表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
リアーナとレオンハルト  作者: 藤崎七奈
〜 恋の訪れ 〜

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

47/78

④.失ってしまう怖さ

馬車に乗り、しばらくしてから王都の街に着き街中を馬車が走っていると、物珍しいのかリアーナが楽しそうに窓から街の賑わいを見ていた。


リアーナは外の景色を見ながら、神殿から出たことがなかったと言い街の中はこんなに賑わっているのかと驚いていた。


レオンハルトはそんなリアーナのために花屋の前で馬車を止めるよう御者に指示し、リアーナをエスコートしながら降りると「どれがいい?」と聞いて彼女に花を選ばせた。


そう聞かれたリアーナは自分の好きな色のピンクの花を選ぼうと思い、大きなピンク色の花の前に行こうとした時、店の奥にある青色の花の鉢植えが彼女の目にとまった。


「レオの瞳と似たあの青色の花がいい」とそばにいたレオンハルトに言うと、亭主が奥に置いていたその鉢植えを持って店先に戻ってきた。


「本当にこれでいいのか?」とレオンハルトが聞くとリアーナは「それがいい」と言うので、彼はその鉢植えを購入し亭主から鉢植えを受け取ると馬車に戻った。


花は『アガパンサス』という細長い茎に青色の小さく愛らしい花をたくさん咲かせる花だった。


その花は綺麗なのだが決して華やかとはいえないため、レオンハルトは本当にこれでいいのかとリアーナに聞いたのだ。


宮殿に着き与えられた部屋の窓辺に先程レオンハルトに買ってもらったアガパンサスの鉢植えを飾り、リアーナはとても嬉しそうにそれを眺めていた。


するとドアをノックされリアーナが振り返るとすぐに扉が開きレオンハルトが部屋の中へ入ってきた。


「近いうちに俺達の婚約披露するってさ」

「そう、分かったわ」


そう部屋に入りながらレオンハルトはリアーナに話しかけ、その直後彼の後ろからぞろぞろと使用人と思われる女性が数名、部屋の中へと入ってきた。


リアーナが驚いて何事かと思っていると「さっそくドレス仕立てるからな」とレオンハルトが言った。


「もう?」とリアーナが聞き返すと、使用人の女性達はあっという間に彼女の身体を囲みサイズを測り始めた。


レオンハルトはそれをそばで見守り、測り終わり使用人達が部屋を出てもそのままリアーナの部屋に居座った。


「酒は飲んだことあるか?」

「ううん、ない」

「なら今日一緒に飲むか」


そう話したレオンハルトはリアーナの部屋で共に夕食を取り、その際お酒を用意させ2人は仲良く飲み食いした。


食後リアーナとレオンハルトはソファーの方へ移動し、お喋りしながらお酒を飲み続けた。


「俺みたいなのを好きになるなんてリナは物好きだな」

「物好き?レオは格好いいよ、男らしいし」

「そんな事を言うのはリナだけだ」


2人は一緒に楽しくお酒を飲み、しばらく経つとリアーナはかなり酔いが回ったのか「レオ大好き」と言いながら隣に座るレオンハルトに抱き着いた。


その時レオンハルトは持っていたグラスをテーブルの上に置いたが、リアーナに身体を押されグラスはテーブルの上で倒れ中身が溢れ水滴が床に落ちた。


リアーナに上に乗られたレオンハルトは彼女を抱き締めながら動いて隣に寝せ、今度はレオンハルトが上になった。


頬がほんのり赤くなり火照ったリアーナの可愛い顔を見ながら「…全く、お前は」と呟くと、「俺もリナが大好きだ」と言ってレオンハルトは彼女の上に覆い被ったまま深く口付けた。


その後、リアーナがまだ酔っていることから話しても覚えてないだろうと考え、レオンハルトはベッドの中で目の前にいる彼女に自身のことを語った。


「俺は今まで誰にも頼らず1人で生きてきた、自分は強いって心に言い聞かせてきたんだ。実際俺は自分で言うのもあれだが正直なんでも出来た。特に剣術は今のところ誰にも負けたことがない。そりゃ最初は下手だったが、今は俺がこの国で1番強い。そうやって周りの人間に自分を認めさせてきた。じゃなきゃ1人で生きてきた俺に生きる意味なんてなかったから。そんな自分は強くて凄い人間だと思ってた。だがリナに会って自分が弱いことに気付いた。リナが隣からいなくなったら俺は生きていけない気がする」


