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リアーナとレオンハルト  作者: 藤崎七奈
〜 Dark Red 円熟した優雅さ 〜

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③.異空間

2人が結婚して数ヶ月、伶緒と凛香はとても仲がよく休みの日は共にアニメや映画を、自宅のテレビでいつも見ていた。


「また転生ものか」


新しく始まった人気のアニメを2人で見ていると、内容は近頃流行りの異世界転生物語だった。


「世界を救う人を異世界から呼ぶんじゃなくて、普通は現地の人で何とかしようとするよね」

「あぁ、こんなのばっかで飽きてきたな」

「内容は面白いのにね」

「あり得ないから面白いと思うんだろうな」

「転生にこだわらなければいいのに」


2人は異世界転生などあり得ないと言い、正直最近はそんなアニメばかりで飽き飽きしていた。


そこから数日のある夜、凛香は布団に入ると眠るまでの間に漫画でも読もうとスマホを見ていた。


今日は伶緒が夜勤で家にいなく凛香は1人だった。


凛香はランキング上位にあった2人の女性の絵がとても綺麗に描かれた漫画を開いた。


それは主人公の女の子が悪役令嬢に立ち向かい、最終的には王子様と結ばれるというよくあるお話だった。


『何だかんだ言って、こういう展開が一番ハマっちゃうんだよね』


話は意外に面白く凛香はどんどん物語を読み進めた。


読み終えた頃には夜もだいぶ深くなっていたため、スマホを閉じ眠りについた。


しばらくすると凛香は淡い水色に包まれた空間(まるで空の中にいるようなところ)に立っていた。


『ここはどこ?夢の中?』


そう凛香は思った時、誰かの声が耳に届いた。


「…助けて、私を誰か助けて」


凛香はその空間を歩きながら声のする方に向かうと、ドレスを着た若い綺麗な女性が涙を流しながら俯いていた。


「どうかしたの?」


凛香は誰か分からないその綺麗な女性に声をかけた。


すると彼女は両手で顔を覆い「誰も本当の私を見てくれないの、もう消えてしまいたい」そう悲しげに答えると、指の隙間からポタポタと涙が溢れた。


凛香は目の前の彼女がとても気の毒に思え、泣いている彼女を抱きしめた。


その瞬間、淡い水色だった空間が光り輝き出し凛香は思わず眩しくなって目を閉じた。


すると頭の中に、凛香のこの先の人生がまるで走馬灯のように流れた。


『えっ、私の人生もう終わっちゃったの?』


お婆さんになった自分が目を閉じるまでを頭の中で見た凛香は、あの一瞬で人生が終わってしまったのかと落胆しながら目を開けた。


すると目の前には全身を映す鏡があり、とても綺麗な女性がドレスを着てその前に立っていた。


「えっ?」


鏡に映る女性は凛香が瞬きをすると同じように瞬きを繰り返す。


そこで凛香は気付いた『まさか、これって転生?』凛香はあり得ないと否定していた異世界へ、ではなく『異空間(漫画の中)』へ転生し、そして見知らぬ女性に憑依していた。



________________



ここは凛香が眠る前に布団の中で横になり、読んでいた漫画『ヴィオラの乙女』というタイトルの作中の中だった。


この物語には年に一度『神の日』と定められた日があり、その日に生まれた女の子が『花の乙女』になるとされていた。


花の乙女は存在するだけで国に繁栄をもたらすと言われ、前の花の乙女が亡くなりその翌年に主人公の『エマ』が生まれた。


エマは貴族令嬢として育ち、同い年の『いとこ』からの理不尽な虐めに耐えながらも立派に成長し、その見た目の可憐さから『白いヴィオラの花』のようだと噂され、やがて王太子と恋に落ちて結婚。


