが結婚し子供が出来ても変わらず交流が続き、リアーナとレオンハルトが仲良くなることは自然な流れだった。


2人は幼なじみとして共に育ち、そして言葉にはせずとも互いに想い合っていた。


その後レオンハルトの母親が流行り病で亡くなるが、リアーナとレオンハルトは変わらず仲が良かった。


そんな中、2人が16歳の時リアーナの家の領地が大規模な災害被害に遭い経営が危うくなる。


そこで父はもう一人の侯爵であるジャエル卿に相談し、多額の資金援助のかわりにジャエル卿の息子『エドガー』とリアーナの縁談を決めてしまう。


ジャエル卿は今、社交界で綺麗だと噂になっているリアーナなら今後利用価値があると考えた。


リアーナは家のためにレオンハルトへの恋心に蓋をし、涙をのんでエドガーとの婚約を受け入れた。


3家は互いに侯爵家で子供も同い年ということで、それなりに交流があったのだ。


婚約から数日後、リアーナはエドガーの家を訪問し屋敷の中を案内されていた。


エドガーは前々からリアーナを好きだったため、その嬉しさから率先して彼女を誘導し屋敷の中を案内していた。


その時、エドガーが勢いよく振り返り横にいたリアーナとぶつかってしまい、その拍子に彼女の髪に結んでいたリボンが解けて落ちてしまった。


リアーナの今日の髪型は、ゆるく両脇に垂れる感じのハーフアップだった。


それはとても洒落な髪型だったのだが、キューティクルの多いリアーナの綺麗な髪は、ぶつかっただけでいとも簡単にリボンが解けてしまったようだ。


エドガーは申し訳ないと謝り、リアーナは屋敷のメイドに髪を整えてもらうことになった。


リアーナは案内された部屋に入り鏡台の前に座ると、メイドはさっそくリアーナの髪の毛を引っ張りギチギチに編みはじめた。


「あの…」


リアーナは痛みを感じ、自身の髪をいじるメイドに鏡越しに話しかけた。


「この方がとてもお似合いですよ」


とメイドに笑顔で言われ、あっという間に後ろで全てまとめた編み込みの髪型にされてしまった。


リアーナは思い通りの髪型にされなかったことに不満を抱いたが、鏡越しにこちらを見る満面の笑みのメイドに何とも言えない恐怖を感じ「ありがとう」とお礼を言うと椅子から立ち上がり、エドガーの下へと戻った。


メイドと一緒に自身のそばへやってきたリアーナを見たエドガーは「早かったね。その髪型もとても似合っているけれど、さっきの方が僕は好きかな」と言った。


するとリアーナが言葉を発する前に後ろから付いてきていたメイドが「この髪型がいいとおっしゃいました」とお辞儀をしながらエドガーに報告。


「そうなのか、リアがいいなら僕もそれが良いと思うよ」


とエドガーはハニカミながら答え、リアーナはそこで気付いてしまった。


エドガー以外のこの屋敷の人間に、自分は歓迎されていないのだと。


* ✦ * ✦ *


「もう少しゆっくりしていったらいいのに」

「ごめんなさい、用事を思い出して。どうしても今日じゃないとダメなの」

「分かったよ。なら近いうちにリアの家に行ってもいいかい?」

「えぇ、待ってるわ」


その後、リアーナは早々にエドガーの屋敷を出るとその足でレオンハルトの家へと向かった。


リアーナはレオンハルトに会うとすぐに「鏡台を貸してくれない?この髪型じゃ家に帰れなくて」と言った。


「それは構わないが、その髪型はなんだ?あんま合ってないぞ」

「私もそう思う」


今日の出来事をリアーナはレオンハルトに話し、このまま家に帰れば皆に心配をかけると言った。


「だろうな、おい」レオンハルトは近くにいたメイドに声をかけ「リナの髪を綺麗に整えてやれ」と言った。


それを聞いたリアーナは「自分で出来るから鏡だけでいいわ」と断ったがメイドは「私にお任せください」と言って彼女の背中を押しながら部屋の中へと案内した。


「ありがとう、凄く気に入ったわ」


リアーナの髪は編み込みのハーフアップになっていた。


リアーナは髪を全てアップにするよりも下ろした髪型、特にハーフアップがとても似合っていたのだ。


「いいじゃん、似合ってる」


髪型を整え自身の所へ戻ってきたリアーナを見たレオンハルトはすぐに褒め、2人はテーブルを挟んで向かい合って座った。


するとすぐにレオンハルトは目の前のリアーナに「何で俺のいない間にエドと婚約してるんだ?お前の家の領地の災害と何か関係あるのか?」と聞いた。


実はリアーナはそのことを謝ろうと思いレオンハルトの家に来ていた。 


リアーナは領地の災害の資金援助のかわりの縁談だったこと、既に父親同士が決めたことで自分がそこに割って入ることが出来なかったと正直に話した。


その話を聞いたレオンハルトは『あいつ俺が王都にいない間にリナとの婚約を早めたな』と思った。


レオンハルトは自身の領地へ行っていて、昨日この屋敷へ帰ってきたばかりだった。


「俺だってお前のためなら何だってしたのに…」

「ありがとう、でももう決まったことだから」


と言いリアーナは「レオの思いに応えられなくてごめんなさい」と続けて謝った。


レオンハルトは何も言えなくなり悔しそうに唇を噛み締めた。


2人は言葉に出さなくとも互いに想いあっていると分かっていたのだ。


リアーナは目の前の悔しそうな悲しそうな複雑な表情をしたレオンハルトの顔を見ると思わず涙が出そうになり、顔を横に向け「じゃあ帰るから」と言って立ち上がり出入り口へと向かって歩き出した。


レオンハルトは無言でリアーナの後をついて行きながら、かける言葉を探していた。


レオンハルトにもこの婚約をリアーナは望んでいないと分かっていたからだ。

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