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リアーナとレオンハルト  作者: 藤崎七奈
〜 Trust 〜

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⑤.光と闇

数日後、とうとうレオンハルトはデスノアを校舎の裏の少し広い所に呼び出し、フィリップとモアラも見守ろうとレオンハルトに一緒について来ていた。


レオンハルトは「リナを返せ!」とデスノアに言い、それを聞いたデスノアは「もう面倒くさいな~、リアーナ何とかしてよ」と自身を睨むレオンハルトを何とかしろと隣にいるリアーナと目を合わせて言った。


するとレオンハルトはそんな2人のやり取りに頭に血が上り、腰に刺していた剣を取り出すと「ふざけるな!」と言ってデスノア目掛けて斬りかかった。


それを見たリアーナはすぐさま光魔法で剣を作り出し、レオンハルトの剣の攻撃を自身で作った剣で防いだ。


「リナ!何でそいつを庇う!」

「デスノア様に傷はつけさせない」


と言ったリアーナの言葉にレオンハルトは「クソっ」と呟くと数歩後ろへ下がった。


「リアーナ、そのまま相手してあげて?そこの人もリアーナを返して欲しいなら自分の手で戦って取り返しなよ」とデスノアは笑いながら話した。


それを聞いたリアーナは持っていた剣でレオンハルトの肩に傷をつけた。


てっきり自分の攻撃を防ぐと思っていたリアーナは、無抵抗に自身に傷をつけられたレオンハルトに驚いた。


「何で防がないの?」

「お前とは戦わない」


と言いレオンハルトは剣を構えない。

リアーナはその言葉が信じられず攻撃を仕掛けたが、レオンハルトは何もせずに傷だけを増やした。


そして何回目かのリアーナの攻撃のあとレオンハルトは初めて避け、たと思ったらリアーナの腕を掴みそのまま自身に引き寄せて抱き締めた。


すると念話を使いリアーナに話しかけた。(2人の念話は近くにいる時だけ有効)


『リナ、聞こえるか?一体なにがあった?何かあったんだろ?俺にも話せない事なのか?』と聞いた。


そんなレオンハルトの優しい声にリアーナは目を閉じ念話で答えた。


『レオ…、私…』

『あぁ、どうした?』


すると「何をしている?」とリアーナの耳元でデスノアの声が聞こえ、リアーナは目を開けるととっさにレオンハルトを押し倒し、振り返ると「何でもありません」と言ってデスノアのそばへと戻った。


その時レオンハルトはリアーナの首に鎖のような物が巻かれているのを、一瞬だけ見えたような気がした。


『今のは何だ?』と思いながら立ち上がり、「行くよ」とデスノアがリアーナに声をかけ「はい」と言って去って行く2人の後ろ姿をレオンハルトが見ていると、近くで様子を見守っていたフィリップとモアラがレオンハルトのそばに近付いた。


「ひどいわね、こんなに怪我を負わせるなんて」

「無抵抗な人間にこうも傷をつけられるとはな」

「最後も押し倒してたし。リアを信じたらダメだって気付いたでしょ?」


そう2人は言いながらレオンハルトを医務室へと連れて行った。


手当をしてもらい寮の部屋へ戻ったレオンハルトはベッドに腰掛けて思った。


『血が出たから酷そうに見えたが全部かすり傷だった、ワザとそう見せたのか?それに押し倒したとモアラは言ったが、あれは明らかに俺を庇った動きだった。もしかしたらあの瞬間デスノア(あいつ)から攻撃が来ると思ったのかもしれない。てことは精神支配はかかってないのか?あと一瞬だがリナの首に鎖みてぇなのが見えたが、あれは何だったんだ?』


と考え、レオンハルトは疑問に思うことが増えていた。


その頃リアーナも『レオに何か伝わってしまったかもしれない。だけど、もうすぐで尽きる』と自身の手の平を見ながら思っていた。



__________________



リアーナの態度が変わってしまってから、まもなく1ヶ月が経とうとしていた。


デスノアは自身に従うリアーナのことを疑い始め『この際まとめて始末しちゃおう』と思った。


彼の正体は『魔王』だった。


この世界に生まれて間もない頃はとても小さな黒い塊(人間の憎悪)だったが少しずつ大きくなり、たまたま魂が欲にまみれた人間を喰らい次々に魂を喰らいたいという欲求に駆られた。


そうして人間の魂を喰い漁り人形へと成長した彼はある日、自分は魔王であることを自覚した。


そこでさらに美味い魂を喰おうと貴族の中に紛れ込み、自分を倒そうとしている者がいることを知る。


だったらその前に喰らってしまえばいいと考え、魔法学園に生徒として入学。


学園の生徒は高い魔力を持ち、奴等を喰らうほど自身の魔力も高まるのを感じた。


そんな時リアーナと出会い膨大な魔力を持つ彼女をまずは支配してやろうとしたが、なぜか精神支配の魔法が彼女には効かなかった。


どうやら彼女は自分とは真逆の相反する光属性だと知り、すぐに殺そうかと思ったが魔力量の多い彼女を倒すだけで苦労する、だったら彼女を従わせ魔力だけを奪ってやろうと考えた。