エマは花の乙女として国を繁栄へ導き、皆から愛される存在として幸せに暮らす、という少女漫画にありがちな展開の話だった。


そしてもう1人、この物語の重要人物である『フレデリカ』という子もエマと同じ日に生まれていた。


世間ではどちらか一方が花の乙女だろうと噂されていたのだ。


そんな2人はいとこ同士だった。


フレデリカの家は『ベアルース侯爵家』で父は宰相も務めるほどとても優秀な男だった。


そしてエマの父(弟)は優秀な兄に比べば劣るものの、これといった欠点もない一般的な貴族男性だった。


そんなフレデリカは見た目がとても美しく花の乙女に最も近いと言われ、6歳の時に2つ年上の『メゼブル王国の王太子カルロス』との婚約が決まる。


フレデリカは前々から見た目の格好いいカルロスに好意を寄せていたためとても嬉しかった。


そしてカルロスも綺麗なフレデリカが気になっていた。


2人は時々城で会い子供ながらに互いに惹かれ合っていた。


しかしフレデリカが13歳の時に両親が共に事故でなくなり、家督を継いだ弟は引き取った兄の娘(姪)の『フレデリカ』ではなく自身の娘『エマ』の方を王妃にしたいと思うようになり、両親を亡くしたフレデリカが花の乙女ではないという噂を密かに広めた。


するとこれを機に今度は婚約者のカルロスがいつも隙のないフレデリカではなく、愛らしく自身に微笑むエマの方に心変わりをしてしまった。


フレデリカは目の前で2人が仲良くお喋りをする所を見てしまい、カルロスにそのことを問い詰めるが「エマは妹みたいなものだから」と言われてはぐらかされ相手にされない。


そこからフレデリカはエマに嫉妬し嫌がらせをするようになる。


そしていつしか社交界では可憐で愛らしいエマは『白いヴィオラの花』のようだとされ、対してフレデリカの方は華やかで品のある『ダークレッドの薔薇』のようで対照的な2人だと世間で囁かれ、エマが本物の花の乙女でフレデリカは偽物なのではと噂は広まっていった。


* ✦ * ✦ *


可憐で愛らしい白いヴィオラの花のような主人公『エマ』。


性格は自分への自惚れが凄く、フレデリカのものを何でも欲しがる(元は素直で純粋だった)


✦ * ✦ * ✦


華やで品のあるダークレッドの薔薇のような悪役令嬢『フレデリカ』。


性格は素直に自分を表現出来ない、根はとても優しくただ愛を求めていた。


2人は漫画の中で何度もループを繰り返し、エマは主人公ゆえ毎回ハッピーエンドを迎えるたびに強欲になり、フレデリカはバッドエンドを繰り返してるうちに心が折れ、無意識に別の世界から波長の合う凛香を呼んでいた。


2人はループする上で過去の記憶を断片的にだが覚えていた。(他の人間は過去を全く覚えていない)


* ✦ * ✦ *


凛香がフレデリカの身体に憑依したこの日は、カルロスに呼ばれ彼女がウキウキして城に行くと、エマと2人きりでいる所を初めて見せられ、ショックをウケる日だった。


『もしかして彼女はこの先を知ってて泣いていたの?』


凛香はこの身体にある記憶と、自身が漫画で読んだ展開を頭の中で辿り、この先を考察していた。


めいいっぱいお洒落をした今の自分の姿を鏡で見た凛香は、複雑な気持ちになった。


『こんなに可愛くお洒落して、貴方は本当にカルロスの事が大好きなのね』


そう思うと鏡に映る自分が悲しい顔になった。


それを見た凛香は鏡に向かって微笑んだ。


「大丈夫、私が貴方を幸せにしてあげる」


そう話すと凛香は城へと向かった。


城へと着き案内された部屋に向かうと案の定、中にはカルロスとエマが並んでソファーに座り楽しげにお喋りしていた。


そして本来ならここからフレデリカが悪女と呼ばれるような行動を取るようになるのだが、今の彼女はそんな気はなかった。


『2人でいる所を私に見せて結局なにがしたいのかしら?もう2人の邪魔をするつもりもないし帰りましょう』


凛香はそう思い振り返るとさっさと部屋を出ていった。


(『カルロス』は王太子として甘やかされて育ち何でも自分が一番じゃないと気がすまない性格。だが根は真面目)


すぐに何も言わずに部屋を出ていってしまったフレデリカに、カルロスとエマの2人は怒らないのかと驚いて目を合わせた。


その頃、馬車に乗り込んだフレデリカ(凛香)はこの後の展開を考えていた。


『このあとフレデリカは2人のことを友人に相談しに行くはず。彼は騎士でフレデリカを密かに好いていたわよね。確か名前は…』

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