そう言いながらレオンハルトはリアーナに抱き着いた。


レオンハルトは今まで皇太子として周りから認められるよう強い信念を持って生きてきた。


しかし大切にしたいと思えるリアーナという大きな存在が出来た喜びと同時に、失ってしまう怖さを感じてしまったようだ。


それを素直にリアーナに話した。


リアーナは自身に抱き着いてきたレオンハルトの頭を撫でながら「私も今までレオと同じように1人だったよ、信頼出来る人なんて誰もいなかった。だから一緒に行きていこう」と優しく話しかけた。


「死ぬ時までリナと一緒にいる、そんでその後もずっとリナといたい」

「うん、私もレオとずっといたいよ」


するとその言葉を聞いたレオンハルトはリアーナと目を合わせ片手で頬に触れた。


「絶対だからな、魂になってもだからな」

「分かった、魂だけになってもレオといる」


そう話たリアーナにレオンハルトは、自身の思いが伝わり嬉しくなったのか微笑みながら顔を近付けるとキスをした。


* ✦ * ✦ *


そこから数日後、リアーナの部屋が何者かに荒らされるという事件が起きた。


リアーナは荒らされた部屋に入ると、真っ先にレオンハルトに買ってもらったアガパンサスの鉢植えを確認した。


鉢植えは壊れていたが花の方は無傷だったため別の鉢植えに植え替えることが出来、リアーナはとても安堵した。


レオンハルトはリアーナの安全を考え部屋を自身の隣に移させた。


「そんなのが大事なのかよ」

「大事だよ、だってレオが買ってくれた物だもの」


そう嬉しそうに鉢植えの花を眺めるリアーナをレオンハルトは抱き寄せた。


部屋が移ってもリアーナはレオンハルトに買ってもらったアガパンサスの花をとても大事にした。


「他にも欲しいのがあれば何でも用意する、花が好きなら毎日贈るぞ」

「ううん、花はこれだけでいい」

「そんな安いの1つでいいのか?」

「いいの、それよりこの部屋広すぎない?」

「ここは結婚したら2人で使う部屋だ」


リアーナが移ったレオンハルトの隣の部屋はとても広く、結婚後皇太子夫妻が使うための部屋だった。


レオンハルトは今回の事件をきっかけに愛するリアーナを守るため部屋をここに移したのだ。


「これでリナにいつでも会える」

「いつでも?前の部屋でもいつも会ってたよ?」

「細かいことはいいんだ、すぐにリナの部屋荒らした犯人見つけるからな」


そう言ってレオンハルトはリアーナの目を見つめながら語った。


「分かった、レオを信じてる」


とリアーナも見つめ返してそう伝えると、レオンハルトの肩にもたれた。


そんなリアーナをレオンハルトは愛おしそうに抱き締めた。


✦ * ✦ * ✦


「リナ、たいした事じゃないが、いちおうお前に話しておくことがある」


数日後のある夜、リアーナはベッドの上に座りながらレオンハルトに抱き寄せられ、ある話をされた。


それはここ帝国にはかつて聖女候補として伯爵家の子女『ピオネア』という少女が選ばれていたという話だった。


その少女は僅かだが治癒魔法が使えたそうだ。


そして同時にレオンハルトの婚約者にも選ばれていた。


しかしその後すぐにリアーナという名の聖女が隣国に現れたと聞き、皇帝はレオンハルトを彼女と結婚させようと考えピオネアとの婚約関係を解消した。


2人は面識がある程度でそれ以上は接点がなかった。


「その女が俺達の婚約披露の場に来るかもしれないが、俺とは何も関係ないから心配すんな。なるべくリナのそばから離れないつもりだが万が一絡んできても堂々としてろ。俺の婚約者は誰が何と言おうとリナだけだ。分かったな?」

「分かった、もしかして私に絡んできそうな人なの?」

「あぁ、かなり気が強いらしい」

「らしい?」

「俺はどんな奴だったか覚えてないが、フランクがその女に注意しろってリナに言っとけって、元とはいえ婚約してたことも説明しとかないとリナが誤解したら大変だからって昼に言われた」

「そうなんだ、注意するね。教えてくれてありがとう」

「俺が愛してるのはリナだけだからな」

「私もレオだけ愛してる」


そう言い合った2人は互いの額をくっつけた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