彼女に近付き「大事なものを守りたければ私に従え。そうすればそいつ等に手出しはしない」と言うと、すぐに信じあっさりと受け入れた。


あまりにも簡単過ぎたため彼女の首に従属の鎖をつけた。もちろん誰からも見えないように。


どうやら彼女はただ単に、デスノアの放つ恐ろしい気配に怯えていただけのようだ。


だが彼女の魔力はそれだけで凄かった。


『その魔力も十分いただいたよね。あとはどう処分しようかな?そうだ、あの男も呼んじゃおう♪』


とウキウキしながら考え、後日デスノアはレオンハルトとフィリップ、それからモアラを以前レオンハルトに呼び出された校舎の裏の少し広い場所に呼び出した。


「デスノア様、3人が到着しました」とそばにいたリアーナが声を掛けると5人を取り囲むように壁と天井が現れ3人はその空間から出られなくなった。


「何をする気だ?!」とレオンハルトが叫ぶと、デスノアは後ろを振り返り階段を上ると玉座のような椅子に腰掛けた。


その風貌はまるで魔王のように3人には見えた。


リアーナも階段を上りデスノアのそばに立つと声を掛けた。


「今日は何をなさるのですか?デスノア様」

「リアーナにも、まだ何にも言ってなかったよね」


と笑顔で答えたデスノアは片手に鎖を取り出し「こうするのさ」と言うと、デスノアの持っていた鎖の先はリアーナの首へと繋がっていた。


その鎖を自身へ引き寄せリアーナの顔を近付けると「お前の魔力、今ここで全部吸い取ってあげる」と言い、鎖を通しリアーナの魔力がデスノアへと流れた。


魔力を吸い取られ立っていられなくなったリアーナは床に手をついて苦しんだ。


そんなリアーナをデスノアは「アハハ」と声を出し、笑いながら見ていた。


レオンハルトは苦しむリアーナのそばへと行こうしたが、フィリップがそれを制止していた。


「行ってはダメだ、リアは私達を裏切った自業自得だ。それにあれはどう見ても人間じゃない」

「そうよ、あんな悪魔みたいなのを信じたリアが悪いわよ」


そうモアラもレオンハルトに語ると、それを聞いていたデスノアは3人に笑いながら話しかけた。


「まだ気付いてなかったの?リアーナが君達を僕から守っていた事に」


その言葉に驚いた3人はデスノアの方を見つめた。


「自分の魔力を僕に差し出す代わりに、僕は君達には手を出さないとリアーナと約束をしていたんだよ。だからリアーナは僕の言うことに従っていたのに。そんな単純なことにも気付かないなんて、人間は愚かだね」


それを聞いたフィリップとモアラは青ざめた顔になった。


まさか自分達を守るためにリアーナがデスノアの言いなりなっていたとは夢にも思わなかったようだ。


「そんな君達に朗報だよ。もう魔力もないリアーナはいらないから返すよ」


と言いリアーナの首に繋がっていた鎖を外すと、床に横たわるリアーナを蹴り飛ばし階段の下へ突き落とした。


レオンハルトはフィリップに捕まっていた手を振り払い、転がるリアーナを止め屈みながら上半身を起こし状態を確認すると、彼女は目を閉じ意識がなかった。


『こんなになるまでアイツに魔力を吸わせたのかよ。お前の魔力に制限はないはずだろ?それをワザと止めてたのか?』


とレオンハルトはボロボロになったリアーナを見ながら思った。


するとデスノアが玉座から立ち上がり「さぁここからが本番だよ。自分達の魔力も奪われないように、少しは楽しませてよね」と言い放ち攻撃を仕掛けてきたのだ。


デスノアから放たれた鎖をモアラは慌てて土の盾を出して皆を守り、フィリップはその間に風を起こしデスノアの視界を悪くした。


「やるねぇ、だけどこれはどうかな」と言いデスノアはさらに鎖を増やしモアラの土の盾が破られそうになった時、目の前に巨大な光の壁が現れた。


それはリアーナが自身の身体に残る全ての魔力を使って出したものだった。


薄っすらと目を開き手を前に出していたリアーナは、巨大な光の壁を作り出すとその場で血を吐いた。


「リナ!」自身の腕の中で血を吐いたリアーナに驚いたレオンハルトが名を呼ぶと、横を向いていたリアーナは虚ろな目でレオンハルトの顔を見上げた。


そんなリアーナに「もう無理するな、いいから魔力回復しろ!」と言い首にかけていたペンダントのチェーンを引きちぎると、リアーナの手に握らせその手を胸の所に置いた。


リアーナは目を閉じペンダントから伝わる魔力で自身の魔力を回復させ、姿がみるみる元の状態に戻っていった。


目を開けたリアーナは身体を起こし手に持っていたラピスラズリのペンダントを近くにいたレオンハルトの首にかけた。(ちぎれていたペンダントのチェーンは直った)


「ありがとう、お陰で魔力回復出来た」

「あぁ、どうせこれもお前の魔力だからな」

「でもまだ完全じゃない」


そうリアーナは手の平を見ながら言った。


「やっぱ魔力止めてたのか、アイツに奪われないように」


リアーナは目に見える魔力しか持っていないように、ずっとデスノアに思わせていた。


「まぁレオにはバレるよね」


そう見つめ合って話していた2人にモアラが話しかけた。


「お2人さん。お取り込み中のところ悪いけど、そろそろ壁が壊されそうよ」


リアーナとレオンハルトはそう言われ光の壁の方を見ると、デスノアからの攻撃を受けている壁には複数の細かなヒビが入っていた。


「レオ、あいつを倒すの手伝って」

「分かった、だが勝算はあるのか?」

「あるわ、だって…」


リアーナとレオンハルトはそう話しながら立ち上がり、リアーナはデスノアの最大の弱点をレオンハルトに話した。


「何だ、そういうことか」とレオンハルトは言い、腰に差していた剣を抜きながら歩き出した。


リアーナもレオンハルトと共に歩き、2人は光の壁の前で立ち止まった。

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